2012年5月26日土曜日

新東京ゴルフクラブ=都心から約1時間15分。「フラットで短い初心者向けの林間コース」だが、油断は禁物

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(コンペが盛ん。こんな光景が何度も見られた) 
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(2本の木の間を狙いたい=5番ホール)
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(13番ロングホール。確実に刻み、得意な距離を残したい)
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(ほとんどのホールが平坦で広い)
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(グリーンもフラットで素直だった) 
 
 「近い」「簡単」「安い」をキーワードに、東京周辺でゴルフ場を探していた幹事さん、選び出したのが「新東京ゴルフクラブ」だった。名前からして 都内にあるのかと思えば、住所は茨城県坂東市弓田。名門「東京ゴルフ倶楽部」と関係が深いのかと思ったら、「それは関係ありません」。会員制のゴルフ場だ が、誰でも手軽に利用できるのだという。何とも不思議で、微妙な雰囲気。もう行ってみるしかない。
 キーワードの「近い」「簡単」「安い」を順番に検証していきたい。最初は「近い」から。
 当日は仲間と一緒に電車で向かうことにした。プレー終了後の「反省会」が盛り上がりそうだったからだ。
 秋葉原駅7:24発の「つくばエクスプレス快速」(つくば行)に乗車。守谷駅に7:56分に到着した。クラブバス(予約制)の出発時間は8:10分。
 実はこの一本後、ちょうど8:10分に守谷駅に着く電車がある。事前にゴルフ場に電話し、「電車の到着と送迎バスの出発時間が同じですが、接続しているのですか」と尋ねた。
 「いえ、間に合いません。その前の電車でお越しください」。
 「バスの出発時間を5分遅らせれば皆、乗れると思いますが、そういう計画はないのですか」と重ねて聞くと、「バス会社との契約で決まったことなので、時間の変更は出来ません」とピシャリ。
  事前のやり取りでは、ゴルフ場から好印象は受けなかった。
 「つくばエクスプレス」が開通したおかげで、秋葉原駅から守谷駅までは32分と早い。だが守谷駅からが遠かった。
 小型バスに揺られて35分。ちょうど電車に乗っているのと同じくらいの時間が掛かる。「最寄り駅から遠いのが弱点。料金が安いのも、それが理由でしょう」と同伴者さんが車中で独り言。
 交通渋滞さえなければクルマ利用の方が楽かもしれない。都心からなら常磐自動車道を走り、谷和原IC経由で所要時間、約1時間15分。
 電車でもクルマでも1時間15分程度で到着できるゴルフ場は、首都圏では「近い」部類に入ると言って良いだろう。
 2番目の「簡単」はどうだろうか。

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(乗用カートはグリーン近くまで乗り入れ可)
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(天気の良い日は爽快な気分が味わえそうだ)

 ホームページ(HP)を見ると、冒頭に「天候に関係なく、フェアウエーに乗用カート乗り入れ可能で、楽々プレーが大人気」とある。
 芝やコースの状態が気になるが、この「カジュアル感」が最大の売り物らしい。

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(「2人乗り乗用カート」にバッグを4つ積む)
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(4人でラウンドする場合は2台必要になる)

 プレースタイルは「乗用カート利用のセルフプレー」のみ。乗用カートにはキャディバッグを4本積めるが、実は2人乗り。
 残り2人は歩くか、カート追加料金(1人1,000円)を支払って、2台目を借りる仕組み。
 HPで各ホールの画像を見ると、フェアウエーは平坦で広く、あまり癖のなさそうな林間コースである。

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(ティマーカーが並んでいるホールが目に付いた)

 総距離はバックティから6,130ヤード、レギュラーティから5,944と短い。ティインググランドは3面あるが、バックティとレギュラーティが同じ場所のことも多く、距離の差は少ない。確かに「簡単」そうだ。
 朝、受付でコースレートを聞いた。女性スタッフさんは一瞬、戸惑ったような表情を浮かべて口ごもり、側の男性スタッフさんにバトンタッチ。
 「実は未査定なんです。そうですね、バックティから68.0~68.5くらい。レギュラーティからは67くらいではないでしょうか。易しいですよ。初心者向けのコースだと思います」
 別の男性スタッフさんは「今、11番ホールで池を埋める工事をしています。このコースの中では一番難しい池越えのホールだったのですが、苦戦する女性ゴルファーが多く、どうしても渋滞しがち。そこで進行をスムーズにするために池をつぶしているんです」。
 さらに「簡単」になるよう改造しているのだ。「大丈夫だろうか。つまらなくならないだろうか」と心配になる。
 グリーンが難しいのかもしれないと思い、キャディマスター室でグリーンの速さを聞いた。
 「ちゃんと計測していないんですけど。まあ6(フィート)か7か8か・・・。遅い方ですよ」という返事。
 あまりのザックリとした数字に拍子抜けする。グリーン上の難しいアンジュレーションもほとんどないという。
 「初心者向けのお手軽コース」だとハッキリした。今日は難しいことを言わず、一日楽しくゴルフができればいいと割り切る。
 3番目のキーワード、「安い」はどうだろうか。プレーしたのは5月下旬の休日。HPの「カレンダー料金」を見ると、5、6月のハイシーズンの高値は平日が8,300円、休日が15,300円。
 これには昼食代(1,260円分相当)が含まれているので、実質的には平日7,040円、休日14,040円となる。
 季節による価格変動は少なく、真夏の8月の場合でも平日が7,800円(昼食代を除くと6,540円)、休日が13,000円(同11,740円)。
 早朝1ラウンドスループレーの「アーリーバード」は4月から9月まで、午後ハーフプレーの「アフタヌーン」は年間を通して実施。
 「アーリーバード」の料金は平日6,000円、休日が10,000円。「アフタヌーン」は平日4,000円、休日6,000円。
 「2サムプレーは混雑している時でもOKです」と女性スタッフさん。
 シニア割引やレディース割引は特に設けていないが、月曜日と金曜日は「サービスDAY」で、追加ハーフの料金(通常3,000円)が半額の1,500円になるなど、“首都圏”のゴルフ場としては比較的安く、多様な楽しみ方が用意されている。
 幹事さんが掲げたキーワード、「近い」「簡単」「安い」は、ほぼ当たっているようだ。
 しかし、開場は1964年(昭和39年)9月。今年で48年目を迎える。関東地区でも長い歴史を持つゴルフ場だ。
 もし「近い」「簡単」「安い」だけのお手軽ゴルフ場だったら、半世紀近くも存続できるわけがない。やはり何かを持っているに違いない。そう考え直し、さらにチェックを続けた。
 そうすると「簡単」と見られていたコースが、実際には意外に戦略性があり、変化に富んでいることが分かってきた。
 設計は女子トーナメントの開催コース「富士レイクサイドカントリー倶楽部」(山梨県)などを設計した原田誠氏。

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(OUTコース1番ミドルホール。広くフラットだ)

 この日のスタートはOUTコースの1番ホールから。戦略性を感じたのは続く2番ホールからだった。

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(2番ミドルホールは立ち木で難易度を維持)

 バックティから238ヤード、レギュラーティからだと230ヤードしかない短いミドルホール。飛距離自慢の同伴者さんが「ドライバーでワンオンを狙うか」と豪語する。
 あきらめてアイアンを手にしたのは、小さなグリーン手前に深いバンカー、さらにその手前、ティインググランドから150ヤード地点に2本の大木が門柱のように立ちふさがっている光景を見たからだ。
 おまけに左サイドからは林がせり出し、OBゾーンを形成している。グリーン奥もOB。そんなややこしいレイアウトを見れば、「無理する必要はない」と誰でも分かる。
 3番ホールでもたくさんの立ち木がボールの飛行線をさえぎっていた。左側の2本は間隔も広く、景観を良く見せるための小道具といった風情。
 だが、右側の木々は「グリーンを狙うなら、上手に上を越えてごらん」と要求しているように見えた。
 放ったティショットは、その木々がスタイミーになる右サイドのラフに止まる。
 最初、広く見えたフェアウエーもコース戦略を考えると「フェアウエー左サイドしか落とし所がなかった」ことに気づく。

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(グリーンは右側の立ち木の奥。上を越すしかない)

 全体に直線的なレイアウトが多く、ブラインドホールは少ない。谷越えや池越えのホールもなく、クリークも見当たらない。池は唯一、最終18番ホールにあるだけ。ハザードの主役は「立ち木」である。
 4番のショートホール以降も立ち木は随所に登場、プレーヤーを悩ませ続けた。5番ホールはその典型だった。
 2番ホール同様、バックティからでも291ヤードと300ヤードを切る短いミドルホール。グリーンは左サイド奥。フェアウエーセンターに立つ大きなヒマラヤ杉を狙ってドライバーを放つ。
 それが右にスライスしたり、短かったりすると、2打目がグリーン手前の林越えになるという寸法だ。OBゾーンが浅く、高いボールで狙った距離をきちんと打たなければ大ケガをする。
 地味だが、随所に林間コースらしい巧みな味付けがなされている。遊び半分で好スコアを出せるような柔なコースではないと感じる。

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(日焼けは女性にとって大敵=4番ホール)
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(乗用カートに搭載されたレイアウト図は詳しかった)
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(フェアウエーに立つ大木がプレッシャーを掛ける)
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(OUTコース売店。中は無人だった)
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(ヤーデージ杭は単純だが見やすかった)
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(6番ショートホール。周辺の植栽は手入れが行き届いていた)
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(7番「パー6」のロングホール。力が入る)
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(長い長い7番ホール。3打目でパーオンを狙う作戦)

 OUTコースのハイライトは7番ロングホールだった。このホールだけは異常に長く、レギュラーティからでも632ヤード(バックティからは638ヤード)。何と「パー6」だ。
 そう、OUTコースは「パー5」が一つもなく、ロングホールはこの7番だけと言う変則的な設計。
 ティインググランドでは「パー6か。長いなぁ」と興奮していた同伴者さん。終わった後の感想は「意外に長いとは感じなかった」。
 同感だった。最初から「4オンでいい」と覚悟していたせいかもしれない。

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(ティインググランドの後ろに広がる田園風景)

 余談だが、7番グリーンの隣には田園風景が広がっていた。立地場所は関東平野のほぼ中央。茨城県坂東市は利根川を挟んで千葉県野田市に隣接する。
 都心からは50kmあまり。農地と宅地が入り混じり、田畑の間に取り残された林野がゴルフ場として開発されてきた歴史が蘇る。
 深呼吸すると、周辺農地から流れて来たであろう独特の臭気を感じた。「田舎の香水ですね」と同伴者さんも苦笑い。

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(INコースは最初の10番がショートホール。珍しい)
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(工事ではグリーン手前の「池」を埋め立てていた)
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(工事中の11番ホールにはレイアウト図が置かれていた)

 今朝、話題になったINコース11番ホールは池の埋め立て工事が進んでいた。大型の油圧式ショベルカーが盛んに土を動かしている。
 側で男性スタッフさんが両手に小旗を持ち、進行管理を担当。「最初に打った人のボールはあそこ。2番目の方のボールはここ」。その仕草はまるでキャディさんのようだ。

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(格好のいい古木の並木が歴史を感じさせる)
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(ティショットの狙い目に置かれたフラッグ。かなり目立つ)
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(12番ホールへは左右の防球ネットの間を通って移動)
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(上級者さんは「ビハインド・ザ・ボール」のスイングを実践)
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(14番ショートホール近くにある売店。自販機がポツンと置かれていた)
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(15番ホールへはトンネルをくぐる。上は一般道)
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(ピンフラッグはちょっと疲れた感じ)
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(避雷小屋は売店以外に4ヶ所ほどあった)
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(大木の枝は「空中ハザード」にもなる)
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(老朽化が気になった)
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(アゴの高いバンカーも少なくない)
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(グリーン周りにバンカーが並ぶ)

 「立ち木」と並ぶもう一つのハザードが本格的な「バンカー」だった。特にショートホールは「グリーン周りがバンカーだらけ」と言っても良いくらいバンカー数が多かった。
 アゴのしっかりある、難易度の高いバンカーも少なくない。それぞれの砂の飛び散り具合に長い歴史を感じる。目を閉じれば、繰り返さてきたであろう数々のドラマが目に浮かぶ。
 このバンカーの構造に「本格的で飽きないゴルフ場を造ろう」とした設計者の情熱を感じ取る。「短くて平坦な初心者向けコース」と言い切っては失礼だとも思う。

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(18番だけが池がらみのホールになる)

 最終18番に池を配したのも「景観にもちゃんと配慮しましたよ」という設計者のアピールに思えた。
もしこの池がなければ「普通の林間コース」で終わっていたかもしれない。それが最後に池があるおかげで、「綺麗な林間コース」へと印象が変わる

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(池があると景観がガラリと変わる)

 もはや想像の世界でしかないが、あの11番で池が残っていたら、もっと「綺麗な林間コース」のイメージが高まったに違いない。池を小さくして残すような工夫は出来なかったのだろうか。

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(13番ではティインググランド右手に「稲荷大明神」)

 もう一つ、印象的なホールがあったので紹介したい。13番ロングホールだ。ティインググランドのすぐ前に橋が架かり、右側に「稲荷大明神」ののぼりが立つ。

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(突然、奇妙な起伏が現れた。弓田城の跡か)

 橋の左側には奇妙な形のうねり。後でゴルフ場に尋ねたところ「戦国時代にこの辺りを支配した染谷氏が建てた弓田城のあった場所で、曲線は堀の跡だ」という。
 「昔は武将が刀を振り回し、今はゴルファーがクラブを振り回しているんだ」とつぶやく。
 なるほどと思って、改めてコースを見渡すと、樹木も太い。いろいろな意味で「歴史」が感じられるゴルフ場である。

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(ティインググランドが砂場状態の所もあった)
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(このティインググランドも荒れ気味)

 残念だったのは「メンテナンス」だ。ティインググランドは砂場状態の所が何ホールかあった。

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(ティインググランド周辺には所々、マットが敷き詰められていた)

 水はけが悪いのだろうか。周辺に厚手のマットを何枚も敷き詰め、通路を確保しているティインググランドも。これは安っぽい感じがして印象が良くない。

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(コース整備もなかなか追いつかない)

 フェアウエーにもベアグランドが散見された。補修されていないディボット跡も多い。グリーン上にも変色した個所が見受けられた。
 芝のメンテナンスは時間と手間隙とコストが掛かり、良好な状態を維持するのが難しい。それでもベストの状態を期待するのが利用者の常だ。
 戦略的なホールが多かっただけに、コース整備がもう少し良ければと惜しまれる。

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(18番のグリーン脇では担当スタッフさんが、さっさとクラブを拭き始めた)
 ここで施設面にテーマを切り替えたい。

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(コース側から見たクラブハウス。堂々とした構えだ)
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(デザインは古いが、白い壁は綺麗だった)

 まず「クラブハウス」。2階建ての堂々とした建物で、白く塗られた外壁が老朽化したであろう素顔を完全シャットアウト。正面玄関には長く突き出た屋根。ひと昔前の典型的なクラブハウスの構造だ。

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(正面が受付。朝夕はかなり混雑していた)
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(通路に沿ってソファーが並んでいた)

 エントランスに足を踏み入れると、タイムスリップしたような錯覚に陥った。古いというより懐かしい感じ。
 入り口に先日宅配便で送ったキャディバッグが並んでいる。その中からシューズを取り出し、小さな階段を上ると、左側が受付。

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(プロショップでは茨城県産の玉ねぎやニンジンなどの野菜も販売)

 ロビー中央に売店。ゴルフ用品に混じって地元産の野菜が販売されている。よく言えば気取らない、アットホームな雰囲気だ。

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(洗面所は清潔だが、高級感はない)
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(ロッカーは木製とスチール製の2種類)

 通路沿いにソファーが置かれ、ラウンジの役目。それを横目に奥に進むとトイレ、ロッカールーム、浴室など。レストランやパーティルームは2階。
 トイレの個室が4つしかないなど内部にゆったり感はないが、オーソドックスな設計といっていい。
 ここでは「脱衣場・浴室」と「レストラン」についてだけ簡単に紹介したい。

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(素っ気ない感じの脱衣場)

 脱衣場は中央の柱を囲むように棚が配された平凡な構造。窓はあるが、外の景色は楽しむといったものではない。
 浴室はさらに古典的な造り。四角いスペースの真ん中に六角形の浴槽があり、周りが洗い場。窓は曇りガラス。パーティションはない。

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(2階のレストラン。内装はシンプル)

 「レストラン」は比較的スペースに余裕があった。ただ、木製の椅子とテーブルが街の食堂のように並んでいるだけで、照明やインテリアにも特筆できる工夫はない。
 外のテラスには白い椅子が置かれ、玉石が敷かれて中庭風にはなっているが、やはり「素晴らしい」というレベルではない。
 メニューは充実していた。ランチは12種類の中から選べる。プレー料金の中に昼食代(1260円相当)が込みになっているので、半分の6種類は追加料金が不要。

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(ランチで人気のあった「にぎり寿司と天ぷらそば」のセット)

 人気の「にぎり寿司と天ぷらそば(うどん)」と「カツ丼」はプラス200円。その他は追加料金300円~500円が必要。ビール(生中)は750円。これは割高。
 朝食メニューは「おにぎりセット」(380円)「モーニング洋定食」(680円)など4種類。

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(受付で練習ボールをドーンと出された時は驚いた)
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(練習ボールは新旧混在)
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(鳥かご練習場。勝手にボールを拾って打ち直している人もいた)

 施設の中で特徴的だったのが練習場だった。ドライビングレンジは「鳥かご」。17打席と席数は多いが、正面のネットまで10ヤード程度。25球で200円。汚れた古いボールが目立つ。

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(朝、パター練習場はかなりの人出)

 パター練習場は2面。ただし「高麗」と「ベント」に分かれていて、使用できるのは「ベント」グリーンのみ。
 本コースも「高麗」と「ベント」2グリーン。使用しているのが「ベント」だけなので、練習グリーンも同じ芝でというわけだ。結果、ラッシュ時はプレーヤーで混雑し、思うような練習が出来なかった。

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(アプローチ練習場は異様に広かった)

 感心したのがアプローチの専用練習場だった。平らなスペースが用意されているだけだが、とにかく広い。練習にはこれで十分だ。
 「素晴らしい部分」と「物足りない部分」とが混在する奇妙な練習空間――。

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(外見は立派な「スタートハウス」)
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(「スタートハウス」の内部。今は使用していないようだ)

 近くの「スタートハウス」も外観こそ立派だが、内部は暗く、未使用状態。やはり外と内とでチグハグな印象が否めない。
 ゴルフブームに沸いた往時と、経費削減の大波の中であがいてきた歴史とが複雑に交錯し、様々な形で今日に至った結果だろう。

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(受付でくれた優待券)

 精算時に受付の女性スタッフさんが2枚の「ゲスト特別御優待券」をくれた。1枚は6月30日まで、もう1枚は9月30日までが有効期限。
 「こういうチケット、無くしたり忘れたりしちゃうんですよね」と話しかけると、「大丈夫です。予約時に『以前、行ったことがある』と言っていただければ、当日、優待料金に変更しますから。期限切れでも『切れちゃった』と言っていただければOKです」。
 何とも利用者本位の嬉しい対応だが、同時に集客のための必死さをヒシヒシと感じた。
 「ぜひ、また来てあげなければ」と本気で思った。