2011年8月16日火曜日
宍戸ヒルズカントリークラブ=アプローチ練習場など施設充実。「日本ゴルフツアー選手権」開催の名コース
(景観的にも美しい17番ホール)
(大型のクラブハウス。女性スタッフさんが何人も出迎えてくれた)
(「日本ゴルフツアー選手権」開催コースであることを訴える横断幕が張られていた)
(通路には大会参加選手のサインなどが並ぶ)
(プロショップは充実。アパレル類が通路にまで溢れ出していた)
日本の男子5大メジャー大会の一つ「日本ゴルフツアー選手権」を9年連続で開催してきた「宍戸ヒルズカントリークラブ」(茨城県笠間市)。東コー スと西コースの合計36ホールからなる雄大なゴルフ場だ。今回は8月中旬の平日、大会の舞台となった「西コース」をラウンドした。テレビ観戦し、記憶に残 る名場面が蘇る。レベルは全く違うが、この日も“ドラマ”の連続だった。
テレビ中継が始まったのは、確か選手がINコースをプレーしている時から。そこで今回のリポートも10番ミドルホールから始めたい。
なお、予めお断りしておくが、今回ラウンドしたのは「ホワイトティ」から。全長6319ヤードで、プロが戦った「ブラックティ」(7,392ヤード)より1,000ヤード以上も短い。それでもアベレージゴルファーには不満のない距離だった。
「ブラック」と「ホワイト」の間に通常バックティと呼ばれる「ブルーティ」(全長6,831ヤード)が設定されており、「レッド」のレディースティと合わせて、ティインググランドは全部で4面(一部5面)。
予約時か、当日朝、キャディマスター室に申し出て、乗用カートに青い旗を立てておけば、ハンディキャップに関係なく「ブルーティ」からプレーすることも出来る。
(10番ミドルホール。フェアウエーのアンジュレーションが難度を高める)
10番は356ヤード(ホワイトティ=以下同)。距離はさほど長くはないが、戸惑ったのがフェアウエーの複雑なアンジュレーションだった。
同伴してくれた会員氏が「宍戸HCCはフェアウエーに微妙な傾斜があって、なかなか平坦な場所で打たせてくれない」と話していたが、まさにその通り。
前足上がり、左足下がりの複雑なライから第2打をミスショット。その後は悪い方へ、悪い方へとボールが転がった。
11番ホールは470ヤードのロングホール。「短めのサービスロングですか」とキャディさんに尋ねたら、「大会の時はパー4になります」(ブラックティからは519ヤード)。
(11番はグリーン手前に2つのバンカー。大きな打ち上げで、ショートするとバンカー直撃)
緩やかに左ドッグした2打目地点で目をむいた。グリーンに向かって打ち上げ。しかも、その手前に2段構えのWバンカーが大きな口を開けて待っている。
「2オンなんて、簡単にさせませんよ」。そんな設計者の強い意志を感じる。
グリーンに乗って、もう一度、ビックリした。奥行きが48ヤードもある縦長の3段グリーン。ピンは奥。ファーストパットは30ヤード近くもあった。
「疲れるホールが続きますね」と会員氏に話しかけたら「次は皆さんが最も苦戦するホールです」と追い討ちを掛けられた。
(12番ミドルホールはグリーンに向かって急な下り坂)
12番ミドルホールは右ドッグレッグのレイアウト。ティショットを右サイドに打つと、木が邪魔になって次が打ちにくい。だが左サイドはガケ。
(グリーン手前にはクリークがあり、要注意)
おまけに、グリーンの50ヤードほど手前からは、スキー場のような急な下り斜面になっている。
降り切った所にクリークが走り、そのグリーンがグリーンを縁取っているという難ホールだ。4人のうち2人がこのクリークにつかまり、スコアを崩す。
(コース内の避雷小屋はかなり疲れていた)
(手前に池。グリーン近くまでクリークが伸びる13番ショートホール)
(バンカーの砂はかなり多かった)
13番は池とクリークが強いプレッシャーを掛ける美しいショートホール(162ヤード)。
(14番ミドルホールは打ち下ろしで、左右が狭い)
(左足下がりのライからのショットが続いた)
14番はグリーン近くまでダラダラと下る厄介なミドルホールだった。フェアウエーのほぼ中央に大きな木が立つ。
第2打以降、常に左足下がりの勾配から難しいショットを強いられる。「傾斜地での打ち方をもっと練習しておけば良かった」と反省。
どのホールもひと癖、ふた癖あり、全く気が抜けない。同伴者から自然と「難しいね」との声が漏れる。
(さるすべりの花が満開。綺麗なコースは女性が喜びそうだ)
(長い15番ロングホール。左右の樹木で、とても狭く感じた)
(15番のロングホールはフルバックからだと625ヤードもある)
15番はこの西コース最長の570ヤードのロングホール。ブラックティからは625ヤードもあり、距離を考えただけでも肩に力が入る。
しかも、左右の林がフェアウエーをグッと狭く感じさせ、何ともティショットが打ちにくい。
ゲスト3人は「林」「チョロ」「ラフ」。結局、フェアウエーをキープしたのは、淡々とプレーした会員氏だけだった。
(ゴルフ場ではあまり見ないユーカリの木が並んでいた)
(ピッチマークが目に付くグリーンもあった)
(売店ではカキ氷を販売)
(池越えの16番ショートホール。蓮がたくさん浮かんでいた)
16番は池越えのショートホール(145ヤード)。グリーン近くまで池が迫り、ピン位置も手前とシビアな設定。打ったボールはグリーン手前の傾斜地に落ち、弾んで池に消えた。
(最もエキサイティングだった17番ミドルホール)
17番のティインググランドに来たら、タテ看板に石川遼プロの顔写真があった。実はこのコースでは全ホールに、そのホールにちなんだプロの顔写真を付けたボードが立てられている。
話題を提供すると同時に「男子プロのトーナメントを開催する超一流のチャンピオンコースなんですよ」とさりげなくアピールするのが狙いだろうと推察する。
それはそれで構わないのだが、数多い男子プロの中でも特に人気のある石川プロの顔写真が置かれているということは「このホール、きっと何かあるに違いない」とキャディさんに尋ねる。
「このコースのハイライト。第2打が池越えになる、とても難しいホールなんです」。それを聞いてテレビ中継で見た優勝争いでのドラマを思い出した。
(第2打は大きな池越え)
第2打地点に立って難しさが実感できた。左足下がりの傾斜地なのだ。何とも難儀なライから200ヤード以上飛ばさないと池を越すことが出来ない。
「左サイドにレイアップできますよ」とのキャディさんのアドバイスを素直に聞き、手堅く刻んだつもりが、ボールはスライス。またも池の中に消えた。
難しいが、景観的には実に美しいホール。宍戸HCCの「名物ホール」といっていいだろう。
(この距離表示板は分かりやすいが、一部には見にくい所もあった)
(18番グリーンの手前には深いバンカー。技の見せ所だ)
あっという間に18番ミドルホールにやって来た。左右の高い林。細長く波打つようなアンジュレーションのあるフェアウエー。深いバンカー。転がり落ちやすい砲台グリーン。このコースを象徴するような設計だ。
「大会でのパーオン率は17番よりも数字が低いんですよ」とキャディさんが教えてくれた。
今でも目をつぶると、各ホールでのシーンを思い出す。そのくらい戦略的で、エキサイティングなホールが続いた。
会員氏は「一流プロの中にも、宍戸HCCは苦手だという人がいますよ」と笑う。
上級者ほど面白く、飽きないコース。逆に言うと、初心者にとってはあまり楽しくないコースかもしれない。
コースの話ばかりで恐縮だが、午前中に回ったOUTコースについても簡単に触れておきたい。
全体の印象を言えば「難易度はINコースほどは高くなく、景観の美しいホールが多い」という感じだった。
(ショートホールからスタート)
(ショートホールではピンの位置までの距離を1ヤード単位で表示)
特に記憶に残ったのがまず、1番ショートホール。スタートホールがパー3というのも珍しいが、クリーク越えで景観も美しい。
(2番のミドルホール。景観が美しい)
(「ここが一番綺麗」とキャディさん)
(コース内に巨大な石が登場する。石のハザードは珍しい)
続く2番は左サイドに大きな池があり、キャディさんが「ここが一番綺麗」と紹介。3番ホールも同じ池に沿って、個性的にデザインされている。
(避雷小屋。「シェルター」と呼ばれる)
(コース内の休憩所前にも巨石が。石が好みらしい)
(芝を守るために扇風機が大活躍)
(周辺には高い山があり、丘陵コースのような景観も)
(四角いトンネルの中を通って、次のホールへと向かう)
(グリーンの約半分が池に囲まれている5番ショートホール)
545ヤードの長い4番ロングホールを経て5番のショートホールは、またも新しい池とご対面。この池は折り返した7番ホールでも左サイドに登場し、「美しいコース」という印象を決定付けた。
ちなみに6月の「大会」ではコースの回り方が変則的になるという。つまり、スタートは10番ホールから。次いで11番を回り、INコースの1番、そして2番と順番にラウンド。9番を過ぎたら12番に移り、そのまま18番へと向かうのだそうだ。
全体としてはスケールが大きく、変化に富み、挑戦し甲斐のあるコースという印象。メジャー大会の舞台とはこういうものかと改めて認識させられた。
プレー終了後、キャディマスター室でコースレートを尋ねた。「バックティからで74.2、レギュラーティからで71.7です」。
「グリーンの速さは?」「9.0フィートくらいです」。この数字には同伴者が異を唱えた。「いや、今日はそんなに速くない。8.0~8.5フィートくらいでないか」。
6月大会を現地観戦したその同伴者は当時の高速グリーンのイメージが残り、最初のうちは何度もファーストパットをショートしていた。
「大会時より遅いのは承知しているが、それにしても重い」というわけだ。
猛暑が続いた8月中旬にもかかわらず、コースコンディションは概ね良好。所々で大型の扇風機がフル稼働し、夏の暑さで芝が傷まないよう細心の注意が払われていた。
これ以外にラウンド中に気付いた点が3つある。1つはグリーンまでの残り距離を示すヤード表示が「グリーンエッジ」までで、通常の「グリーンセンター」ではないこと。
(ハンドルにはグリーンエッジからピンまでの距離を書いた印刷物が付いていた)
乗用カートのハンドルには「今日のピン位置が手前から何ヤード奥か」を書いた用紙が取り付けてあり、キャディさんもその都度、必要なヤード数を加算して残り距離をアドバイスしていた。
2つ目は外国人キャディさんが何人もいたこと。「契約キャディさんで、日本語も上手ですし、キャディとしても優秀ですよ」と他のキャディさん。
そんな国際色を感じるのは、経営しているのが「森ビルグループ」ということも影響しているのだろうか。
ちなみに今回は前半と後半とでキャディさんが交代した。前半に付いたキャディさんは熱心な方で、ティショットの狙い場所などを常に的確にアドバイスしてくれた。
ただ、グリーン上ですぐに「ここを狙って下さい」と言われたのは戸惑った。早過ぎると、傾斜を読んだり、ラインを想像したりする楽しみをプレーヤーから奪うことになる。
午後に同伴したキャディさんは、小柄ながらテキパキとした動きに好感が持てた。「励まし系」の方で、ミスした後に掛けられた優しい言葉に何度も癒された。
3つ目が樹木の種類が多いこと。竹林、クヌギ、ユーカリ、松、杉、桜、もみじ、イチョウ、さるすべり・・。「ヘビを良く見かける」(前半のキャディさん)のも自然が大切にされている証だろう。
コースの素晴らしい名門ゴルフ場は、得てしてクラブハウスが老朽化していたり、従業員のホスピタリティに欠けるところがあったりするもの。
だが、宍戸HCCは施設面がコースに勝るとも劣らないくらい高水準だった。メジャー大会を開催するくらいだからクラブハウスが大きく、立派なのは当然。
(ドライビングレンジ。高さの異なるティを用意)
(この建物でボール購入のサインをする。内部には休憩所や売店がある。隣は「ドライバー控え室」)
それ以上に感心したのが練習場だった。まずドライビングレンジ。屋根付の本格的なもので、打席数は全部で27。ボール代は30球で230円。綺麗だが、ロストボールと思われる中古品もかなり含まれている。
正面のネット中段に250ヤードの表示。30、60、80、100、150と小刻みにヤード表示があり、中央やや右側に植えられた立ち木がコースと同様の雰囲気を演出している。
全打席に椅子と扇風機があり、出入り口には冷えたおしぼりの用意もある。ナイター練習も出来る。天井の一部にクモの巣があったのは玉にキズ。
ラウンドしないゴルファーも利用でき、近くには本格的なショップ兼ラウンジがあった。「打ち放題のサービスもありますよ」と女性スタッフ。
(本格的なアプローチ、バンカーの練習場)
(パター練習場も広かった)
同伴者が「最高だ」と感心したのがアプローチ練習場。広いだけでなく、グリーン周辺の傾斜地から打てるのが嬉しい。パター練習場も充実しており、あっという間に時間が過ぎてしまった。
(朝食はバイキング方式)
(質、量ともに満足した)
「朝食バイキングがある」と聞き、寸暇を惜しんでレストランへと向かう。料金は1,280円。選べる料理の種類が多く、ドリンクバーも付く。最初は割高かと思ったが、そうでもない。「あまり食べると、体が回らなくなるよ」と同伴者に注意された。
昼食はざるそば(うどん)の800円から2,200円のうな重まで選択肢が広い。「夏野菜と常陸牛カレー」(1,400円)や「スープ冷麺」(1,200円)などが好評だった。コーヒーは400円でおかわり自由。細めのグラスで出てきたビール(生中)は650円。
ただし、昼食時間が長かったのには閉口した。午前中のプレーが終了したのが11:45分。午後のスタートが1:15分。1時間半もあった。「(客を)入れ過ぎなんだ」と会員氏も嘆いていた。
レストランからの眺めは普通。遠方まで良く見通せるが、樹木ばっかりで飽きる。手前の景観はクラブハウスの屋根(テラス)が邪魔をして良く見えない。
施設面でもう一つ快適だったのが浴室。ぬるめの湯とジャグジー、水風呂と3つの浴槽があり、パーティションも完備。
ホームページ(HP)では女性用の浴室をリニューアルしたことが強調されていた。
(巨大なロッカールーム)
同伴者はロッカールームの巨大さに驚いていた。36ホールある大型ゴルフ場なので数が必要なのだろうが、確かに凄い。日々の使用率はどのくらいなのだろうか。
8月基本料金は西コースの場合、平日が11,800円、休日が19,800円(全てキャディ付、乗用カート利用。以下同)。10月のハイシーズンでは平日が13,800円、休日が20,800円。
東コースの方が2,000円から3,000円安い。これは「西コースがトーナメント開催コースで人気があるから」と受付のスタッフ。
午後2時以降ハーフプレーが出来る「薄暮プレー(セルフ)」や朝5時台にスタートする「アーリーバード」(4月~8月)など割安プランも多い。
オープンコンペも月2回のペースで開催。2サムも「空いていれば可能」で、老舗の名門コースに比べると、営業面での柔軟さが際立つ。
最後にアクセス。東京方面からなら電車が便利。上野駅を朝7時発の常磐線特急「スーパーひたち3号(いわき行)」に乗車すると、62分で友部駅に着く。自由席利用で運賃は片道3,190円。8:08分発のクラブバスが接続しており、ゴルフ場までは10分ちょっと。
スタート時間が遅ければ、次の特急電車でも可能。やはり友部駅から8:40分発のクラブバスがある。
クルマなら常盤自動車道の岩間ICで降りて、ゴルフ場まで15分あまり。友部JCTで北関東自動車道に入り、友部ICまで来れば10分強で到着できる。東京都心からは約100kmの旅路だ。
最後に、帰りのクラブバスの運転手さんが語った1泊2ラウンド利用法をひとつ紹介したい。
初日に1ラウンドして併設の「コテージ」に宿泊。翌朝、「アーリーバード」プランを利用して安くプレーし、高速道路が混む前にさっさと帰路につくというものだ。
「コテージ」(5棟)はクラブハウスから徒歩で移動できる距離にあり、宿泊料金はシングルユースで7,350円、ツインユースで5,250円。「週末は満室になることもある」そうだから快適なのだろう。
確かにこのプランなら「東コース」と「西コース」の両方が一気に回れる。
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