2011年4月10日日曜日

サンコー72カントリークラブ=びっくり72ホール。泊って楽しみたい、高崎市郊外の巨大ゴルフ場

 ゴルフに一番馴染みのある数字といえば「72」。「パー72」が一般的なコースだからだ。ネットで群馬県のゴルフ場を検索していて、この72という数字に目が留まった。「サンコー72カントリークラブ」。当然、パー72の意味かと思ってホームページ(HP)を見ると、何と“72ホール”もあるという。普通のゴルフ場4つ分だ。スケールの大きさに圧倒された。

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(白亜のクラブハウス。上層階はホテル)

 予約する前にHPを丹念にチェックした。まず「コース概要」を見る。

 西コースと東コースとがあり、西コースはさらに「高崎」「岩平」「吉井」「観音」の4コース(各9ホール)に分かれる。これで計36ホール。
 東コースは「赤城」「榛名」「妙義」の3コース(同)からなり、計27ホール。72ホールにはあと9ホール足りないが、「夜間照明付の本格的なショートコース(9ホール)」があり、これで合計72ホールになるのだという。
 さて、どのコースを予約しようか。これだけ多いと戸惑う。HPを見ただけでは分からないので直接、ゴルフ場に電話してみた。
 「西コースはちょっと短めで、東コースの方が人気がありますね。東コースは以前、尾崎や青木プロが活躍した男子ツアー競技を開催したこともあります」という。ちょうど良いスタート時間が空いていた「妙義」コースを予約した。
 プレーしたのは4月の日曜日。東京駅発7:08分の上越新幹線「とき305号(新潟行き)に乗車し、高崎駅に8:08分到着。乗車時間はジャスト 1時間と近い。だが、運賃(自由席利用)は片道4,290円。クラブバスがあるとはいえ、往復の交通費が8,580円も掛かるのは、やはり痛い。
 クラブバスは高崎駅東口から朝3本(午後は平日8本、休日は9本)ある。所要時間は10分弱。接続している8:15分発のバスに乗り、8:30分前には楽々ゴルフ場に着くことができた。
 同伴者はクルマで来場。関越自動車道がやや混んでいたものの、上信越自動車道の吉井ICで降りてからは7分(約3Km)と近い。東京の練馬ICからの所要時間は約1時間半。群馬県といってもアクセスはそんなに悪くない。
 到着した東コースのクラブハウスは、まさに“白亜の殿堂”だった。1階が受付とプロショップ、ラウンジ、キャディマスター室、メンバー専用の特別 ルームなど。2階がロッカールーム、レストラン、浴室等々。同じ建物の上層階がホテル(客室数156室、230名収容)という構成。

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(クラブハウスの2階。正面がレストラン。吹き抜けとシャンデリアが華やかさを演出)
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(ロッカールームも、とにかく広い。木製ロッカーには高級感があった)
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(1階の洗面所。歯ブラシなど備品が充実。雰囲気もちょっぴり豪華でだった)

 受付スタッフによれば、「このクラブハウスはウエディングチャペルを併設。結婚式場としてもご利用いただいております」とのこと。
 確かに内装は豪華で、どのスペースもゆったりとした設計。照明設備などにはゴージャス感があって、女性が喜びそうだ。
 同伴者は「ゴルフ場で(2階の)ロッカールームに行くのにエレベーターを使ったのは初めて」と目を丸くしていた。
 西コースにももう一つ、別のクラブハウスがあるようだが、遠く離れていて様子は分からなかった。
 着替えを済ませ、スターティングテラスに出る。周囲を見渡して驚いたことが3つあった。
 1つは目の前の大きなトンネル。遠く離れた西コースには移動バスに乗り、このトンネルなどを通って向かうらしい。

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(ゴルフ場内にぽっかり空いたトンネル。遠く離れた西コースへは移動バスを利用)

 午後「赤城」コースをラウンドしたが、この時は乗用カートに乗ったまま、クラブハウス近くの別のトンネルをくぐって移動した。ゴルフ場で本格的なトンネルを通ったのは初めての経験だった。
 2つ目が見事な花壇。これも女性客を意識したのだろうか、とにかくクラブハウス周辺は花がいっぱい。それも十分に手入れされていて美しい。同様の花壇は練習場近くにもあり、“花のゴルフ場”といった趣だ。

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(クラブハウスを取り囲む花壇。色とりどりの花が心を和ませてくれる)

 3つ目がプール。夏場のみ利用しているそうで、4月はまだ未整備だったが、夏休みなら「お父さんはゴルフ、お母さんと子供はプールへ」。そんなリゾート的利用がなされるのかもしれない。
 HPには「ゴルフの後は、庭園・花壇に囲まれたしゃれたプ-ルでひと泳ぎ」と紹介されていた。

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(クラブハウス前の小さな“プール”。夏場になると宿泊者に人気があるという)

 広いパター練習場の脇を通って、ドライビングレンジに向かう。「100万坪の広大な敷地」が売り物のゴルフ場なので、さぞや広々とした練習場があるものと思っていたら、普通の「鳥かご」だった。これにはガッカリした。

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(ドライビングレンジはネットに囲まれた「鳥かご」。クラブハウスからは比較的近い)

 2階建て。打席数は合計で26。ボールはロストボールを集めたものらしく、様々なブランド品が混在。中には黄ばんだボールも含まれていた。料金は25球で300円。
 正面のネット近くに「90」ヤードの標識がある。高い打球は直ぐ上部のネットに当たるし、ドライバーショットは曲がる前に正面のネットに当たってしまうので、球筋が分からない。
 宿泊者の中には空いた時間に練習したいと思う人もいるはず。だが、この「鳥かご」では、やる気もうせるのではないか。開業時、どうしてもう少し広いスペースを確保しておかなかったのかと疑問が湧いた。

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(ティマークもちょっとお洒落)
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(ティインググランドの表示板は格好が良かった)
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(遠くに上毛の山々。空気が澄んでいればもっと綺麗だろうと想像する)
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(手前がティインググランド。先に隣りのホールのグリーン。その先にも別のホールが並ぶ)
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(「乗用カート利用のセルフプレー」が基本)
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(ティインググランド周辺は良く整備され、最終ホールには夜間照明も設置されていた)

 午前中はまず「妙義」コースをラウンドした。1番はいきなり500ヤード(レギュラーティから)のロングホール。しかしフェアウエーはフラットで、圧迫感はない。ティショットも伸び伸びと打てる。
 真っ直ぐで平凡なホールかな、と思っていたら、意外な仕掛けが待っていた。「砲台グリーン」である。

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(「妙義」1番ホールの砲台グリーン。ピンは奥のグリーンの上に立つ)

 最初はコースの様子が良く分からないので、安全を期して2つのグリーンの間を狙って打った。ところが砲台が予想以上に高く、こぼれたボールが下へ大きく跳ねる。同伴者も下からのアプローチを寄せ切れない。みなグリーン周りで苦戦した。
 コースのレイアウト図は「スコアカード」の上部に記されていて便利。だが、サイズが小さく、何とか各ホールの全体像と1ペナ、OBのゾーンが分かる程度。ハザードまでの距離やアップダウンの様子は全く分からない。もちろん、攻め方や注意点も書かれていない。

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(ブラインドホールなどには、こうしたコース案内板が置かれていた)

 最近、セルフプレー主体のゴルフ場では詳しい「コースガイド」が用意されていたり、乗用カートにGPSナビ機能付きの特別システムが搭載されて、 各ホールレイアウトがひと目で分かるようになっている。だが、そうした工夫はなく、ドッグレッグホールに時々、案内板が置かれているくらいだった。
 「予約時にキャディ付と言っていただければ、(コースに詳しい)キャディが付いたプレーも可能だったのですが・・・」と後で受付スタッフに言われたが、まさに後の祭り。
 グリーン中央までの残り距離を教える表示もフェアウエーセンターに置かれたフラッグだけが頼り。

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(グリーン(中央)までの距離を示すフラッグ)

 色の異なる旗に「200ヤード」「150ヤード」「100ヤード」と書かれている。普通は左右それぞれに残り距離を示す杭などがあるものだが、この辺はちょっと手抜きの感じもした。
 特に「妙義」コースは大半のホールが真っ直ぐで、2つのグリーンも横に並んでいることが多く、旗一本でも大丈夫と判断したのかもしれない。
 しかし、たとえ下手でもピンまでの残り距離をしっかり把握した上でプレーしたいというのが心情。スイングに不安は禁物。アベレージゴルファーこそ「ゴルフは気持ち」なのだ。

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(コース内に設置されたトイレ。綺麗に整備されていた)
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(巨大ゴルフ場ならではの光景。平行してたくさんのホールが並ぶ)
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(所々に石を置き、単調になりがちな景観に変化をつけていた)

 「妙義」コースで印象に残ったのは、5番ミドルホールと8番ショートホール。5番はレギュラーティから327ヤードと短いが、ティショットで打ち下ろし、そこからまたグリーンに向かって大きく打ち上げるという船底型のような設計。距離感の問われる厳しいホールだ。
 第2打地点で『ピンフラッグの真上からボールを落とすつもりで。2クラブ上げて打て』と先輩にアドバイスされた。それで距離はピッタリだった。
 8番はレギュラーティから203ヤード、バックティからは234ヤードもあり、ワンオンが難しい。グリーン手前に「CLOSED」の表示版を置いた別のグリーンが2つあって、3グリーンのように見えた。これは珍しい。
 2番から4番まで同400ヤードを超えるミドルホールが続くなど、「妙義」は概ねフラットながら男性的でタフなコースという印象だ。
 横道にそれるが、7番ミドルホールでは近くにサーキットのような施設があり、クルマが轟音をとどろかせて走り回っていた。コース外のこととはいえ、突然の異空間出現に戸惑いを感じた。

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(コースに隣接するサーキット。走り回るクルマの音にびっくりした)
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(「赤城」1番ホール。満開の桜が見事だった)

 午後に回った「赤城」コースは「妙義」コースとは雰囲気が違った。1番のティインググランド脇に咲いていた桜の見事さに影響されたのかもしれないが、「美しい景観のホール」が多いと感じた。
 昭和47年(1972年)9月の開場で、来年は40周年を迎える記念の年。その割には植えて間もないような細い木が目立ち、全体的に風格や重厚感は乏しい。「妙義」コースでは、ホールによっては単調な景観に物足りなささえ感じていた。

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(「赤城」2番ロングホール。池とティインググランドが近く、プレッシャーがかかる)
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(「赤城」の3番ショートホール。横から見ると、池がハート型をしているように見えた)

 それに比べると「赤城」コースは池が多い。それも石で縁取られた美しい池。2番ロングホールはその典型で、広い庭園風の佇まいだ。続く3番ミドルホールも人工的ながらハートを思わせる池の形が記憶に残った。

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(「赤城」の8番ショートホール。箱庭的な美しさが印象に残った)

 8番のショートホールは池を配した、まさに箱庭的レイアウト。日本庭園風の木造の橋を渡ってグリーンに上がる。
 「妙義」(レギュラーティから3264ヤード)に比べると、「赤城」は同3176ヤードと短い。しかし、アップダウンを含めてホールごとの変化が楽しめ、飽きないし面白い。
 一番の「名物ホール」は6番ロングホールだろう。レギュラーティから585ヤード、バックティからは645ヤードもある。しかも、グリーンに向かって登っているので、会心のショットを3回続けないと、パーオンしない。
ボギーで上がった同伴者の1人は「これは実質パーだ」と大喜びしていた。
 全般に小さめのグリーンが多く、小ワザの出来、不出来でスコアが大きく変わってくるコースである。
 メンテナンスはフェアウエーもグリーンもまずまず。素晴らしいというほどではないが、同伴者の誰からも不満が出ることはなかった。
 不便に感じたのがコース内の売店。外観も内装も普通の売店なのだが、鍵が掛かっていて開かない。中は無人。
 外にポツンと自動販売機が置かれている。もちろん、現金がないと使えない。これでは急に雨が降ってきても、軒下以外では雨宿りができない。
 このゴルフ場が位置するのは群馬県高崎市の南西約5kmの丘陵地。西に妙義山、そこから時計回りに浅間山、榛名山、赤城山と上毛の山々が連なる。
 この日はやや靄(もや)が掛かっていたが、それでも時々、遠方に目をやり、上州気分を味わうことが出来た。新緑が美しい。

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(高圧線が近くを通り、鉄塔が自然美を損なう場面も見られた)

 プレー終了後、キャディマスター室のスタッフにコースレートがどのくらいなのかを尋ねた。
 「未査定です。(査定を)頼んでいるんですが、査定委員がまだ来てないんです」。「(バックティから)71くらいでしょうか」と重ねて聞くと「私は委員じゃないので分かりません」と強い口調でピシャリ。次の言葉が出なかった。
 嬉しかったのが昼食時のバイキング。広く、明るいレストランのほぼ中央に惣菜がズラリと並ぶ。主食もご飯(カレーなど)、うどん、パスタ、パンと種類が豊富。
 若い同伴者がトレーいっぱいに料理を乗せて、「結構、割安感ありますね」と嬉しそうに食べていた。プレーのプランにはこの「バイキング昼食付」が多い。
 レストラン以外の施設もレベルが高かった。洗面所は備品が充実し、しゃれた照明が優雅な雰囲気を漂わせる。
 びっくりするほど多くのロッカーが並んでいたロッカールームも、高級感があって使いやすい。1階のプロショップは品数が豊富だった。
 大型ゴルフ場らしく、浴室や脱衣場にも十分なスペースが確保されていた。浴室は「40℃」「41℃」の2つに浴槽が分かれ、確かに湯温に違いが感じられた。「40℃」の浴槽の隣にもう一つ別の浴槽があったが、こちらはカラの状態。水風呂として使うのかもしれない。
 もう一つの売り物は外の「露天風呂」。しかし「11月から4月までは使用していない」そうで、この日は窓越しに存在を確認するしかできなかった。
 その露天風呂からは美しいゴルフ場の景観が眺められ、開放感がある。楽しみは次回、夏場に来場した時に取っておこう。
 帰り際、宅配便の手続きをしたが、そのスペースも広々としていた。担当の女性スタッフは慌しい中でも笑顔を絶やさず、ホスピタリティを十分に感じた。バッグ置き場を担当していた若い男性スタッフも、対応が親切だった。
 気になる料金だが、「通常料金」(3月26日~6月末、昼食付、4バッグ、セルフプレーの場合)は平日が8,700円、土日曜日が14,500円。夏場(7月1日~9月15日)になると、同じ条件で平日が8,000円、土曜日が13,000円、日曜日が12,500円。
 昼食付きなので結構、リーズナブルな水準。学生向けの「合宿プラン」やジュニア向けの特別割引料金もある。
 キャディ付(4サム)の場合は1人3,000円のキャディフィが必要になる。ここでは5人で一緒に回る“5サム”も採用しており、この場合のキャディフィは同2,800円。
 受付スタッフは「平日なら2サムも可能。でも混み合う休日は難しい」という。ただ、今回は日曜日だったのにもかかわらず、後ろの組は2サムでプレーしていた。状況次第でプレースタイルは融通が利きそうだ。
 綺麗な大型ホテルを併設し、宴会場などの設備も充実しているので、企業が主催する「貸切コンペ」などには好都合のゴルフ場だろう。
 個人でも気のあった仲間たちと宿泊付の「ゴルフ合宿」をしてみたいと思う。その時は未体験のコースを含め「72ホール完全制覇。総スコアでの勝負だ」――。夢がどんどん広がった。
(ゴルフジャーナリスト O氏よりの寄稿)

2011年3月6日日曜日

新武蔵丘ゴルフコース=「快適!スループレー」。ゴルフ業界の常識に挑むカジュアル感覚の丘陵コース

 埼玉県西部地区には「武蔵」という名前を冠した名コースが多い。「武蔵CC豊岡コース」「武蔵CC笹井コース」「武蔵OGMゴルフクラブ」「武蔵松山CC」「武蔵丘ゴルフコース」「武蔵の杜CC」・・・。
 その一つに「新武蔵丘ゴルフコース」という名前を発見した。ホームページ(HP=http://www.princehotels.co.jp /golf/shinmusashi/index.html)等を見ると、「完全スループレースタイル採用」「常識をまったく変えたゴルフ場」とある。面 白そうだ。直ぐに予約を取った。

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(スループレーでは、ここで軽食を取る。建物の前にはパター練習場も整備されていた)

 「スループレー」はこれまで何度も経験している。だが、ほとんどは早朝にスタートして午前中に1ラウンドをスルーで回り、昼食後にもうハーフを回る「1.5ラウンド」プレーの時だった。
 
 途中に短い休憩を取るだけで18ホールを回り切る「スループレー」は決して嫌いではない。1.5ラウンドしなくても、スルーでなら短時間でプレーが終了。残った時間を有効に使えるし、調子の良い時など昼食時間を入れずにこのまま回りたいと思うこともある。
 
 考えてみれば、「1時間近い昼食時間を取り、ビールなどを飲んで、懇談して」というスタイルは、接待ゴルフの影響が色濃く残る日本独特のもの。体力などの問題もあるので一概に善し悪しは言えないが、希望者には「スループレー」をどんどんやらせてほしいと思っていた。
 以前、ある名門コースで同様の希望を伝えたところ「プレーの順番が調整できない」「キャディさんの都合もある」等々、出来ない理由をたくさん並べられ、少々うんざりした記憶がある。
 それだけに新武蔵丘GCの業界常識を超えた「仕組み」と、「コース」には大いに期待を抱いた。
 プレーしたのは3月の暖かい日曜日。西武池袋線の飯能駅で同伴者と待ち合わせし、タクシーで向かった。クラブバスはない。所要時間は10分弱、料金は約1,200円。
 最寄り駅は池袋から42分(西武池袋線・快速急行)で到着する飯能駅だが、住所は埼玉県日高市。

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(クラブハウスから見た駐車場。しっかりした屋根が全駐車スペースに備わっていた)

 クラブハウス到着後、早速、受付スタッフに「スループレー」方式について聞いてみた。
 「飯能駅周辺には西武グループのゴルフ場が3つあります。会員制の久邇カントリークラブと、パブリックの武蔵丘ゴルフコースと新武蔵丘ゴルフコー スです。同じパブリックでも、武蔵丘GCはキャディ付でラウンドする高級コース。新武蔵丘GCはカジュアルな感じのコースです」
 「スループレー方式を導入したのは、平成20年4月にリニューアルした時。スタートはOUTコースの1番ホールからで、9番ホール終了後にコース内のレストランで軽食を取って頂き15分ほど休憩。その後、INコースを回ります」

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(乗用カートに付いていた10・4インチの液晶画面。プレーヤーのスコアまで記入、集計できる優れもの)

 冬季にはINコースの10番からスタートし、クラブハウス内のレストランで昼食というスタイルもあるそうだが、他の季節は全てこの「完全スルー方式」。GPSナビ機能付き乗用カートを使ったセルフプレーで、キャディさんはいない。
 料金体系も比較的シンプル。「完全スルー方式」に変わる3月7日以降は平日11,000円、土曜日17,500円、日曜日16,500円。春のゴールデンウイーク前後で季節の良い4、5月は平日12,000円、土曜日18,500円、日曜日17,500円。
 OFFシーズンの1月の場合、平日9,800円、土曜日15,300円、日曜日14,300円。平日と休日の差が大きいが、月ごとの料金差は比較的少ない。

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(パター練習場は大小2面あったが、この日、使用できたのは大きい方の1面だけだった)
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(スターティングテラス。男性スタッフの方が丁寧に回り方等を説明してくれた)

 朝6時台にスタートする「早朝スルー」やAM11時半以降にスタートする「午後スルー」は、時季によっては同じ料金で昼食が付く。日没まででプレーが終了する「薄暮スルー」もある。
 こちらは3月でも5月でも同じ料金で、平日7,900円、土曜日13,900円、日曜日12,900円と比較的手頃な水準。
 さて、いよいよプレーだ。クラブハウス脇から乗用カートに乗り、トンネルを通って山の反対側にある1番ホールへと向かう。

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(OUTコース1番、スタートホール。カメラマンさんが集合写真とスイングの連続写真を撮った)

 カメラマンさんが待機していて「皆さんの集合写真とスイングの(連続)写真を撮らせて頂きます」と言って近づいてきた。
 プレー終了後にプリントした写真を販売する仕組み。料金を尋ねると「集合写真が1枚1,050円、連続写真が1,890円。セットで購入すると2,100円」だという。
 みんな、にこやかに撮影に応じていたが、後で聞くと、同伴者の中では購入した人はいなかった。もう少し安ければ買っていたかもしれない。
 1番ホールは平坦なミドルホール。これといった特徴のないレイアウトで平穏にスタートする。
 ティインググランドは4つ。「青」がバックティ、「オレンジ」がレギュラーティ、「白」がシニアティ、「赤」がレディースティ。
 「赤」と「白」が並んで置かれているホールがあるかと思えば、「赤」がぐっと前に設けられている所もあり様々。同伴した女性は「ここは凄く女性に優しいコース」と感想を漏らしていた。

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(谷越えの2番ショートホール。谷には石を組んだ「ロックガーデン」が造られていた)

 2番ホールから先にはドラマが待っていた。まず2番は谷越えのショートホール。このコースには「高麗グリーン」と「ベントグリーン」の2つがあ り、この日使用したのはベントグリーン。同グリーン中央までの距離は117ヤード。短いが目の前が谷で、視覚的プレッシャーは大きい。

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(左サイドに池が広がる3番ホール。ティインググランド脇には珍しくレイアウト図があった)

 3番ホールも331ヤードと距離の短いミドルホールだが、その分、仕掛けがたっぷり。ここの「名物ホール」である。

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(3番ホールのグリーンは池の一番奥。
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(距離は短い。狙いどころに立つフラッグまで180ヤードとの表示があった。右は林、グリーン手前にバンカー、砲台グリーンと難しい)

 左サイドに大きな池。約200ヤード先では、その池がフェアウエーに深く食い込んでいる。右サイドはOB。グリーンは砲台型。グリーン手前には複数のバンカーが横たわり、最初はどこに、どう打ったら良いのか戸惑う。
 同伴者が『コースに出たら、どう打つかではなく、どこに打つかに集中するんだ』とアドバイスしてくれる。気持が少し落ち着く。
 全体に緩やかな打ち下ろしホールなので、ティインググランドからグリーンまでが見渡せ、景観は素晴らしい。池周辺のビーチバンカーも綺麗。

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(3番のグリーン脇から見た4番ホール。池の周囲をぐるっと回るようにレイアウトされている)
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(OUTコースでは、この池周辺の景観が一番綺麗。人工的だが、噴水が程よいアクセントになっていた)
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(斜め横から見た「雷避小屋」。トイレと飲料の自動販売機が併設されていた)

 続く4番ホールとの間には、トイレと飲料の自動販売機を備えた「避雷小屋」があった。ここの自販機は現金が使えない。後でスタッフさんに尋ねると「クラブハウスの受付で専用コインを販売していますので、そちらをお持ち下さい」とのことだった。
 初めての来場だとこうしたミスが起きやすい。受付カウンターに「コース内の自動販売機は専用コインが必要です」と大書した貼り紙でもあれば良かった。
 池を回る3番、4番ホールを過ぎると、9番ホールまで似たような雰囲気の丘陵コースが続く。

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(ちょっと寂しい冬景色の中で、梅の花がプレーヤーの心を和ませてくれた)

 開場が1999年(平成11年)4月。まだ12年目で、周囲の山はともかくコース内に植えられた樹木は総じて細く、“発展途上”であることが雰囲気づくりに影響している。
 コース全体の風格やホールごとの個性が際立ってくるまでには、もう少し年月が必要なのだろう。期待はできる。なにせコース設計のアドバイザーはあの岡本綾子プロだ。

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(9番ホールと10番ホールの間にある「コースレストラン」。「うどん そば」と書かれたのぼりが印象的)

 前半の9ホールを回ったところで「コースレストラン」に到着した。思っているよりも立派な建物だった。
 館内には3つのテーブルが並べられ、窓からは次の10番ショートホールの全景が望める。内装は山小屋風で天井が高い。歌謡曲が流れてきたので見回すと、足元にラジカセが置いてあった。
 女性スタッフが一人で接客。メニューはうどん、そばが500円、カレーライスが600円。缶ビール「一番絞り」(350ml)の450円とスポーツドリンク1本300円は取り過ぎ。同伴者は350円で済む「ドリンクバー」を利用していた。

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(10番ホールのフェアウエー側から見た「コースレストラン」。思っていたよりも立派で、スタッフの対応も良かった)

 屋外にも簡単なテーブルと椅子があり、同伴した女性は持参したおにぎりをピクニック気分で食べていた。側には小さなパター練習場もある。
 最近はランチバイキングを採用するなど「食事が美味しいゴルフ場」を標榜するところが増えている。確かに食事は楽しみの一つ。だが、こうした簡易型も悪くない。

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(近くに、遠くに、綺麗な山並みが見えた。コースの高度が意外と高いことが分かる)
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(時季が悪かったのか、コース内では整備中の個所が目に付いた)

 INコースも10番のショートホールと16番のロングホールが印象に残ったくらいで、似たような雰囲気のホールが続いた。遠くを眺めると秩父連山。意外と高地に位置していることを実感する。

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(17番ミドルホールではレディースティの直ぐ前に池。さほど大きくはないので女性陣も楽に越えていたが・・)
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(池の周辺にはやや大きい石が並べられ、箱庭風の演出が施されていた)

 淡々としたプレーが止まったのが17番ミドルホールだった。目の前に箱庭的な池が配され、景観が変わった。

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(同じ17番にあるガードバンカー。アゴが垂直に立っており、池よりはるかに厄介だ)

 しかし、ここが「名物ホール」と紹介されているのは、池のためではない。グリーン近くにあるバンカーが曲者だからだ。写真で見ていただける通り、アゴがほぼ垂直に立っており、深い。ボールの位置によっては脱出することすら難しい。

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(18番ティインググランドから見たクラブハウス。屋根の形状にびっくり。右サイドの「ロックリバー」には要注意)

 正面にクラブハウスを眺める18番ホールも、美しく、手強いホールだった。わずか312ヤードしかない短いミドルホールなのだが、フェアウエー右サイドにはバンカーとロックリバー、グリーン手前には池が配されている。
 しかも、この日のピン位置は池に近く、グリーンエッジから5ヤード余りしかない。ボールを高く上げて止めないとピン側に寄らない。皆、池を恐れて大きめに打ち、3パットが続出した。
 全体を通してみても距離は短い。ベントグリーン使用の場合、レギュラーティからは5,911ヤード(バックティから6,259ヤード)しかない。
 OUTコースはパー35。トータルでもパー71だ。距離の少ない分をグリーンやハザードの難しさで補った典型的なコースといえる。
 特に印象的なのが2番、3番と17番、18番だった。ラウンドの序盤と終盤に戦略的ホールを配し、プレーヤーに「簡単じゃないぞ」というイメージを残そうとする意図も伝わってくる。
 終了後、キャディマスター室近くにいた男性スタッフにコースレートを尋ねると「71.0です」との返事。「それはバックティからですね」と念を押すと、「いえ、レギュラーティからです」。
 「戦略性の高いホールがあるので実際、難しいですよ」とも言われ、納得した。
 ちなみにグリーンの整備状況は「4.5mmカットの8.0フィート」。コースメンテナンスはグリーン上にディボット跡が目立った以外はまずまずだった。
 振り返ると、ティインググランドからピン位置が見えないブラインドホールや、真っ直ぐでもボールの落下地点の様子が分からないホールが結構あり、不安を抱きながらのショットが多かった。こうしたコース設計はゴルファーによって好き嫌いが分かれる。
 スタート前、受付で全ホールのレイアウト図や攻め方を記したA4サイズのペーパーを入手。万全を期したつもりだったが、いざプレーが始まると、それを逐一見るだけの余裕もなかった。
 「一度ラウンドしてコースの特徴が分かったので、次回は必ずリベンジする」と仲間同士で誓い合う。
 ラウンド中、疑問に感じた点を一つ記しておきたい。苦戦したホールで時間をロスし、進行がやや遅れた。すると乗用カートに取り付けられた機器からスムーズな進行を促すアナウンスが数ホールごとに繰り返された。
 遅れたのは事実で、その点において弁解の余地はない。だが、前の2組は2サムで進行が早い。逆に後ろの組はさらに苦戦しているらしく、姿は見えない。そうした状況でも、前の組に追い着くまではアナウンスが止まらない。
 結局、追い着くことは出来なかった。最後は乗用カートに向かって「もう分かったよ」とぼやきたくなった。システムの運用面で工夫の余地はないだろうか。

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(階段の踊り場から見た1階エントランス。正面奥が受付、左側がドリンクバーのあるラウンジ)

 クラブハウスに話を移す。外観は大きなガラスを効果的に使い、明るく、現代的なデザイン。エントランスも簡素ながら、必要な要件は押さえてあり機能的。
 建物に豪華さがないので、プロショップに並べられたカラフルなウエア類やゴルフ関連商品がかえって目立つ。「サイボクハム」などの土産物も用意され、営業面での抜かりはない。
 最大の特徴はドリンクバーを併設したラウンジの存在だろう。ソファーではなく普通の椅子とテーブルを並べただけだが、吹き抜けの空間は広く、寛げる。パター以外の練習場がないため、ここでスタートまで時間を過ごす人も多かった。

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(ロッカールームに直結している浴場。手前が洗い場。ガラスドアを開くと、外は露天風呂)

 もう一つ、強く印象に残ったのが浴室だ。ロッカールームで服を脱ぎ、そのまま浴室に直行するスタイルなのだが、浴槽が何と屋外にある。そう「露天風呂」なのだ。
 長方形の浴槽から外を見ると目の前が池。その先に半円形に石垣が並び、上から水が流れ出ている。「ミニ白糸の滝」といった風情だ。想定外の景観で、これは嬉しかった。

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(ロッカーは暗証番号をセットして使う方式。脱衣場を兼ねている割には横幅が狭く、使いにくかった)

 ただし、ロッカーは横幅が狭く、着替え等を出し入れする際は使いにくくてイライラした。やはり、きちんとした脱衣場があった方が好ましい。
 1階のトイレは清掃が行き届いていたが、個室が5つと少ない。洗面台もやや古い感じで、全体に狭い印象。

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(2階のレストラン。外の景色が良く見えて気持ち良い)

 2階にはレストランとコンペルームが並ぶ。スループレー終了後、レストランを覗いてみたが、既に人影はなく、閑散としていた。窓の外には18番ホールのグリーンが広がる。景観はなかなか美しい。
 HPで紹介されている「ランチメニュー」を見ると、最も高額な「ロースカツ膳」が1,400円。他はカレーなど一般的なメニューが多いとはいえ、 料金は900円から1,200円までと良心的。ビール(生中)は650円。モーニングセットは500円。確かにカジュアル感覚である。
 今回、実際に体験してみて「スループレー」の良さを再認識した。思ったほど疲れないし、終了後の時間に余裕があるのがいい。プレー代以外の出費も少なくて済んだ。
 手元に某有名ゴルフ場の事業報告書がある。売上高構成比を見てみると「食堂売り上げ」は全体の11.8%と1割以上を占め、大切な収入源となっている。
 経営面から見ると、食堂売り上げの少ないスループレーは大変かもしれない。だが、利用者にとっては何かとパフォーマンスの高い、貴重なゴルフ場だった。