2011年4月17日日曜日
小川カントリークラブ=「飛ばし屋」より「業師」向きの丘陵コース。トリッキーなホールにどう挑むか
(中コース1番のミドルホール。大きな打ち下ろしで、遠景が美しい)
「小川カントリークラブ」のある小川町(埼玉県)へは東京・池袋駅から東武東上線の急行で約1時間15分。運賃は片道780円だ。「秩父の手前」 と聞くと遠いような気がするが、都心からも意外と近い。「朝は池袋駅始発、帰りは小川町駅始発の電車に乗れるので、クルマより楽ですよ」と言われ、4月の 休日、電車で向かった。コースは予想以上にトリッキー。思わぬ苦戦を強いられ、電車のようにスイスイとはいかなかった。
(スターティングテラス。小さな花壇に草花が植えられ、綺麗だった)
(「東」「中」「西」の3コースからなる)
開場は昭和41年(1966年)11月。既に45年近い歴史を持つ。予約したのは「一番人気がある」(受付スタッフ)という「東コース」→「中コース」。
両コースをあわせた距離は「フロントティ」(レギュラーティ)から5933ヤード。6000ヤードを切る短いコースでのプレーは久しぶりだ。
しかも、事前に調べたコースレートは同じ条件で67.3(ベントグリーン)。67台というのも珍しく、当日は「自己ベストが出るかもしれない」と期待して出かけた。
メンバーさん同伴なのでセルフプレーを選択することも出来たが、トリッキーな場所があると聞き、「キャディ付プレー」を予約してもらって、万全を期した。
この季節、東京はもう葉桜になっていたが、小川CCではまだ桜花が残り、景観も天気も「さあ、頑張れ」と応援してくれているようだった。
(東コース1番のミドルホール。左右の桜と新緑が綺麗だった)
練習を済ませ「東コース」の1番ティインググランドへ。「オー!」と思わず歓声を上げた。
豪快に打ち下ろす派手なミドルホールだ。グリーンの先に小川町の中心街、そして遠くに秩父の連山。一度見たら忘れられない雄大な光景である。
「左はOBです。右の斜面を狙って下さい」とキャディさん。「丘陵コースというより山岳コースですね」と感想を漏らすと、「大丈夫です。2番ホールから平坦になりますから」。
(アップダウンはあるが、緑が豊か。コースには落ち着いた風格も漂っていた)
同伴の会員さんは「いや、他のホールもアップダウンがあるので、斜面で打つことが多いですよ。平らな所で打てるのはティインググランドくらいかもね」と脅かす。自己ベストを目指すのは大変かもと、気を引き締めてスタート。
(東コース2番ロングホール。ティインググランドは撮影場所のずっと右奥にある)
続く2番は短めのロングホール。しかし、目の前に池。フェアウエーが右にカーブしているので左サイドを狙うと、そこにもまた池。右サイドは池に沿って木々がせり出し、狙い目がぐっと絞られている。
力む。右肩が下がる。顔が上がる。体が開く。ダフる。欠点をさらけ出し、ボールは手前の池に直行・・・。
「先の方に前4の特設ティがありますよ」と声を掛けられたが、「いや、ここから打ち直します」。
冷静さも失い、2ホール目にして早くも自己ベスト更新に危険信号が灯る。
同伴者さんに『石川遼だってミスをする。諦めよう。さあ、次だ』と元気付けられ、次のショートホールへと進む。
キャディさんが「ここはハンディキャップ9です。東コースで一番楽なホールですので、頑張りましょう」と応援してくれる。
が、前ホールのミスを悔やむ気持を切り替えられず、結局、乗らず入らずで、ズルズルとスコアを崩す。
(東コース6番は大きく打ち下ろし、大きく打ち上げる。距離は短いのだが、難しく感じてしまう)
4番ホールはフェアウエーのアンジュレーション苦戦。5番ホールも途中で左に直角に曲がるレイアウトに対応できず、6番は大きく打ち下ろし、大きく打ち上げるダイナミックな設計に翻弄された。
(東京より1週間遅く、桜が満開だった。東コース8番のティインググランド脇で)
7番はフロント(レギュラー)ティからでも191ヤードある難しいショートホール。8番も同じく500ヤードを越えるロングホール。
(東コース9番ホール。グリーン手前に並んだ松の木々)
最終9番のミドルホールは会心のティショットを放ったものの、グリーン手前に松の木が並ぶ意地悪なレイアウトに立ち往生。クラブハウスを背景にした美しい景観を鑑賞する余裕もないまま、午前のプレーを終えた。
(最終ホールには夜間照明が設置されていた)
(東コース脇から見えた煙突。「ゴミの焼却場」とか)
「トリッキーなコース設計に幻惑され、必要以上に力み、自滅」――。これが正直な感想だ。確かにOBゾーンを示す白杭は目立ったが、グリーンがそんなに速いわけではなく、花道もあった。もっとプレッシャーに強くならなければ。気持の弱さが出た。
負け惜しみに聞こえるかもしれないが、コースに慣れ、飛距離を欲張らず、コンパクトなスイングを心がけていれば、好スコアの出るコースだったかもしれない。
キャディさんが最初、「会員さんは東コースを回りたがりますね」と言ったのも分かる気がする。トリッキーなだけに変化があって、戦略的で面白いのだ。
今回は早々に自己ベスト更新を断念したが、次回、このゴルフ場に来たら、また「東コース」を選択し、挑戦したいと思う。
45年近い歴史を支えてきた人気の秘密も、この「コースの飽きない面白さ」にあると感じた。
ランチタイムが格好の気分転換になった。クラブハウスの内部は歴史を感じさせる、やや古めかしい造り。
レストランも普通の広さ、普通のデザイン。太い柱、高い天井の割に地味な印象を受けたのは照明が抑え目だったせいだろうか。テラスから眺められる遠景の美しさに緊張がほぐれる。
着席すると、スーツ姿の年配の方が同伴してくれた会員さんに挨拶に来た。スタッフさんの対応を含め、全体にアットホームな感じが漂うレストランだ。
感心したのは昼食料金がリーズナブルだったこと。メニューは主な物だけでも14種類。
「うな重」(1680円)や「サーロインステーキ定食」(1580円)もあるが、カレーライス(750円)やそば(630円)もあり、選択の自由度は高い。ビール(生中)は650円。注文した「石焼ビビンバ」は1,100円で美味しかった。
(正面が売店。その奥にラウンジ。朝食コーナーはラウンジ脇にあった)
朝、1階の正面に「朝食ラウンジ」があったのを思い出す。珍しいので覗いてみたが、「めざメシたまごセット」(300円)と「ミニ山菜うどんセット」(400円)が準備され、ホットコーヒーやアイスコーヒーが150円で「おかわり自由」という嬉しいサービス。
午後のスタート前に立ち寄った売店には、数種類の野菜が並んでいた。
「今朝はなかったように思いますが・・・」と販売スタッフさんに話し掛けると、「休日だけ昼前に届きます。地元で取れた新鮮な野菜で、ご自宅へのお土産用にも人気があるんですよ」。
「お土産に地元の野菜」――。格好つけない、気取らない。クラブハウスにはそんな居心地の良さが感じられる。
午後に回った「中コース」も1番ホールは景観の美しいミドルだった。フェアウエー右サイドとグリーン奥に池があり、全体に左傾斜がきつい。真っ直ぐに飛び出たボールはフェアウエーセンターに落下し、転がって左サイドのバンカーまで行ってしまった。
(「中コース」は比較的素直なホールが多かった)
(中コース4番ホールは谷越えのミドル。谷といってもプレッシャは少ない)
(中コース5番ミドルホール。フェアウエーが右傾斜し、油断できない)
(「中コース」9番のグリーン。背後にクラブハウスが見え、印象的)
「こちらもトリッキーか」と覚悟したが、その後は「東コース」に比べると、オーソドックスなレイアウトに徐々に変わってきた。戦略的で印象に残ったのは3番、4番、5番と最後の9番ホールくらい。
その分、落ち着いてプレーでき、スコアも午前中よりかなり改善した。コース内の美しい花々を観賞する余裕も生まれた。
(白い「雪柳」の花が満開だった)
(黄色い「連翹(れんぎょう)」の花が鮮やかだった)
(左側のモクレンの花も目を楽しませてくれた)
(キャディさんが教えてくれた「緑の桜」)
真っ白い小さな花が雪のように見える「雪柳」。黄色い花が鮮やかな「連翹 (れんぎょう)」。
6番ホールではキャディさんが「緑色の花が咲く、とても珍しい桜があるんですよ」と言って、その近くまで連れて行ってくれた。8番ホールでは紫色のあでやかなモクレンの花が出迎えてくれた。
「まだ桜が残っていますが、5月に入ればツツジや金木犀(きんもくせい)が咲いて見事ですよ」。四季を通じて様々な草花が楽しめるよう工夫されたゴルフ場である。
(当日のピン位置を示す貼り紙。グリーンを4分割しただけで、ちょっと大雑把)
(グリーンはやや重く感じた)
フェアウエーやグリーンのメンテナンスは良好。グリーンはベントとコーライの2グリーン。この日はベントグリーンを使用したが、キャディさんは芝目を結構、気に掛けていた。
「傾斜ではスライスですが、芝目が逆なのでほとんど曲がりません」「逆目なので、そこからはかなり重いですよ」といった具合だ。
(同伴したメンバーさんは「ここは優秀なキャディさんが多い」という)
コースやグリーンを熟知した優秀なキャディさんだったが、ラウンド途中から“ため口”が増えたのは、いただけなかった。
「~してもいいよ」「~だけどね」――。ホスピタリティは重要だが、馴れ馴れし過ぎると逆効果。言葉遣いは難しい。
(無人の売店。ちょっと寂しい雰囲気)
ラウンド中、気になったことがもう一つ。無人の売店である。鍵は掛かっておらず、中に入って休むことは出来る。店内には自動販売機が1台。現金を持っていなければキャディさんが立て替えてくれる。
カウンターがあるので、以前は女性スタッフが接客していたのに間違いない。経費節減で無人化したのだろう。最近はそんなゴルフ場が増えている。
廃墟のようで寂しいが、「もうかつてのような売店サービスはないのが普通」と割り切ってラウンドした方が、ガッカリしないで良いのかもしれない。
(松のある日本的風情。2つのグリーンの間にしっかりバンカーがある)
(ホールが隣接し、防球ネットが必要なところも)
(ティインググランド脇にはこんなベンチも。椅子には大手飲料メーカー名が書かれていた)
時間を朝に戻す。小川町駅からのクラブバスは休日8本、平日7本。帰りのバス便はさらに充実しており、午後1時から5時まで休日、平日とも20分ごとに運行されている。所要時間が6~7分という近さがなせる業だ。
(ロッカールームは窮屈だった。残念)
ロッカーは木製とスチール製の2種類。利用したのは木製のロッカー。横幅が狭く、大き目のバッグは出し入れが大変。ロッカー間の幅も狭く、利用者が集中した時は窮屈だった。
トイレは個室が7室。「便座除菌クリーナー」が設置されているのは好感が持てたが、水の流れが悪い。
たまたまかと思って清掃スタッフさんに「流れにくかったですよ」と話したところ、「私も(会社に)言っているんですがねぇ」という。たまたまではなかったらしい。
洗面所には歯ブラシやうがい薬が置かれるなど、備品には配慮が行き届いていた。
(山の斜面を利用した練習場。ネットが気になり、開放感はない)
練習場もいまひとつだった。打席数は8つ。ネットを張った「鳥かご」だが、天井のネットが緩んで下がり気味になっているので、直ぐにボールが当たってしまう。山すそに造られていて、飛距離も分かりにくい。ボールは新旧混合。
ドライビングレンジ近くの小屋(無人)に用紙が置かれ、名前と番号と利用ケース数(1ケース24球)を記入、勝手にボールを打つ。値段が分からなかったが、清算した際に受け取った領収書には「練習場 158円」と記載されていた。この値段なら不満はいえないか。
打席数が少ないので、ラッシュ時には数人のプレーヤーが順番待ちをしていた。打席の近くの洗い場に洗濯機が置いてあったのは奇妙な光景。
(2面あるパッティング練習場。小ぶりで、混み合う場面も見られた)
アプローチ練習所はないが、小さなバンカー練習場はある。パター練習場は2面。
キャディマスター室のスタッフに「今日のグリーンの速さはどのくらいですか」と尋ねたところ「測っていません。練習グリーンよりは少し遅いと思いますよ」という返事。
「バックティからのプレーは希望すれば可能。2サムは混雑する休日は無理だが、平日は可能」という。いずれも状況次第で変更もありうるという条件付きだ。
浴室、脱衣所の造りは一般的なレベル。脱衣場の窓越しに見えた「しだれ桜」がちょうど満開で、見惚れてしまった。室内にはマッサージチェアなどが備えられ、リラックスできるよう工夫がなされていた。
プレー料金は時季や曜日によって、小まめに変わる。
ホームページ(HP)の「予約案内」を見ると、「ゲスト基本料金」として「平日18,900円、土曜日25,200円、日・祭日23,100円」と記載されている。
同じHPの「営業案内」にはゲストの「プレー料金表」があり、例えば4月の平日の料金は14,940円(月曜日、昼食付き)から16,940円(下旬の水曜日と木曜日)までとバラツキがある。でも、この水準が“実勢価格”のようだ。
この表には土・日曜日の料金が記入されていなかったので不思議に思い、スタッフに尋ねると「休日料金は会員さんだけが見られるようになっています」とのこと。
「ゲストはいくらなんですか」と聞くと、「(5月のハイシーズンで)土曜日が20,940円、日曜日が1,000円安く19,940円でプレーできる」という。
いずれにしても、最初の「ゲスト基本料金」よりはかなり安い。ちなみに今回(4月中旬の日曜日)の領収書を見ると、「特別ご優待」と印字され、プレー代は16,940円で済んでいた。
ネット予約は受け付けておらず、全て電話での申し込みなので、プレー日が決まったらとにかく電話して、当日の料金を聞いてみるのが一番だ。
毎週ではないが、火曜日には「セルフデー」があり、割安な「アフタヌーンハーフセルフプレー」やジュニア(18歳未満、セルフプレー)料金も用意されている。
最後に大切なことを一つ。実はHPに「プレーは原則として会員の紹介が必要」とあったので、帰り際、受付でスタッフさんに小声で尋ねてみた。
「(会員さんの)紹介なしでは無理ですか」。スタッフさんも小声で「空いていれば、休日でも大丈夫ですよ」。
会員さんには怒られそうだが、門戸が開いているのは会員権を持たない一般ゴルファーにとっては有り難い。
こうした柔軟な営業姿勢とコースの面白さ・風格が長い間、多くのファンを引き付けきた理由だろう。飛ばし屋より技巧派がはまりそうな個性的ゴルフ場だった。
2011年4月10日日曜日
サンコー72カントリークラブ=びっくり72ホール。泊って楽しみたい、高崎市郊外の巨大ゴルフ場
ゴルフに一番馴染みのある数字といえば「72」。「パー72」が一般的なコースだからだ。ネットで群馬県のゴルフ場を検索していて、この72という数字に目が留まった。「サンコー72カントリークラブ」。当然、パー72の意味かと思ってホームページ(HP)を見ると、何と“72ホール”もあるという。普通のゴルフ場4つ分だ。スケールの大きさに圧倒された。
(白亜のクラブハウス。上層階はホテル)
予約する前にHPを丹念にチェックした。まず「コース概要」を見る。
西コースと東コースとがあり、西コースはさらに「高崎」「岩平」「吉井」「観音」の4コース(各9ホール)に分かれる。これで計36ホール。
東コースは「赤城」「榛名」「妙義」の3コース(同)からなり、計27ホール。72ホールにはあと9ホール足りないが、「夜間照明付の本格的なショートコース(9ホール)」があり、これで合計72ホールになるのだという。
さて、どのコースを予約しようか。これだけ多いと戸惑う。HPを見ただけでは分からないので直接、ゴルフ場に電話してみた。
「西コースはちょっと短めで、東コースの方が人気がありますね。東コースは以前、尾崎や青木プロが活躍した男子ツアー競技を開催したこともあります」という。ちょうど良いスタート時間が空いていた「妙義」コースを予約した。
プレーしたのは4月の日曜日。東京駅発7:08分の上越新幹線「とき305号(新潟行き)に乗車し、高崎駅に8:08分到着。乗車時間はジャスト 1時間と近い。だが、運賃(自由席利用)は片道4,290円。クラブバスがあるとはいえ、往復の交通費が8,580円も掛かるのは、やはり痛い。
クラブバスは高崎駅東口から朝3本(午後は平日8本、休日は9本)ある。所要時間は10分弱。接続している8:15分発のバスに乗り、8:30分前には楽々ゴルフ場に着くことができた。
同伴者はクルマで来場。関越自動車道がやや混んでいたものの、上信越自動車道の吉井ICで降りてからは7分(約3Km)と近い。東京の練馬ICからの所要時間は約1時間半。群馬県といってもアクセスはそんなに悪くない。
到着した東コースのクラブハウスは、まさに“白亜の殿堂”だった。1階が受付とプロショップ、ラウンジ、キャディマスター室、メンバー専用の特別 ルームなど。2階がロッカールーム、レストラン、浴室等々。同じ建物の上層階がホテル(客室数156室、230名収容)という構成。
(クラブハウスの2階。正面がレストラン。吹き抜けとシャンデリアが華やかさを演出)
(ロッカールームも、とにかく広い。木製ロッカーには高級感があった)
(1階の洗面所。歯ブラシなど備品が充実。雰囲気もちょっぴり豪華でだった)
受付スタッフによれば、「このクラブハウスはウエディングチャペルを併設。結婚式場としてもご利用いただいております」とのこと。
確かに内装は豪華で、どのスペースもゆったりとした設計。照明設備などにはゴージャス感があって、女性が喜びそうだ。
同伴者は「ゴルフ場で(2階の)ロッカールームに行くのにエレベーターを使ったのは初めて」と目を丸くしていた。
西コースにももう一つ、別のクラブハウスがあるようだが、遠く離れていて様子は分からなかった。
着替えを済ませ、スターティングテラスに出る。周囲を見渡して驚いたことが3つあった。
1つは目の前の大きなトンネル。遠く離れた西コースには移動バスに乗り、このトンネルなどを通って向かうらしい。
(ゴルフ場内にぽっかり空いたトンネル。遠く離れた西コースへは移動バスを利用)
午後「赤城」コースをラウンドしたが、この時は乗用カートに乗ったまま、クラブハウス近くの別のトンネルをくぐって移動した。ゴルフ場で本格的なトンネルを通ったのは初めての経験だった。
2つ目が見事な花壇。これも女性客を意識したのだろうか、とにかくクラブハウス周辺は花がいっぱい。それも十分に手入れされていて美しい。同様の花壇は練習場近くにもあり、“花のゴルフ場”といった趣だ。
(クラブハウスを取り囲む花壇。色とりどりの花が心を和ませてくれる)
3つ目がプール。夏場のみ利用しているそうで、4月はまだ未整備だったが、夏休みなら「お父さんはゴルフ、お母さんと子供はプールへ」。そんなリゾート的利用がなされるのかもしれない。
HPには「ゴルフの後は、庭園・花壇に囲まれたしゃれたプ-ルでひと泳ぎ」と紹介されていた。
(クラブハウス前の小さな“プール”。夏場になると宿泊者に人気があるという)
広いパター練習場の脇を通って、ドライビングレンジに向かう。「100万坪の広大な敷地」が売り物のゴルフ場なので、さぞや広々とした練習場があるものと思っていたら、普通の「鳥かご」だった。これにはガッカリした。
(ドライビングレンジはネットに囲まれた「鳥かご」。クラブハウスからは比較的近い)
2階建て。打席数は合計で26。ボールはロストボールを集めたものらしく、様々なブランド品が混在。中には黄ばんだボールも含まれていた。料金は25球で300円。
正面のネット近くに「90」ヤードの標識がある。高い打球は直ぐ上部のネットに当たるし、ドライバーショットは曲がる前に正面のネットに当たってしまうので、球筋が分からない。
宿泊者の中には空いた時間に練習したいと思う人もいるはず。だが、この「鳥かご」では、やる気もうせるのではないか。開業時、どうしてもう少し広いスペースを確保しておかなかったのかと疑問が湧いた。
(ティマークもちょっとお洒落)
(ティインググランドの表示板は格好が良かった)
(遠くに上毛の山々。空気が澄んでいればもっと綺麗だろうと想像する)
(手前がティインググランド。先に隣りのホールのグリーン。その先にも別のホールが並ぶ)
(「乗用カート利用のセルフプレー」が基本)
(ティインググランド周辺は良く整備され、最終ホールには夜間照明も設置されていた)
午前中はまず「妙義」コースをラウンドした。1番はいきなり500ヤード(レギュラーティから)のロングホール。しかしフェアウエーはフラットで、圧迫感はない。ティショットも伸び伸びと打てる。
真っ直ぐで平凡なホールかな、と思っていたら、意外な仕掛けが待っていた。「砲台グリーン」である。
(「妙義」1番ホールの砲台グリーン。ピンは奥のグリーンの上に立つ)
最初はコースの様子が良く分からないので、安全を期して2つのグリーンの間を狙って打った。ところが砲台が予想以上に高く、こぼれたボールが下へ大きく跳ねる。同伴者も下からのアプローチを寄せ切れない。みなグリーン周りで苦戦した。
コースのレイアウト図は「スコアカード」の上部に記されていて便利。だが、サイズが小さく、何とか各ホールの全体像と1ペナ、OBのゾーンが分かる程度。ハザードまでの距離やアップダウンの様子は全く分からない。もちろん、攻め方や注意点も書かれていない。
(ブラインドホールなどには、こうしたコース案内板が置かれていた)
最近、セルフプレー主体のゴルフ場では詳しい「コースガイド」が用意されていたり、乗用カートにGPSナビ機能付きの特別システムが搭載されて、 各ホールレイアウトがひと目で分かるようになっている。だが、そうした工夫はなく、ドッグレッグホールに時々、案内板が置かれているくらいだった。
「予約時にキャディ付と言っていただければ、(コースに詳しい)キャディが付いたプレーも可能だったのですが・・・」と後で受付スタッフに言われたが、まさに後の祭り。
グリーン中央までの残り距離を教える表示もフェアウエーセンターに置かれたフラッグだけが頼り。
(グリーン(中央)までの距離を示すフラッグ)
色の異なる旗に「200ヤード」「150ヤード」「100ヤード」と書かれている。普通は左右それぞれに残り距離を示す杭などがあるものだが、この辺はちょっと手抜きの感じもした。
特に「妙義」コースは大半のホールが真っ直ぐで、2つのグリーンも横に並んでいることが多く、旗一本でも大丈夫と判断したのかもしれない。
しかし、たとえ下手でもピンまでの残り距離をしっかり把握した上でプレーしたいというのが心情。スイングに不安は禁物。アベレージゴルファーこそ「ゴルフは気持ち」なのだ。
(コース内に設置されたトイレ。綺麗に整備されていた)
(巨大ゴルフ場ならではの光景。平行してたくさんのホールが並ぶ)
(所々に石を置き、単調になりがちな景観に変化をつけていた)
「妙義」コースで印象に残ったのは、5番ミドルホールと8番ショートホール。5番はレギュラーティから327ヤードと短いが、ティショットで打ち下ろし、そこからまたグリーンに向かって大きく打ち上げるという船底型のような設計。距離感の問われる厳しいホールだ。
第2打地点で『ピンフラッグの真上からボールを落とすつもりで。2クラブ上げて打て』と先輩にアドバイスされた。それで距離はピッタリだった。
8番はレギュラーティから203ヤード、バックティからは234ヤードもあり、ワンオンが難しい。グリーン手前に「CLOSED」の表示版を置いた別のグリーンが2つあって、3グリーンのように見えた。これは珍しい。
2番から4番まで同400ヤードを超えるミドルホールが続くなど、「妙義」は概ねフラットながら男性的でタフなコースという印象だ。
横道にそれるが、7番ミドルホールでは近くにサーキットのような施設があり、クルマが轟音をとどろかせて走り回っていた。コース外のこととはいえ、突然の異空間出現に戸惑いを感じた。
(コースに隣接するサーキット。走り回るクルマの音にびっくりした)
(「赤城」1番ホール。満開の桜が見事だった)
午後に回った「赤城」コースは「妙義」コースとは雰囲気が違った。1番のティインググランド脇に咲いていた桜の見事さに影響されたのかもしれないが、「美しい景観のホール」が多いと感じた。
昭和47年(1972年)9月の開場で、来年は40周年を迎える記念の年。その割には植えて間もないような細い木が目立ち、全体的に風格や重厚感は乏しい。「妙義」コースでは、ホールによっては単調な景観に物足りなささえ感じていた。
(「赤城」2番ロングホール。池とティインググランドが近く、プレッシャーがかかる)
(「赤城」の3番ショートホール。横から見ると、池がハート型をしているように見えた)
それに比べると「赤城」コースは池が多い。それも石で縁取られた美しい池。2番ロングホールはその典型で、広い庭園風の佇まいだ。続く3番ミドルホールも人工的ながらハートを思わせる池の形が記憶に残った。
(「赤城」の8番ショートホール。箱庭的な美しさが印象に残った)
8番のショートホールは池を配した、まさに箱庭的レイアウト。日本庭園風の木造の橋を渡ってグリーンに上がる。
「妙義」(レギュラーティから3264ヤード)に比べると、「赤城」は同3176ヤードと短い。しかし、アップダウンを含めてホールごとの変化が楽しめ、飽きないし面白い。
一番の「名物ホール」は6番ロングホールだろう。レギュラーティから585ヤード、バックティからは645ヤードもある。しかも、グリーンに向かって登っているので、会心のショットを3回続けないと、パーオンしない。
ボギーで上がった同伴者の1人は「これは実質パーだ」と大喜びしていた。
全般に小さめのグリーンが多く、小ワザの出来、不出来でスコアが大きく変わってくるコースである。
メンテナンスはフェアウエーもグリーンもまずまず。素晴らしいというほどではないが、同伴者の誰からも不満が出ることはなかった。
不便に感じたのがコース内の売店。外観も内装も普通の売店なのだが、鍵が掛かっていて開かない。中は無人。
外にポツンと自動販売機が置かれている。もちろん、現金がないと使えない。これでは急に雨が降ってきても、軒下以外では雨宿りができない。
このゴルフ場が位置するのは群馬県高崎市の南西約5kmの丘陵地。西に妙義山、そこから時計回りに浅間山、榛名山、赤城山と上毛の山々が連なる。
この日はやや靄(もや)が掛かっていたが、それでも時々、遠方に目をやり、上州気分を味わうことが出来た。新緑が美しい。
(高圧線が近くを通り、鉄塔が自然美を損なう場面も見られた)
プレー終了後、キャディマスター室のスタッフにコースレートがどのくらいなのかを尋ねた。
「未査定です。(査定を)頼んでいるんですが、査定委員がまだ来てないんです」。「(バックティから)71くらいでしょうか」と重ねて聞くと「私は委員じゃないので分かりません」と強い口調でピシャリ。次の言葉が出なかった。
嬉しかったのが昼食時のバイキング。広く、明るいレストランのほぼ中央に惣菜がズラリと並ぶ。主食もご飯(カレーなど)、うどん、パスタ、パンと種類が豊富。
若い同伴者がトレーいっぱいに料理を乗せて、「結構、割安感ありますね」と嬉しそうに食べていた。プレーのプランにはこの「バイキング昼食付」が多い。
レストラン以外の施設もレベルが高かった。洗面所は備品が充実し、しゃれた照明が優雅な雰囲気を漂わせる。
びっくりするほど多くのロッカーが並んでいたロッカールームも、高級感があって使いやすい。1階のプロショップは品数が豊富だった。
大型ゴルフ場らしく、浴室や脱衣場にも十分なスペースが確保されていた。浴室は「40℃」「41℃」の2つに浴槽が分かれ、確かに湯温に違いが感じられた。「40℃」の浴槽の隣にもう一つ別の浴槽があったが、こちらはカラの状態。水風呂として使うのかもしれない。
もう一つの売り物は外の「露天風呂」。しかし「11月から4月までは使用していない」そうで、この日は窓越しに存在を確認するしかできなかった。
その露天風呂からは美しいゴルフ場の景観が眺められ、開放感がある。楽しみは次回、夏場に来場した時に取っておこう。
帰り際、宅配便の手続きをしたが、そのスペースも広々としていた。担当の女性スタッフは慌しい中でも笑顔を絶やさず、ホスピタリティを十分に感じた。バッグ置き場を担当していた若い男性スタッフも、対応が親切だった。
気になる料金だが、「通常料金」(3月26日~6月末、昼食付、4バッグ、セルフプレーの場合)は平日が8,700円、土日曜日が14,500円。夏場(7月1日~9月15日)になると、同じ条件で平日が8,000円、土曜日が13,000円、日曜日が12,500円。
昼食付きなので結構、リーズナブルな水準。学生向けの「合宿プラン」やジュニア向けの特別割引料金もある。
キャディ付(4サム)の場合は1人3,000円のキャディフィが必要になる。ここでは5人で一緒に回る“5サム”も採用しており、この場合のキャディフィは同2,800円。
受付スタッフは「平日なら2サムも可能。でも混み合う休日は難しい」という。ただ、今回は日曜日だったのにもかかわらず、後ろの組は2サムでプレーしていた。状況次第でプレースタイルは融通が利きそうだ。
綺麗な大型ホテルを併設し、宴会場などの設備も充実しているので、企業が主催する「貸切コンペ」などには好都合のゴルフ場だろう。
個人でも気のあった仲間たちと宿泊付の「ゴルフ合宿」をしてみたいと思う。その時は未体験のコースを含め「72ホール完全制覇。総スコアでの勝負だ」――。夢がどんどん広がった。
(ゴルフジャーナリスト O氏よりの寄稿)
(白亜のクラブハウス。上層階はホテル)
予約する前にHPを丹念にチェックした。まず「コース概要」を見る。
西コースと東コースとがあり、西コースはさらに「高崎」「岩平」「吉井」「観音」の4コース(各9ホール)に分かれる。これで計36ホール。
東コースは「赤城」「榛名」「妙義」の3コース(同)からなり、計27ホール。72ホールにはあと9ホール足りないが、「夜間照明付の本格的なショートコース(9ホール)」があり、これで合計72ホールになるのだという。
さて、どのコースを予約しようか。これだけ多いと戸惑う。HPを見ただけでは分からないので直接、ゴルフ場に電話してみた。
「西コースはちょっと短めで、東コースの方が人気がありますね。東コースは以前、尾崎や青木プロが活躍した男子ツアー競技を開催したこともあります」という。ちょうど良いスタート時間が空いていた「妙義」コースを予約した。
プレーしたのは4月の日曜日。東京駅発7:08分の上越新幹線「とき305号(新潟行き)に乗車し、高崎駅に8:08分到着。乗車時間はジャスト 1時間と近い。だが、運賃(自由席利用)は片道4,290円。クラブバスがあるとはいえ、往復の交通費が8,580円も掛かるのは、やはり痛い。
クラブバスは高崎駅東口から朝3本(午後は平日8本、休日は9本)ある。所要時間は10分弱。接続している8:15分発のバスに乗り、8:30分前には楽々ゴルフ場に着くことができた。
同伴者はクルマで来場。関越自動車道がやや混んでいたものの、上信越自動車道の吉井ICで降りてからは7分(約3Km)と近い。東京の練馬ICからの所要時間は約1時間半。群馬県といってもアクセスはそんなに悪くない。
到着した東コースのクラブハウスは、まさに“白亜の殿堂”だった。1階が受付とプロショップ、ラウンジ、キャディマスター室、メンバー専用の特別 ルームなど。2階がロッカールーム、レストラン、浴室等々。同じ建物の上層階がホテル(客室数156室、230名収容)という構成。
(クラブハウスの2階。正面がレストラン。吹き抜けとシャンデリアが華やかさを演出)
(ロッカールームも、とにかく広い。木製ロッカーには高級感があった)
(1階の洗面所。歯ブラシなど備品が充実。雰囲気もちょっぴり豪華でだった)
受付スタッフによれば、「このクラブハウスはウエディングチャペルを併設。結婚式場としてもご利用いただいております」とのこと。
確かに内装は豪華で、どのスペースもゆったりとした設計。照明設備などにはゴージャス感があって、女性が喜びそうだ。
同伴者は「ゴルフ場で(2階の)ロッカールームに行くのにエレベーターを使ったのは初めて」と目を丸くしていた。
西コースにももう一つ、別のクラブハウスがあるようだが、遠く離れていて様子は分からなかった。
着替えを済ませ、スターティングテラスに出る。周囲を見渡して驚いたことが3つあった。
1つは目の前の大きなトンネル。遠く離れた西コースには移動バスに乗り、このトンネルなどを通って向かうらしい。
(ゴルフ場内にぽっかり空いたトンネル。遠く離れた西コースへは移動バスを利用)
午後「赤城」コースをラウンドしたが、この時は乗用カートに乗ったまま、クラブハウス近くの別のトンネルをくぐって移動した。ゴルフ場で本格的なトンネルを通ったのは初めての経験だった。
2つ目が見事な花壇。これも女性客を意識したのだろうか、とにかくクラブハウス周辺は花がいっぱい。それも十分に手入れされていて美しい。同様の花壇は練習場近くにもあり、“花のゴルフ場”といった趣だ。
(クラブハウスを取り囲む花壇。色とりどりの花が心を和ませてくれる)
3つ目がプール。夏場のみ利用しているそうで、4月はまだ未整備だったが、夏休みなら「お父さんはゴルフ、お母さんと子供はプールへ」。そんなリゾート的利用がなされるのかもしれない。
HPには「ゴルフの後は、庭園・花壇に囲まれたしゃれたプ-ルでひと泳ぎ」と紹介されていた。
(クラブハウス前の小さな“プール”。夏場になると宿泊者に人気があるという)
広いパター練習場の脇を通って、ドライビングレンジに向かう。「100万坪の広大な敷地」が売り物のゴルフ場なので、さぞや広々とした練習場があるものと思っていたら、普通の「鳥かご」だった。これにはガッカリした。
(ドライビングレンジはネットに囲まれた「鳥かご」。クラブハウスからは比較的近い)
2階建て。打席数は合計で26。ボールはロストボールを集めたものらしく、様々なブランド品が混在。中には黄ばんだボールも含まれていた。料金は25球で300円。
正面のネット近くに「90」ヤードの標識がある。高い打球は直ぐ上部のネットに当たるし、ドライバーショットは曲がる前に正面のネットに当たってしまうので、球筋が分からない。
宿泊者の中には空いた時間に練習したいと思う人もいるはず。だが、この「鳥かご」では、やる気もうせるのではないか。開業時、どうしてもう少し広いスペースを確保しておかなかったのかと疑問が湧いた。
(ティマークもちょっとお洒落)
(ティインググランドの表示板は格好が良かった)
(遠くに上毛の山々。空気が澄んでいればもっと綺麗だろうと想像する)
(手前がティインググランド。先に隣りのホールのグリーン。その先にも別のホールが並ぶ)
(「乗用カート利用のセルフプレー」が基本)
(ティインググランド周辺は良く整備され、最終ホールには夜間照明も設置されていた)
午前中はまず「妙義」コースをラウンドした。1番はいきなり500ヤード(レギュラーティから)のロングホール。しかしフェアウエーはフラットで、圧迫感はない。ティショットも伸び伸びと打てる。
真っ直ぐで平凡なホールかな、と思っていたら、意外な仕掛けが待っていた。「砲台グリーン」である。
(「妙義」1番ホールの砲台グリーン。ピンは奥のグリーンの上に立つ)
最初はコースの様子が良く分からないので、安全を期して2つのグリーンの間を狙って打った。ところが砲台が予想以上に高く、こぼれたボールが下へ大きく跳ねる。同伴者も下からのアプローチを寄せ切れない。みなグリーン周りで苦戦した。
コースのレイアウト図は「スコアカード」の上部に記されていて便利。だが、サイズが小さく、何とか各ホールの全体像と1ペナ、OBのゾーンが分かる程度。ハザードまでの距離やアップダウンの様子は全く分からない。もちろん、攻め方や注意点も書かれていない。
(ブラインドホールなどには、こうしたコース案内板が置かれていた)
最近、セルフプレー主体のゴルフ場では詳しい「コースガイド」が用意されていたり、乗用カートにGPSナビ機能付きの特別システムが搭載されて、 各ホールレイアウトがひと目で分かるようになっている。だが、そうした工夫はなく、ドッグレッグホールに時々、案内板が置かれているくらいだった。
「予約時にキャディ付と言っていただければ、(コースに詳しい)キャディが付いたプレーも可能だったのですが・・・」と後で受付スタッフに言われたが、まさに後の祭り。
グリーン中央までの残り距離を教える表示もフェアウエーセンターに置かれたフラッグだけが頼り。
(グリーン(中央)までの距離を示すフラッグ)
色の異なる旗に「200ヤード」「150ヤード」「100ヤード」と書かれている。普通は左右それぞれに残り距離を示す杭などがあるものだが、この辺はちょっと手抜きの感じもした。
特に「妙義」コースは大半のホールが真っ直ぐで、2つのグリーンも横に並んでいることが多く、旗一本でも大丈夫と判断したのかもしれない。
しかし、たとえ下手でもピンまでの残り距離をしっかり把握した上でプレーしたいというのが心情。スイングに不安は禁物。アベレージゴルファーこそ「ゴルフは気持ち」なのだ。
(コース内に設置されたトイレ。綺麗に整備されていた)
(巨大ゴルフ場ならではの光景。平行してたくさんのホールが並ぶ)
(所々に石を置き、単調になりがちな景観に変化をつけていた)
「妙義」コースで印象に残ったのは、5番ミドルホールと8番ショートホール。5番はレギュラーティから327ヤードと短いが、ティショットで打ち下ろし、そこからまたグリーンに向かって大きく打ち上げるという船底型のような設計。距離感の問われる厳しいホールだ。
第2打地点で『ピンフラッグの真上からボールを落とすつもりで。2クラブ上げて打て』と先輩にアドバイスされた。それで距離はピッタリだった。
8番はレギュラーティから203ヤード、バックティからは234ヤードもあり、ワンオンが難しい。グリーン手前に「CLOSED」の表示版を置いた別のグリーンが2つあって、3グリーンのように見えた。これは珍しい。
2番から4番まで同400ヤードを超えるミドルホールが続くなど、「妙義」は概ねフラットながら男性的でタフなコースという印象だ。
横道にそれるが、7番ミドルホールでは近くにサーキットのような施設があり、クルマが轟音をとどろかせて走り回っていた。コース外のこととはいえ、突然の異空間出現に戸惑いを感じた。
(コースに隣接するサーキット。走り回るクルマの音にびっくりした)
(「赤城」1番ホール。満開の桜が見事だった)
午後に回った「赤城」コースは「妙義」コースとは雰囲気が違った。1番のティインググランド脇に咲いていた桜の見事さに影響されたのかもしれないが、「美しい景観のホール」が多いと感じた。
昭和47年(1972年)9月の開場で、来年は40周年を迎える記念の年。その割には植えて間もないような細い木が目立ち、全体的に風格や重厚感は乏しい。「妙義」コースでは、ホールによっては単調な景観に物足りなささえ感じていた。
(「赤城」2番ロングホール。池とティインググランドが近く、プレッシャーがかかる)
(「赤城」の3番ショートホール。横から見ると、池がハート型をしているように見えた)
それに比べると「赤城」コースは池が多い。それも石で縁取られた美しい池。2番ロングホールはその典型で、広い庭園風の佇まいだ。続く3番ミドルホールも人工的ながらハートを思わせる池の形が記憶に残った。
(「赤城」の8番ショートホール。箱庭的な美しさが印象に残った)
8番のショートホールは池を配した、まさに箱庭的レイアウト。日本庭園風の木造の橋を渡ってグリーンに上がる。
「妙義」(レギュラーティから3264ヤード)に比べると、「赤城」は同3176ヤードと短い。しかし、アップダウンを含めてホールごとの変化が楽しめ、飽きないし面白い。
一番の「名物ホール」は6番ロングホールだろう。レギュラーティから585ヤード、バックティからは645ヤードもある。しかも、グリーンに向かって登っているので、会心のショットを3回続けないと、パーオンしない。
ボギーで上がった同伴者の1人は「これは実質パーだ」と大喜びしていた。
全般に小さめのグリーンが多く、小ワザの出来、不出来でスコアが大きく変わってくるコースである。
メンテナンスはフェアウエーもグリーンもまずまず。素晴らしいというほどではないが、同伴者の誰からも不満が出ることはなかった。
不便に感じたのがコース内の売店。外観も内装も普通の売店なのだが、鍵が掛かっていて開かない。中は無人。
外にポツンと自動販売機が置かれている。もちろん、現金がないと使えない。これでは急に雨が降ってきても、軒下以外では雨宿りができない。
このゴルフ場が位置するのは群馬県高崎市の南西約5kmの丘陵地。西に妙義山、そこから時計回りに浅間山、榛名山、赤城山と上毛の山々が連なる。
この日はやや靄(もや)が掛かっていたが、それでも時々、遠方に目をやり、上州気分を味わうことが出来た。新緑が美しい。
(高圧線が近くを通り、鉄塔が自然美を損なう場面も見られた)
プレー終了後、キャディマスター室のスタッフにコースレートがどのくらいなのかを尋ねた。
「未査定です。(査定を)頼んでいるんですが、査定委員がまだ来てないんです」。「(バックティから)71くらいでしょうか」と重ねて聞くと「私は委員じゃないので分かりません」と強い口調でピシャリ。次の言葉が出なかった。
嬉しかったのが昼食時のバイキング。広く、明るいレストランのほぼ中央に惣菜がズラリと並ぶ。主食もご飯(カレーなど)、うどん、パスタ、パンと種類が豊富。
若い同伴者がトレーいっぱいに料理を乗せて、「結構、割安感ありますね」と嬉しそうに食べていた。プレーのプランにはこの「バイキング昼食付」が多い。
レストラン以外の施設もレベルが高かった。洗面所は備品が充実し、しゃれた照明が優雅な雰囲気を漂わせる。
びっくりするほど多くのロッカーが並んでいたロッカールームも、高級感があって使いやすい。1階のプロショップは品数が豊富だった。
大型ゴルフ場らしく、浴室や脱衣場にも十分なスペースが確保されていた。浴室は「40℃」「41℃」の2つに浴槽が分かれ、確かに湯温に違いが感じられた。「40℃」の浴槽の隣にもう一つ別の浴槽があったが、こちらはカラの状態。水風呂として使うのかもしれない。
もう一つの売り物は外の「露天風呂」。しかし「11月から4月までは使用していない」そうで、この日は窓越しに存在を確認するしかできなかった。
その露天風呂からは美しいゴルフ場の景観が眺められ、開放感がある。楽しみは次回、夏場に来場した時に取っておこう。
帰り際、宅配便の手続きをしたが、そのスペースも広々としていた。担当の女性スタッフは慌しい中でも笑顔を絶やさず、ホスピタリティを十分に感じた。バッグ置き場を担当していた若い男性スタッフも、対応が親切だった。
気になる料金だが、「通常料金」(3月26日~6月末、昼食付、4バッグ、セルフプレーの場合)は平日が8,700円、土日曜日が14,500円。夏場(7月1日~9月15日)になると、同じ条件で平日が8,000円、土曜日が13,000円、日曜日が12,500円。
昼食付きなので結構、リーズナブルな水準。学生向けの「合宿プラン」やジュニア向けの特別割引料金もある。
キャディ付(4サム)の場合は1人3,000円のキャディフィが必要になる。ここでは5人で一緒に回る“5サム”も採用しており、この場合のキャディフィは同2,800円。
受付スタッフは「平日なら2サムも可能。でも混み合う休日は難しい」という。ただ、今回は日曜日だったのにもかかわらず、後ろの組は2サムでプレーしていた。状況次第でプレースタイルは融通が利きそうだ。
綺麗な大型ホテルを併設し、宴会場などの設備も充実しているので、企業が主催する「貸切コンペ」などには好都合のゴルフ場だろう。
個人でも気のあった仲間たちと宿泊付の「ゴルフ合宿」をしてみたいと思う。その時は未体験のコースを含め「72ホール完全制覇。総スコアでの勝負だ」――。夢がどんどん広がった。
(ゴルフジャーナリスト O氏よりの寄稿)