2011年12月25日日曜日

佐野ゴルフクラブ=栃木県南部に位置する丘陵コース。距離短く、技巧派向け。ホスピタリティには課題も

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(山と谷が迫り、フェアウエーがとても狭く感じた18番ミドルホール)
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(クルマでの来場者が大半。駐車場は広かった)

 2011年も押し詰まった12月下旬の休日。ゴルフ仲間と一緒にクルマで栃木県南部にある「佐野ゴルフクラブ」に向かった。朝日を背に一路、東北 自動車道を北進する。都心を出てから約1時間半。関東平野が終わりを告げ、山並み迫る国道293号線沿いにゴルフ場の大きな看板を見つけた。クラブハウス はそこから坂道を少し登った高台にある。堂々たる構えだ。第一印象は良かった。

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(「出流コース」と「駒コース」からなる大型ゴルフ場だ)

 全部で36ホール。「出流(いづる)コース」と「駒コース」からなる。予約時に電話で双方の違いを尋ねると、「駒コースはアップダウンが多くト リッキー。出流コースの方がオーソドックスで、値段は少し高いですけど人気があります」と男性スタッフさん。「出流コース」を予約する。
 当日の朝、受付でスタッフさんに「いづるとは読みにくいですね」と声を掛けると「ハイ」。ちょっと素っ気ない返事。
 
 代わりにバッグ置き場にいた年配の男性スタッフさんが親切に教えてくれた。「出流というのは近くにある観光スポットの地名で、出流山満願寺や出流そばが有名。民宿もありますよ」。
 なるほどと納得した。「佐野厄除大師」(正式には惣宗寺)以外にもいろいろ人気スポットのある地域なのだ。

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(ロッカールームの窓からはコースが良く見えた)
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(トイレに貼ってあった「スロープレー防止標語」。実行したいことばかりだ)
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(INコースの10番ミドルホール。「飛ばし屋は右側の木の上を狙う」そうだが・・・)

 スタートはINコース10番から。ティインググランドに立って目をむいた。右に直角にドッグレッグしたミドルホール。手前右半分が深い谷。ドライバーで谷越えを狙うか、アイアンで手堅くコーナーに刻むか。
 寒い朝。体がまだ固い。「オーソドックスなレイアウト」と聞いていただけに、いきなりの谷越えホールに心もこわばる。

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(11番ロングホールでは、左足下がりのショットがカギを握る)

 続く11番ロングも忘れられないホールとなった。第2打地点から急激な下り。見下ろすと左側には大きな池。池とグリーンの間には白砂が眩しいバンカー。バンカー内には日本庭園風の庭石が3つ。
 かなり人工的な造りだ。「自然の地形をそのまま生かした丘陵コース」と案内されて来たが、決してそれだけではない。
 設計は小林光昭氏。ハザードに池などを大胆に取り入れ、関係者の間では“水の小林”と呼ばれる設計家だ。
山間のコースになぜ突然、池が現れるのか不思議に思ったが、名前を聞いて合点がいった。

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(11番グリーンから見た12番ホール。手前の池は綺麗に整備されていた)
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(12番ホールは長いクリークがあり要注意。13番のティインググランドからは関東平野が望めた)

 続く12番ホールで出現したのは長い「クリーク」だった。グリーン側からフェアウエーの右サイドを通り、ティインググランド手前で左へ横切る。水が流れ落ちやすいように、高台にあるグリーンから手前に向かって下り勾配が続く。
 クリーク内には大小の石が転がり、ボールが当ると、跳ねてどこに行ってしまうか分からない危うさをはらむ。景観的にも、戦略的にも印象に残るホールだ。

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(13番ホールは左側に谷が続く。OBが出やすい)
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(14番脇のコース売店。ここには女性スタッフさんがいた)
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(14番グリーン手前の窪地。「以前は池だった」と同伴者が教えてくれた)

 だがINコースではその後、池やクリークは姿を消してしまう。
 14番のグリーン手前には、かつて池があったことをうかがわせる窪地があったが、今は単なるラフで、戦略的には何の刺激もない。
 本物の池なら景観的にも美しく、厳しいハザードになっていたであろうに、どうして水を抜いてしまったのか。設計者の理念が歪められているようで、とても残念な気がした。
 水の消えたコースでは「山と谷」が主役になった。INコースの場合、急激なアップダウンは先ほどの11番ホールを除くと殆どなく、フェアウエーは意外にも平坦。
 その代わり「右側が山、左側が谷」(あるいはその逆)というシーンが増えてくる。

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(一見、簡単そうに見えた15番ショートホール。バンカーがしっかりガードし、難度を高めていた)
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(17番ショートホール。右は山。左は谷)
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(周囲には田園風景も広がる)

 18番ホールのように、実際のフェアウエーはそこそこ広いのに、「山と谷」の景観に脅かされて、ティインググランドからはとても狭く感じられる。そんなホールが目に付く。
 初体験のラウンドと2回目以降のラウンドでは、受けるプレッシャーもスコアもかなり違ってくるのではないか。「慣れ」が必要なコースだ。

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(「S字」にレイアウトされた16番ホール)

 INコースでもう一つ記憶に残ったのは16番のロングホールだった。コース全体が「S字」に曲がり、グリーン手前で下りが入る。
 ティインググランドからも、第2打地点からもグリーンが見えず、セルフプレーでは最初、戸惑う。
 ここでのプレースタイルは「乗用カート利用のセルフプレー」が中心。キャディ付プレーも予約時に依頼しておけば可能で、キャディフィは1人2,625円。これは安い。
 午前中、INコースを回ってみて気づいたことが、他にも幾つかある。まずOBゾーンが多い。このため大半のホールに「前方特設ティ」が設けられている。
 二番目はコース内のヤード表示の複雑さだ。残り100ヤード、150ヤード、200ヤードを示す木杭などは基本的に「グリーン フロントエッジ」までの距離を示す。
 ただし、ホームページ(HP)で確認すると、12番、15番、17番のティインググランド表示板の数字は「グリーンセンター」まで。
 ティインググランドは概ね4つあるが、スコアカードには「チャンピオン」「フロント」「レディス」の3つしか記載されてなく、しかも、当日のティマークの設置場所が表示板とずれていることが多い。

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(乗用カートに搭載されたGPSナビシステムの端末機)

 ラウンド中は乗用カートに搭載された「GPSゴルフナビシステム」の端末機でピンまでの残り距離を正確に把握することが出来る。
 ただし、他のコースでもそうだが、乗用カートが自分のボールと離れた場所に停車している場合、逐一、移動して確認までしていられない。進行が遅れ、後続の組に迷惑が掛かるからだ。
 結局、目測で打つことが多くなる。「自分の目でピンまでの距離を判断して打つのが本来のゴルフの姿」(同伴者)とはいえ、不安を抱いたままのショットではミスも起きやすい。
 「そんなに不満があるなら、キャディさんを頼めばいい」と叱られそうなので、もう止めよう。でも、ちょっとややこしかったのは事実だ。
 グリーンはホールによって数が違う。10番、12番、17番は1グリーン。他は2グリーン。今回同伴してくれた常連さんが「2グリーンを順次、1グリーンに改造中なんです」とつぶやく。
 そのグリーンは一部を除けば素直で、嫌らしい感じはしなかった。キャディマスター室の男性スタッフさんは「今朝は冷え込んだので9.0フィートくらいの速さ。午後になれば8.5フィートくらいになるでしょう」と説明。
 確かに午前中、木陰のグリーンは表面が凍っていて芝目どころではなかった。逆に日なたのグリーンにはピッチマークが多く残り、比較的軟らかいグリーンであることが分かる。
 HPには「メンテナンスレポート」という新着情報が掲載され、グリーンを含めたコースメンテナンスに力を入れていることが強調されている。
 しかし、無頓着なセルフプレーヤーが多いためか、12月という季節のせいか、この日、コンディションが特に優れているという感じはしなかった。
 コースの距離は短い。INコースの場合、フロントティからだと左グリーン使用で全長2,837ヤード(チャンピオンティで3,223ヤード)。OUTコースと合算しても同5,665ヤード(同6,447ヤード)。
 それでもコースレートが「レギュラーティで68.4、バックティで70.4」(キャディマスター室の男性スタッフさん)と比較的高いのは、「山と谷」という条件によるものだろう。
 「山岳コースに近い丘陵コースですね」と同伴者と総括しながら一端、昼食。

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(レストランからはコースが良く見える)

 クラブハウス2階にあるレストランは周囲3面が大きな窓。眼下にはコースの美しい景色が望める。なかなか快適だ。
 選べるメニューは12種類。一番高いのが「十勝和牛ステーキ御膳」で1,995円。他は「特選まぐろ漬け丼」などの1,470円メニューと、「きのこ入りポークカレー」などの1,260円メニューが主体。最安値は1,050円で「ざるうどん」など。

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(佐野ラーメンセットはボリューム感があった)

 迷わず「佐野ラーメンセット」(1,260円)を注文。価格は市中相場よりやや高めの「ゴルフ場料金」。ビール(生中)は700円だった。
 ちなみに「おしぼり」はセルフサービス。レストラン中央のケースから取り出して使う。女性スタッフさんの対応も素っ気なく、特段のホスピタリティは感じられなかった。

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(OUTコース1番ミドルホール。広々としてホッとした)

 午後に回ったOUTコースは様相が違った。1番ミドルホールのティインググランドでは「オッ、広いじゃないか」と思わず喜んでしまった。全体に平坦で、よほど曲げない限りボールを谷に落とす心配がない。
 見上げれば、空も広い。右手には広々とした関東平野が広がる。圧迫感がないと心にも余裕が生まれる。「先にOUTコースから回る方が楽だったですね」と佐野GC初ラウンド組の同伴者もうなずく。
 
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(2番ショートホールでは側に立派な桜並木。「満開時にまた来たい」と思わせる)
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(冬場のコースメンテナンスは難しい)
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(ティショットの狙い場所には黄色い旗が置かれていた。遠くからでも良く見えた)

2番も比較的フラットなショートホール。右側にはじっと春を待つ桜並木。「満開時はさぞ壮観でしょうね」と仲間と談笑しながら移動。スコアも順調だ。

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(3番ミドルホールは第2打が池越えになる。安全のため浮き輪を常備)

 そんな中で迎えた3番ミドルホール。緊張が走った。フェアウエーが第2打地点から大きく右にカーブし、急激に下る。その先に橋の掛かる美しい池と4つのバンカー。
 朝、11番ホールで感じたのと同じ箱庭的な美景。「山と谷」のイメージが強いこのコースで、ここは明らかに異質な空間である。
 「池」に遭遇したのも久々だった。その池は続く4番ホールティインググランド近くにもあり、日本庭園風の美しさを演出する。ここが景観的に「出流コース」のハイライトシーンであることは間違いない。

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(コース内に埋め込まれた距離表示。数はあまり多くなかった)
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(4番ホールはフェアウエー右サイドの立ち木が印象的)
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(6番ロングホール。左は池。右の斜面は木が無く、うねりのあるのり面。狭い)
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(左サイドはボールがネットを越えたらOB。こんなOBゾーンが多い)

 OUTコースでは6番ロングホールにも左サイドに大きな池が登場するが、これは戦略的に配された池というよりは巨大な貯水池。フェアウエーからも少し離れていて、ハザードという感じではない。
 
 この3番以外のホールは、午前中にラウンドしたINコース同様、「山と谷」が主役のコースだった。結局、平坦で広々とした印象を抱いたのはOUTコースでも最初だけ。中盤からは狭く感じるフェアウエーに苦戦を強いられた。

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(7番は左サイドが谷。ボールが止まるようにバンカーがグリーン近くまで並んでいた)
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(各コースの後半には夜間照明設備があった)
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(8番ホール側にある「ログハウス」。以前は有人の売店だったようだが、今は無人)
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(ホール間は赤松林などで、しっかりセパレートされている)
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(9番ミドルホール。右が山。左が谷。こんなコースレイアウトが最も多かった)

 ここはやはり飛距離よりも正確性が求められるコース。技巧派でないと攻略が難しいというのが結論だ。

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(クラブハウスの正面には水が流れるように設計された庭園がある)

 場面を朝に戻したい。到着したクラブハウスはどっしりとした造り。玄関前には和洋折衷風の庭園が設けられ、高級感を醸し出す。

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(玄関=右側=から入ると、ゴルフ用品がズラリ。HPを見て抱いたイメージと違い、ちょっと驚いた)

 が、館内に入ると印象は一変する。HPでは広々としていたはずの「ロビー」にはゴルフ関連商品が大量陳列され、“実利重視”の姿勢が鮮明。洋菓子の「とちおとめロール」や地元名物の餃子など土産物類も豊富。
 受付カウンターに置かれた携帯用カイロは無料サービスではなく「1個50円」で販売。2階廊下には開催中の「ロングランコンペ賞品」が並べられ、参加者を募っている。
 受付脇には自動精算機が4台。その隣には12月に導入したばかりという「指静脈認証式」の貴重品ボックス3台。

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(1階のラウンジ。閑散としていた)

 右手奥のラウンジはシンプルなソファーが並べられているだけで、フロア全体に豪華さは感じられない。側の「喫煙室」も狭くて気の毒な感じさえした。
 トイレは1階と2階にあり、ともに清潔で問題なし。ただし、1階は個室が4室のみ(2階は8室)で小さい。ロッカールームは窓からコースの一部が眺められ明るかった。ロッカーは「暗証番号式」。

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(朝の日差しがたっぷり入る、明るいレストラン)

 営業色の強い1階部分に対し、2階はまだ高級感が残っていた。「松」「竹」「梅」「桜」「桐」のパーティルームに加え、角には明るい「貴賓室」。
 廊下の壁には大きな絵画が飾りつけられ、文化性もしっかりアピールしている。
 施設以上に戸惑ったのが、実はソフト面だった。チェックインする利用者のいない時を見計らい受付スタッフにいろいろ尋ねてみたのだが、つれない返事が多かった。
 「ビジネスホテルのパンフレットが置いてありますが、提携しているのですか」「いえ、特に」といった調子。
 外の車寄せで客を迎えていたベテランの男性スタッフさんや、キャディマスター室の男女スタッフさん、清掃担当の女性スタッフさんなどが皆、ホスピタリティを感じさせる対応をしてくれただけに、余計に気になった。

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(近くにある「佐野厄除大師」を思い出した。左奥が「鳥カゴ」の練習場)

 練習場にはガッカリした。立地条件からして用地に余裕がないのは理解できるが、打席数はわずか7(うち1つは左うち専用)。正面まで20ヤードもなさそうな「鳥カゴ」だ。使用クラブはアイアンのみ。
 近くの自販機に現金100円を投入。出てきた20球は殆どが使い古されたもの。その大半に青字で太く「SGC」と記されている。

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(パター練習場は1面。右奥は旧クラブハウス)

 バンカーやアプローチの練習場はない。パター練習場も旧クラブハウス前に造られた1面のみ。
 困ったのは練習場周辺に時計がなかったことだ。「スタート時間まであと何分あるのだろう」。不安と不満が募る。
 乗用カートにバッグを積み込んでくれていた男性スタッフさんも「そうなんですよね。時計がないんですよね」と言って自分の腕時計を見ながら時間を教えてくれた。
 開場は1974年(昭和49年)10月で37年の歴史を持つ。最初は27ホールのコースだったが、その後9ホールが追加され、現在の36ホールになったという。クラブハウスは1991年(平成3年)に新設された。
 「高度成長期」「バブル経済」「不況」「長引くデフレ」と経済の荒波に揉まれ、その都度、軌道修正を加えながら逞しく生き残ってきたのだと思えば、多少のチグハグさも仕方ないか、という気持になってくる。
 最近では追い風も吹いている。2011年3月19日に北関東自動車道が開通、クルマでのアクセスがぐっと楽になったのだ。
 東京方面から向かう場合、従来なら東北自動車道の佐野藤岡ICで高速道路を下り、一般道を30分ほど走らなければならなかったが、今回の開通により、佐野田沼ICまで高速道路が使えるため、同ICから10分ほどで到着できるようになった。
 ただし、電車利用の場合は相変わらず面倒。クラブバスはなく、JR両毛線佐野駅で下車しても、東武伊勢崎線の足利市駅で下車しても、タクシーで20分ほど掛かる。
 夕方4時前、波乱に満ちたプレーが終了した。冬至を過ぎたばかりとあって陽の沈むのも早い。木々の影が急に長く伸び、吹く風も一段と冷たく感じられる。

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(脱衣場の入り口。正面ドアの奥が浴室)

 「早く温まりたい」と向かった浴室は、期待以上に快適だった。広さや設備は普通だが、窓からコースが美しく見える。思い切り手足を伸ばし1日のラウンドを振り返る。正面の山の稜線に沈む西日が眩しい。
 脱衣場に窓はなかったが、籐製の床と脱衣カゴが心地よい。出入り口に「名水百選」と書かれた案内板が置かれていた。
 読むと「この湯がゴルフ場近くの出流原弁天池という湧き水を利用している」旨が書かれている。環境庁が指定した「日本の名水百選」に選ばれているのだという。
 直接見ることは出来なかったが、PR資料には「女性の設備も充実」とあり、HPには綺麗な「婦人浴室」の写真が掲載されている。
 最後に大切な「プレースタイル」と「料金体系」について記しておきたい。
 元来は会員制のゴルフクラブだが、現在はネットなどを通じて誰でも予約できる。「オープンコンペ」も極めて盛んで、土・日曜日の開催も珍しくない。予約は3ヵ月前から受け付ける。
 希望者はバックティからでもプレーできる。「ハンディキャップなどの制約は特にありません。渋滞にだけ気をつけていただければ」とキャディマスター室の女性スタッフさん。
 2サムも曜日や混雑状況によって違ってくるが「基本的にはOKです」。ネット検索すると「保証プラン」もある。また季節によるが、「早朝スループレー」や「アフタヌーンプレー」(2月1日~12月30日)もあり、この辺の対応はかなり柔軟。
 18歳未満の人を対象にした「ジュニア応援プラン」や「平日コンペパック優待プラン」なども多く、精算時には「1月6日(金)~3月31日(土)優待券」を手渡してくれた。
 それによると、「昼食代(1260円の限定メニュー)込みのセルフプレー」という条件で、「出流コース」が平日7,900円、休日11,900円。「駒コース」が平日6,900円、休日が10,900円。人気のある「出流コース」の方が1,000円高い。
 この優待券は誰でも簡単に手に入るので、おそらくこれが実勢価格だと思われる。
 優待券を利用した場合、4月1日から6月末までのハイシーズンでも同じ条件で、平日8,480円(出流コース)、休日13,980円(同)でプレーできる。
 他にもネット上には様々な特別プランが並んでいるので、実際にプレーする際には丹念に検索するか、直接電話でゴルフ場に問い合わせてみるのが賢明だろう。
 帰り際、同伴してくれた常連さんに「次回は駒コースにチャレンジですね」と声を掛けられた。「出流コースよりもっとトリッキーなんですよね。う~ん」と一瞬、言い淀む。
 今は、手頃な料金なので、暖かくなってからもう一度、考えてみることにしようと思っている。

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