神奈川県大磯町にある名門「レイクウッドゴルフクラブ」と同じ系列のゴルフ場(群馬県富岡市)。経営主体だった湘南観光開発が平成16年8月、営
業不振から東京地裁に特別清算を申請。その後、みずほ銀行グループの手によって再建の道を歩んでいる。そんな情報を事前に聞いていたので、行くまでは正
直、気が重かった。が、クラブハウスに到着した瞬間、不安は吹き飛んだ。最初の期待値が低かったこともあってか、全てが良く見え、好印象が残った。
(“ガラスの城”を思わせるほど大きなガラスを用いた現代的なデザインのクラブハウス)
「新規投資が滞り、ちょっと疲れた感じのクラブハウスなのでは」と予想していた。ところが目の前に現れたのは、現代美術館を連想させるようなオ
シャレで、今日的な建物。シームレスの大きなガラスをふんだんに使い、明るく、透明感に溢れている。玄関脇には薄く水を張った“池”まであり、全体にゆと
りを感じさせる設計だ。
入館すると右手前に本格的なプロショップ。その先に整然とした感じの受付。正面の大きなガラス窓からは、コースの緑が目に飛び込んでくる。高く、開放感のある天井。朝の陽光が眩しいくらいだ。
(レストランの内部。テーブルの間隔が広いのが印象的)
(レストランから見えるパター練習場。手前にもう一面あり、計3面は広く、快適)
左手にもゆったりと造られたラウンジ。さらにその奥には縦長のレストラン。緩く湾曲した窓からは眼下にパター練習場が見える。悪い意味ではなく、全体が「ガラスの城」のようだ。
エントランスが2階部分になっており、階段を降りるとロッカールームや浴室、トイレなどが並ぶ。ロッカーもトイレも幅広で、使いやすく快適。トイレの個室数は11、うち2つが和式。内装や洗面所のアメニティ類も充実している。
キャディマスター室の近くには大型の自販機が設置され、女性スタッフさんが熱心に拭き掃除をしていた。「おはようございます」。明るく、元気に声を掛けてくれたのも嬉しい。
開場は平成8年(1996年)4月。コースは「ブルーコース」「ゴールドコース」「オレンジコース」の3つからなり、合計27ホール。
「ブルーコース」はレギュラーティからの場合、全長3,085ヤード、コースレートが69.0。「ゴールドコース」は同じく全長3,100ヤードで同69.5。「オレンジコース」は同じく3,155ヤードで同69.4。
そう長くはないし、難易度もアベレージゴルファーにはちょうど程良いくらいだ。
好天にも恵まれ、周囲の景観は美しかった。いずれのコースからも上毛三山(赤城山・榛名山・妙義山)や浅間山を眺めることができ、コース内には池(湖)が巧みに配置されている。まさに「レイクウッド」である。
パター練習用のグリーンは3面あって十分。プレーしたのは9月の休日だったが、グリーン上では練習に励む若者グループの姿が目立った。地元の方が多いのだろうか?
(開放感のあるドライビングレンジ。朝の空気が美味しかった)
そんな様子を羨ましく思いながら、ドライビングレンジへと向かう。5分余り歩いた先にあった練習場は全部で14打席。1コイン24球で273円。線の入った練習場専用ボールとロストボールと思われるボールが混在。
100ヤードほど先に目印となる特設グリーン。その先にも150ヤードの表示。ネットのない開放的なドライビングレンジで、250ヤード以上の距離がありそうに見えたが、パンフレットには「220ヤード」と記載されていた。気にするほどの誤差ではないが・・・
(「ブルーコース」の1番ティインググランド。フェアウエーは広く、左右の池は気にならなかった)
いよいよスタート時間だ。この日は「ブルーコース」と「ゴールドコース」を回る。1番ホールはフェアウエーも広く、伸び伸びと打てる。手前と左右に池が配置されているが、景観を美しく見せるための「装置」で、プレーにはほとんど影響がない。
(遠くに上州の山並み、クラブハウスに池、そして緑のフェアウエーと美しい景観が広がる1番ホール)
第2打地点で後ろを振り返ると、豊かな自然に抱かれ、銀色に光るクラブハウスが印象的。周囲には箱庭のようにデザインされた池や樹木が「どうです。綺麗でしょう」と言わんばかりに存在感をアピールしている。
富士山に近く接待ゴルフ場として知られる神奈川県の「レイクウッドゴルフクラブ」と比べても遜色のいない美しさ。というより、広々とした感じでは上を行くような景観だ。どうしてこんなコースが経営破たんしたのかと疑問が沸く。
(ホールを移動する際に渡る橋。眼下には田園風景が広がる)
ただ、この箱庭的美しさは2番ホール以降、しばらくの間、お預けとなった。2番、3番は普通の丘陵コース。4番、5番はレイアウト面で印象に残る部分はあるものの1番ホールほどの美景ではない。
(「ブルーコース」の6番ホール。池とバンカーとフェアウエーの景観に思わず歓声を上げた)
「あっ、また池だ。綺麗なホールだな」と感心したのは6番のミドルホール。左サイドの池に沿って続く白いバンカーの砂とグリーン手前の石造りの橋が景観にアクセントを加えている。
(6番のティインググランド脇には詳細なレイアウト図があった)
(コース内の茶店。このほか「避雷小屋」が1コースあたり3ヶ所に設置されていた)
(「ブルーコース」の9番。グリーン手前には綺麗な池があり、小さな滝も造られていた)
上がりの8番、9番も池がらみで美しい。特に最後の9番ホールは右側の池に滝の演出が加わり、「プレーヤーを目でも楽しませたい」という設計者の意図が伝わってくる。
(広々としたフェアウエー。ドライバーで思い切り打てる)
このコースを計者したのは、著名なコースデザイナーのテッドロビンソン氏。ハワイの人気コースを手がけたことなどで知られ、「水使いの名人」とも評される。そう聞けば「なるほど」と納得がいく。
(「ゴールドコース」の5番ロングホール。豪快な打ち下ろし。左のOBゾーンが近く、結構、難しい)
景観の美しさでいえば、午後に回った「ゴールドコース」の3番ショートコースや5番と8番のロングコース、9番ミドルホールも強く記憶に残った。
(アップダウンやドッグレックのあるホールが多いため、こんな表示も見られた)
(英国「セントアンドリュース」を連想させるような石橋。雰囲気作りには効果を発揮していた)
(「ゴールドコース」の最終9番ホール。美しい自然の中にも人工的な臭いが感じられる)
中でも妙義山を右正面に望む8番は池手前のフェアウエー右に傾斜していて、第2打を刻むにしても、刻み方が難しい。9番はクラブハウスに向かって大きく打ち上げていて、同様に2打目の距離感に悩まされる。
いずれも景観の美しさと戦略性の高さが兼ね備わった名ホールと言って良いだろう
同伴者は「あちらこちらに池や滝を作って、人工的過ぎるし、過大投資だ」とバッサリ。
「景観の美しさ」に惚れ込むか、「箱庭的な演出」に疑問を感じるかは人それぞれだろうが、非日常的な空間に身を置いて丸1日を過ごすことは、やはり楽しい。ここは素直に景観の美しさを評価したいと思った。
粗探しというわけではないが、写真からでは分からない難点を一つ。「ゴールドコース」の3番に来た時、立て続けに「パンパン」「バンバン」と奇妙な音が響いた。
何事かと尋ねると「近くにクレー射撃場があるようです」と同伴者。そういえば来場する際、ゴルフ場に向かう細い道にクレー射撃場の看板が立っていたことを思い出す。
音はその後も数ホール続いた。銃声は時々ではなく、連続して鳴り響くので、かえって慣れてしまう面もあったが・・・。
プレースタイルはかなり自由。私たちの前の組は日曜日だったにもかかわらず2サムプレー(土日祝日は2,100円の追加料金が必要)だった。「1.5ラウンドやスループレーもその日の状況次第で可能」と後でスタッフさんに聞いた。
移動は全て乗用カート利用だが、「キャディ付」か「セルフプレー」かは選択できる。今回、私たちはセルフプレーを選んだ。若い客が多かったせいか、大半がセルフプレーのように見えた。キャディ付の場合、4バッグで追加料金は平日が3,000円、土日祝日が3,500円。
ティインググランドは基本的に4つ。レディースティがかなり前で「女性に優しい」設計。メンテナンスの状況は一部のティインググランドとグリーンで荒れた所があったが、概ね良好だった。
「今夏の猛暑、残暑を思えば、芝も焼けていないし、状態は良い方だ」とメンテナンスにうるさい同伴者も納得していた。
驚いたのは、乗用カート前面のガラスに堂々と「全ホール特設ティ設置」の表示があったこと。
コースには「ゴールドコース」の4番や5番ホールのように、所々かなりのアップダウンがあり、OBゾーンや池などのハザードも多く、さらに、セル
フプレーを選択する初心者も少なくないことから、進行管理上、特設ティの設置はやむを得ないと考える。だが、「全ホール」というのも、これまた随分思い
切った運営だと感じた。
昼食をとったレストランは、スタート前に見た時よりもさらにゆったりとした構造に思えた。コースを一望できる大きなガラス窓が効果的だ。
昼食メニューは13種類。中華料理が自慢のようで、ホームページ(HP=http://www.lake-wood.co.jp/tomioka
/course.htm)には「“中華の名人”武田料理長の作る中華料理を是非ご賞味下さい」とある。プレーだけでなく、美味しいランチが楽しみというゲ
ストも最近は多い。ぜひ、皆さんもご自分の舌で味わってみて欲しい。
ビール(生中)は720円。おつまみ類が11種類。「板わさ」「さつま揚げ」「キムチ」などが500円から700円程度。ビールを飲んでいたら、すかさず女性スタッフが手押しカートにおつまみ類を乗せてテーブルまで販促にやってきた。営業熱心である。
ちなみに、朝食セットも充実し、和定食(1,050円)や豚汁セット(840円)モーニングセット(960円)など。朝も昼も種類は多いが、全体に価格はやや高めのように思える。コンペルームは6室。全体的に明るさと開放感が印象的なレストランである。
変わっていたのが、プレー終了後に利用した浴室。脱衣場は清潔感があり、デザインも一般的なもので使いやすい。だが、浴室に足を踏み入れ、外を眺めて驚いた。
窓の外には玄関と同じ様に薄く水を張ったスペースがあり、正面は高い壁。コースや周囲の山並みなどは全く見えない。まるで現代アートの世界に入り込んだかのようだ。バブルの余韻さえ感じる設計である。浴槽は「ぬるめ」「あつめ」に分かれていた。
入浴後、宅配便でバッグを送ろうと受付場所を探した。1階のスターテイングテラス近くにテーブルが並べてあり、女性スタッフさんが1人で奮戦している。
暑い外気に当たりながら用紙に記入しているとまた、汗が出てきた。「せっかくお風呂に入られたのに、すみませんねぇ」とスタッフさんも申し訳なさそう。空調の効いた館内に受付スペースを確保することはできないのだろうか。
細かなことだが、ロッカー内にあったスリッパは底の厚いしっかりしたもので気持がよかった。駐車場もクラブハウスに近く、スペースも十分に確保されている。
最後に大切な「プレー料金」と「アクセス」について記したい。基本料金はハイシーズンで平日9,300円(4バッグ、セルフプレー、昼食付)、土日祝日が同じ条件で16,800円。オフシーズンで平日が同じく8,800円、土日祝日が13,800円。
他に「旬の味覚杯」と題したオープンコンペを毎月2回程度実施しており、優勝しなくても「飛び賞」や「残念賞」で景品の果物などをゲットできる。
3組9人以上なら割安な「コンペパック」プランも利用できる。これらの特別プランや平日料金には割安感が感じられる。
辛いのは電車で来場する場合のアクセスだ。クラブバスを廃止してしまったので、高崎駅からタクシーを利用するしかない。片道でも30分弱、料金に
して4500円ほどかかってしまう。同伴者と待ち合わせて同乗するか、クルマ利用の同伴者に途中でピックアップしてもらわないと負担が大きい。
受付の周りでアクセスの悪さをぼやいていたら男性スタッフさんが「タクシーで来られる方には補助が出ますよ」と話し掛けてきた。
「タクシー補助?」。聞けば「予約時に必ず申し出て、当日の朝、受付に領収書を提出すれば一人当たり1,000円の補助金が出る」のだという。これは有り難い。
1人では1,000円だけが、3人で相乗りすれば3,000円補助されるので実質1500円ほどで済む。
でも、予約時にそんな制度の説明はなかったし、HPにも補助金のことは何も書かれていない。地元では周知のことなのかもしれないが、もっと積極的に教えて欲しい。
なお、帰りのタクシー代については「適用外」だそうだから、やはりそれなりの出費は覚悟せざるを得ない。
富岡市周辺には立派なコースを抱えながら集客に苦しんでいるゴルフ場が多い。高崎駅や本庄早稲田駅から複数のゴルフ場を巡回する送迎バスの共同運行を検討してはどうだろうか。
群馬県といっても富岡市は埼玉県の直ぐ北側。東京都心からもそう遠くない距離だ。アクセスさえ改善されれば、さらに人気が出るように思われる。
2010年9月20日月曜日
2010年9月18日土曜日
武蔵野ゴルフクラブ=奥多摩の山々を望む丘陵コース。老舗だが営業姿勢は今日的
開場が昭和35年(1960年)11月。今年でちょうど50周年を迎える。この年、中高年層が頭に思い浮かべるのは「60年安保」であり、「ダッ
コちゃんブーム」であり、水原弘のヒット曲「黒い花びら」あたりだろう。50年という長い年月はゴルフ場にも独自の趣や風格を育み、同時に変化への対応も
迫ってきた。「武蔵野ゴルフクラブ」はそんな新旧の要素が交じり合った、上質で、意外性に満ちたゴルフ場だった。
(INコース10番。ティインググランドの植栽は箱庭風に良く手入れされていた。)
早朝、新宿駅からJR中央線で立川駅へ。駅前からクラブバスでゴルフ場へと向かう。ホームページ(HP)の「交通案内」に所要時間として「朝、30分~50分」とある。交通渋滞が心配されるためだろう。
こちらも用心のため1本早い7:30分発のバスに乗る。実際にかかった時間は24分。8時前に到着できた。「今日は最初からラッキーですね」と同伴者と好スコアを誓い合う。
小高い山の上にあるクラブハウスは木造2階建て。エントランスも控えめで、こじんまりとしたロッジ風。豪華さはなく、会員同士が気取らず、楽しく集うための場として設計された感じだ。「本来のゴルフ場はこうなんですよ」と主張しているようでもある。
受付スタッフさんの対応も良かった。言葉や表情にホスピタリティを感じる。すれ違うスタッフさんも「おはようございます」と挨拶を厭わない。会員やゲストの方々にも中高年層が多く、スタッフの方々と親しげに言葉を交わしている。
いわゆる名門コースはどこも従業員教育がしっかりしているが、このゴルフ場もそうした例に漏れない。口うるさい会員さんが長年にわたって鍛えてくれたおかげだろう。
改修されたロッカールームやトイレは綺麗で明るく、快適だった。気になったのはロッカールームの密度が高いこと、各ロッカーも横幅が狭く、大きなバッグが入りにくかったことと、トイレの個室が4つしかなくラッシュ時にどうなるのか心配になったことくらい。
想定したよりも早く到着できたので、練習時間はたっぷりある。受付でコインを購入してドライビングレンジへ。「9時以降の練習はアイアンのみ」に制限されるが、まだ8時過ぎなのでドライバーを持ち、気合を入れる。
14打席、ボールにはみな「MGC」(武蔵野ゴルクフラブ)のマーク。30球、315円だが、新品ばかりではなく、中には疲れた感じのボールも混じっている。
正面までの距離は220ヤード。そこに高いネットがあり、「万が一、250ヤード飛んでも大丈夫だな」と思っていたら、隣の席の方がネットの上部にボールを当てていたのでびっくり。「ボールがなかなか落ちてこない」という高弾道のボールを真近で見させてもらった。
一緒に“見学”していた同伴者が「我々は力を抜いてやりましょうね」と声を掛けてくる。
駐車場脇にあるパター練習場は、意外なほど小さかった。2グリーンのうち使用できたのは片方だけ。短時間で切り上げてOUTの1番ホールへと向かう。
(OUTの1番ホールへ)
プレースタイルは「乗用カート利用のキャディ付」。ゲストのプレー料金(キャディ付)はハイシーズンの土日、祝日で26,730円と高い(平日は17,910円)。交通費や食事代などを加えると3万円超の出費だ。
年明けの1,2月と夏場の8,9月は、ここから2,000円前後割引になるが、それでもまだ安いと喜べる水準ではない。
少しでも安く済ませたいと思うなら月曜日と金曜日の「セルフデー」がお勧め。昼食代込みでも15,000円以下でプレーでき、人気も高い。ただし、地形の変化が激しいコースなので、慣れるまではキャディ付を選択した方が無難と思われる。
(堂々とした樹木が長い歴史を物語っていた)
(OUTコースの売店。明るい女性スタッフさんが「頑張って下さい!」)
(夏の暑い時期にはこうした日陰が嬉しかった)
ラウンド中は、随所に50年の歴史と風格を感じた。樹木がみな太く、たくましい。幹にツタのようなものが絡みついた大木。形良く整えられた立派な松。周囲の景観と良くマッチした売店。全体的にお行儀が良く、落ち着いた雰囲気である。
特にティインググランド周辺の樹木は日本庭園風に良く手入れされており、「大自然の中でプレーしている」というより「箱庭の中でプレーしている」感じだ。
(ショートホールも手前が大きくえぐられ、プレーヤーにプレッシャーを与える)
しかし、そうした穏やかな表情とは裏腹にコースそのものは意外なほど起伏があり、ダイナミックだった。
ピンはもちろん、ティショットしたボールの落ち所さえ見えないブラインドホールや、フェアウエーの片側が大きくえぐられ、ショットの狙い目が絞られているなど戦略性の高いホールが連続する。
(大きく打ち下ろす11番ホール。ここのティインググランドはやや荒れ気味だった)
特にINコースは、山岳コースを思わせるほどの起伏。「武蔵野」という名前から平坦な林間コースを連想していたが、それは間違いだった。「左OB、右ワンペナです」。そんなキャディさんのアドバイスを何度、耳にしたことか。
(防球ネットのトンネル。ホール間が狭い個所も目に付いた)
(眺めの良い16番ホール。ただし、途中でフェアウエーが狭まり、難度が高い)
キャディさんに「名物ホールはあるのですか」と尋ねると、即座に「16番ですね」。ここはレギュラーティからでも460ヤード(高麗グリーン)の 長いミドルホール。約200ヤード先からフェアウエーがグッと狭くなっていて、しかも2段に分かれている。下の段からは当然、打ち上げとなり、グリーンま での距離感がつかみにくい。何とかボギーで収めたが、確かに強烈な印象を残すホールだった。
その他で印象的だったのは6番と8番のロングホール。6番はレギュラーティから550ヤード(同)と長く、セカンド地点から右に曲がって急速に下 る。いわゆる「左足下がり」のライでの正確性が求められる。2打目で失敗すると、その後が長く、厳しい。ハンディキャップは「1」。
(8番ホール。センターやや左に立ち木。右サイドには噴水の出る綺麗な池)
8番は480ヤード(同)と短いがグリーン手前に大きな立ち木と池があり、やはり2打目の落とし所が難しい。ハザードが作る美しい景観に見とれて集中力を欠くと、ひどい目に合こと必定だ。
全体の距離はレギュラーティから6,135ヤード。バックティからでも6,580ヤード(同)で、決して長くはない。コースレート(高麗グリーンの場合)はバックティから70.0、レギュラーティから68.6。
繰り返しになるが、数字以上に難易度が高いと感じたのは狭いフェアウエーと傾斜地からのショットの多さ、そして小さなグリーンの3点だ。特に傾斜地でのショットが苦手な人には辛いコースである。
ただ今は、時代の要請に応えて乗用カートを導入しており、起伏が大きいといっても体への負担は意外に少ない。以前の「歩き」の時代は、さぞ大変だったに違いないと推察する。「もう、歩けと言われたら来ませんね」と50代の同伴者も苦笑いだ。
コースを回るうちに1つ、攻略のヒントをつかんだ。高麗グリーンとベントグリーンが接近し、その間に厳しいバンカーが設けられていないホールが多 いので、無理せず2つのグリーンの間を狙って打てば、大けがをしないで済む。後半はこの安全策でスコアを改善させることが出来た。
コース上には赤い旗(グリーンセンターまで150ヤード)と黄色い旗(同100ヤード)があり、残り距離はこの旗を参考にする。これは珍しいスタイル。
打ち上げ、打ち下ろしの際には、ピンまでの残り距離を小まめにキャディさんに尋ねた。
(この日のキャディさんは若い男性。乗用カートに乗らず、機敏に動いてくれた)
そのキャディさんのレベルは高かった。同伴したのは若い男性キャディ。コースを熟知し、狙う方向や残り距離に対するアドバイスも適切。ラフに入ったボールは走って探しに行ってくれるし、OBゾーンに入ったボールもことごとく見つけ出してくれた。
グリーン上ではいつも照れくさそうに、小さな声で「ボール拭きます」。それでいてサボったことは一度もなかった。乗用カートには決して乗らず、走る。常に先のプレーを考えて動き、準備をしてくれた。
ただ口数が少なく、ホスピタリティが表に出ないので損をしていると感じた。「アドバイスは求められた時だけすれば良い」という信念を持っているようにもみえた。他のキャディたちはどうなのだろう。
コースメンテナンスは予想以上に良かった。実際にはフェアウエー、グリーン、ティインググランドともホールによって整備状況に差があり、全てが素 晴らしいというわけではなかったが、夏場のこの時期を考えれば不満は言えない。ゴルフ場として50年続いてきたのも、このメンテナンスの良さがあればこそ だろうと思った。
(2番は池越えのショートホール。レギュラーティからは池の影響はほとんどなし。池の水も濁っていて、綺麗ではなかった)
ただ、2番ショートホールで池の水が濁っていたのは残念だった。プレー前にHPで見た写真が特に綺麗だっただけに惜しまれる。
パンフレットには満開の桜を強調した美しい写真も載っていた。だが、今回プレーしたのは9月の土曜日。しかも残暑が厳しく、花々の美しさは堪能できなかった。
目に付いたのは所々に植えられた百日紅(さるすべり)と、売店前の花壇に咲いていた小さな花くらい。「景観の美しさ」より「戦略性の高さ」が印象に残るコースである。
話をクラブハウスに戻そう。まず2階のレストラン。階段の途中には大きな富士山を描いた絵画。木製のドアを開けると右側がラウンジ、左側がテーブル席。奥にコンペルームが3室。1階と同じ木のぬくもりを感じさせるロッジ風の造りだ。
大きな窓から眺められる奥多摩の山並みは壮観。クラブハウスが思いのほか高いところに立地し、コースも多摩丘陵の傾斜地に展開されていることを実感する。
注文したビール(生中)は780円、冷やし中華が1,470円。共に割高な印象。2,000円前後のステーキメニューが「お薦めランチメニュー」になっていたが、周囲では定番の「カツカレー」(1,470円)や「とろろざるセット」(同)を食べている人の姿が目立った。
一品料理は「特製キムチ」(525円)、「板わさ」(368円)など。ここは食事を楽しむというより、やはりコースを味わうべきゴルフ場である。
浴室には「おゃ?」と感じる点が2つあった。1つは洗い場中央に配された円錐状の“オブジェ”。下段に蛇口は付いているものの、椅子や洗面器は置いてなく、上段には観葉植物が植えられている。熱帯の雰囲気を出そうという工夫なのだろうか。
もう一つが狭い浴槽。細長い設計で、横幅いっぱいに窓があり、外の景観を眺めるには好都合。しかし、外を向いて入浴した場合、狭くて足が伸ばせない。大の字になってゆっくり体の疲れを癒せるのは、客が少なく空いている時に限られる。
脱衣所は明るく、外の景観が良く見えて快適だった。また、1階の洗面所には通常の備品のほかに、使い切りタイプの歯ブラシが用意してあった。
「コースの面白さ」「風格」と並び印象に残った魅力は「アクセスの良さ」だ。住所は東京都八王子市。東京駅からクラブバスの出ている立川駅までは中央線「中央特快」でわずか40分。運賃620円。バスは平日3本、土日祝日は4本。帰りも同じ本数が運行されていて便利。
ただ、朝、スムーズに運行されたバスも、帰りは土曜日夕方のラッシュに巻き込まれ、立川駅まで50分近くかかった。イライラしないためには余裕を持って行動することが必要だ。
また、立川駅からタクシーを利用すると片道4000円ほどかかる。電車利用の場合にはバスの発車時刻の確認が欠かせない。土日祝日の場合、朝 7:30分発の次は8:30分発。他は30分間隔で運行されているのにピークの時間帯だけが、なぜか1時間間隔だからだ。
クルマの場合はより便利だ。中央自動車道「八王子IC」からは5㎞強。10分あまり。圏央道の「あきる野IC」からはもっと近く4㎞ほどで10分とかからない。交通渋滞さえなければ、都心からも1時間圏内だ。
ちなみにこのゴルフ場は会員制ではあるが、「今はメンバーさんの紹介や同伴がなくても予約が可能」になっている。
2サムも平日はOK。1.5ラウンドもキャディ付、早朝スタートという条件をクリアすれば大丈夫。割安な「コンペパック」は3組9人から利用でき「パー ティでの料理を含めて、何でもご相談に乗ります」と積極的。こうした営業面での柔軟姿勢は一般ゴルファーにとっては有り難い。
プレー代の高さが引っかかるが、50年の歴史に今風の顔を併せ持った、首都圏では貴重なゴルフ場と言えるかもしれない。
(INコース10番。ティインググランドの植栽は箱庭風に良く手入れされていた。)
早朝、新宿駅からJR中央線で立川駅へ。駅前からクラブバスでゴルフ場へと向かう。ホームページ(HP)の「交通案内」に所要時間として「朝、30分~50分」とある。交通渋滞が心配されるためだろう。
こちらも用心のため1本早い7:30分発のバスに乗る。実際にかかった時間は24分。8時前に到着できた。「今日は最初からラッキーですね」と同伴者と好スコアを誓い合う。
小高い山の上にあるクラブハウスは木造2階建て。エントランスも控えめで、こじんまりとしたロッジ風。豪華さはなく、会員同士が気取らず、楽しく集うための場として設計された感じだ。「本来のゴルフ場はこうなんですよ」と主張しているようでもある。
受付スタッフさんの対応も良かった。言葉や表情にホスピタリティを感じる。すれ違うスタッフさんも「おはようございます」と挨拶を厭わない。会員やゲストの方々にも中高年層が多く、スタッフの方々と親しげに言葉を交わしている。
いわゆる名門コースはどこも従業員教育がしっかりしているが、このゴルフ場もそうした例に漏れない。口うるさい会員さんが長年にわたって鍛えてくれたおかげだろう。
改修されたロッカールームやトイレは綺麗で明るく、快適だった。気になったのはロッカールームの密度が高いこと、各ロッカーも横幅が狭く、大きなバッグが入りにくかったことと、トイレの個室が4つしかなくラッシュ時にどうなるのか心配になったことくらい。
想定したよりも早く到着できたので、練習時間はたっぷりある。受付でコインを購入してドライビングレンジへ。「9時以降の練習はアイアンのみ」に制限されるが、まだ8時過ぎなのでドライバーを持ち、気合を入れる。
14打席、ボールにはみな「MGC」(武蔵野ゴルクフラブ)のマーク。30球、315円だが、新品ばかりではなく、中には疲れた感じのボールも混じっている。
正面までの距離は220ヤード。そこに高いネットがあり、「万が一、250ヤード飛んでも大丈夫だな」と思っていたら、隣の席の方がネットの上部にボールを当てていたのでびっくり。「ボールがなかなか落ちてこない」という高弾道のボールを真近で見させてもらった。
一緒に“見学”していた同伴者が「我々は力を抜いてやりましょうね」と声を掛けてくる。
駐車場脇にあるパター練習場は、意外なほど小さかった。2グリーンのうち使用できたのは片方だけ。短時間で切り上げてOUTの1番ホールへと向かう。
(OUTの1番ホールへ)
プレースタイルは「乗用カート利用のキャディ付」。ゲストのプレー料金(キャディ付)はハイシーズンの土日、祝日で26,730円と高い(平日は17,910円)。交通費や食事代などを加えると3万円超の出費だ。
年明けの1,2月と夏場の8,9月は、ここから2,000円前後割引になるが、それでもまだ安いと喜べる水準ではない。
少しでも安く済ませたいと思うなら月曜日と金曜日の「セルフデー」がお勧め。昼食代込みでも15,000円以下でプレーでき、人気も高い。ただし、地形の変化が激しいコースなので、慣れるまではキャディ付を選択した方が無難と思われる。
(堂々とした樹木が長い歴史を物語っていた)
(OUTコースの売店。明るい女性スタッフさんが「頑張って下さい!」)
(夏の暑い時期にはこうした日陰が嬉しかった)
ラウンド中は、随所に50年の歴史と風格を感じた。樹木がみな太く、たくましい。幹にツタのようなものが絡みついた大木。形良く整えられた立派な松。周囲の景観と良くマッチした売店。全体的にお行儀が良く、落ち着いた雰囲気である。
特にティインググランド周辺の樹木は日本庭園風に良く手入れされており、「大自然の中でプレーしている」というより「箱庭の中でプレーしている」感じだ。
(ショートホールも手前が大きくえぐられ、プレーヤーにプレッシャーを与える)
しかし、そうした穏やかな表情とは裏腹にコースそのものは意外なほど起伏があり、ダイナミックだった。
ピンはもちろん、ティショットしたボールの落ち所さえ見えないブラインドホールや、フェアウエーの片側が大きくえぐられ、ショットの狙い目が絞られているなど戦略性の高いホールが連続する。
(大きく打ち下ろす11番ホール。ここのティインググランドはやや荒れ気味だった)
特にINコースは、山岳コースを思わせるほどの起伏。「武蔵野」という名前から平坦な林間コースを連想していたが、それは間違いだった。「左OB、右ワンペナです」。そんなキャディさんのアドバイスを何度、耳にしたことか。
(防球ネットのトンネル。ホール間が狭い個所も目に付いた)
(眺めの良い16番ホール。ただし、途中でフェアウエーが狭まり、難度が高い)
キャディさんに「名物ホールはあるのですか」と尋ねると、即座に「16番ですね」。ここはレギュラーティからでも460ヤード(高麗グリーン)の 長いミドルホール。約200ヤード先からフェアウエーがグッと狭くなっていて、しかも2段に分かれている。下の段からは当然、打ち上げとなり、グリーンま での距離感がつかみにくい。何とかボギーで収めたが、確かに強烈な印象を残すホールだった。
その他で印象的だったのは6番と8番のロングホール。6番はレギュラーティから550ヤード(同)と長く、セカンド地点から右に曲がって急速に下 る。いわゆる「左足下がり」のライでの正確性が求められる。2打目で失敗すると、その後が長く、厳しい。ハンディキャップは「1」。
(8番ホール。センターやや左に立ち木。右サイドには噴水の出る綺麗な池)
8番は480ヤード(同)と短いがグリーン手前に大きな立ち木と池があり、やはり2打目の落とし所が難しい。ハザードが作る美しい景観に見とれて集中力を欠くと、ひどい目に合こと必定だ。
全体の距離はレギュラーティから6,135ヤード。バックティからでも6,580ヤード(同)で、決して長くはない。コースレート(高麗グリーンの場合)はバックティから70.0、レギュラーティから68.6。
繰り返しになるが、数字以上に難易度が高いと感じたのは狭いフェアウエーと傾斜地からのショットの多さ、そして小さなグリーンの3点だ。特に傾斜地でのショットが苦手な人には辛いコースである。
ただ今は、時代の要請に応えて乗用カートを導入しており、起伏が大きいといっても体への負担は意外に少ない。以前の「歩き」の時代は、さぞ大変だったに違いないと推察する。「もう、歩けと言われたら来ませんね」と50代の同伴者も苦笑いだ。
コースを回るうちに1つ、攻略のヒントをつかんだ。高麗グリーンとベントグリーンが接近し、その間に厳しいバンカーが設けられていないホールが多 いので、無理せず2つのグリーンの間を狙って打てば、大けがをしないで済む。後半はこの安全策でスコアを改善させることが出来た。
コース上には赤い旗(グリーンセンターまで150ヤード)と黄色い旗(同100ヤード)があり、残り距離はこの旗を参考にする。これは珍しいスタイル。
打ち上げ、打ち下ろしの際には、ピンまでの残り距離を小まめにキャディさんに尋ねた。
(この日のキャディさんは若い男性。乗用カートに乗らず、機敏に動いてくれた)
そのキャディさんのレベルは高かった。同伴したのは若い男性キャディ。コースを熟知し、狙う方向や残り距離に対するアドバイスも適切。ラフに入ったボールは走って探しに行ってくれるし、OBゾーンに入ったボールもことごとく見つけ出してくれた。
グリーン上ではいつも照れくさそうに、小さな声で「ボール拭きます」。それでいてサボったことは一度もなかった。乗用カートには決して乗らず、走る。常に先のプレーを考えて動き、準備をしてくれた。
ただ口数が少なく、ホスピタリティが表に出ないので損をしていると感じた。「アドバイスは求められた時だけすれば良い」という信念を持っているようにもみえた。他のキャディたちはどうなのだろう。
コースメンテナンスは予想以上に良かった。実際にはフェアウエー、グリーン、ティインググランドともホールによって整備状況に差があり、全てが素 晴らしいというわけではなかったが、夏場のこの時期を考えれば不満は言えない。ゴルフ場として50年続いてきたのも、このメンテナンスの良さがあればこそ だろうと思った。
(2番は池越えのショートホール。レギュラーティからは池の影響はほとんどなし。池の水も濁っていて、綺麗ではなかった)
ただ、2番ショートホールで池の水が濁っていたのは残念だった。プレー前にHPで見た写真が特に綺麗だっただけに惜しまれる。
パンフレットには満開の桜を強調した美しい写真も載っていた。だが、今回プレーしたのは9月の土曜日。しかも残暑が厳しく、花々の美しさは堪能できなかった。
目に付いたのは所々に植えられた百日紅(さるすべり)と、売店前の花壇に咲いていた小さな花くらい。「景観の美しさ」より「戦略性の高さ」が印象に残るコースである。
話をクラブハウスに戻そう。まず2階のレストラン。階段の途中には大きな富士山を描いた絵画。木製のドアを開けると右側がラウンジ、左側がテーブル席。奥にコンペルームが3室。1階と同じ木のぬくもりを感じさせるロッジ風の造りだ。
大きな窓から眺められる奥多摩の山並みは壮観。クラブハウスが思いのほか高いところに立地し、コースも多摩丘陵の傾斜地に展開されていることを実感する。
注文したビール(生中)は780円、冷やし中華が1,470円。共に割高な印象。2,000円前後のステーキメニューが「お薦めランチメニュー」になっていたが、周囲では定番の「カツカレー」(1,470円)や「とろろざるセット」(同)を食べている人の姿が目立った。
一品料理は「特製キムチ」(525円)、「板わさ」(368円)など。ここは食事を楽しむというより、やはりコースを味わうべきゴルフ場である。
浴室には「おゃ?」と感じる点が2つあった。1つは洗い場中央に配された円錐状の“オブジェ”。下段に蛇口は付いているものの、椅子や洗面器は置いてなく、上段には観葉植物が植えられている。熱帯の雰囲気を出そうという工夫なのだろうか。
もう一つが狭い浴槽。細長い設計で、横幅いっぱいに窓があり、外の景観を眺めるには好都合。しかし、外を向いて入浴した場合、狭くて足が伸ばせない。大の字になってゆっくり体の疲れを癒せるのは、客が少なく空いている時に限られる。
脱衣所は明るく、外の景観が良く見えて快適だった。また、1階の洗面所には通常の備品のほかに、使い切りタイプの歯ブラシが用意してあった。
「コースの面白さ」「風格」と並び印象に残った魅力は「アクセスの良さ」だ。住所は東京都八王子市。東京駅からクラブバスの出ている立川駅までは中央線「中央特快」でわずか40分。運賃620円。バスは平日3本、土日祝日は4本。帰りも同じ本数が運行されていて便利。
ただ、朝、スムーズに運行されたバスも、帰りは土曜日夕方のラッシュに巻き込まれ、立川駅まで50分近くかかった。イライラしないためには余裕を持って行動することが必要だ。
また、立川駅からタクシーを利用すると片道4000円ほどかかる。電車利用の場合にはバスの発車時刻の確認が欠かせない。土日祝日の場合、朝 7:30分発の次は8:30分発。他は30分間隔で運行されているのにピークの時間帯だけが、なぜか1時間間隔だからだ。
クルマの場合はより便利だ。中央自動車道「八王子IC」からは5㎞強。10分あまり。圏央道の「あきる野IC」からはもっと近く4㎞ほどで10分とかからない。交通渋滞さえなければ、都心からも1時間圏内だ。
ちなみにこのゴルフ場は会員制ではあるが、「今はメンバーさんの紹介や同伴がなくても予約が可能」になっている。
2サムも平日はOK。1.5ラウンドもキャディ付、早朝スタートという条件をクリアすれば大丈夫。割安な「コンペパック」は3組9人から利用でき「パー ティでの料理を含めて、何でもご相談に乗ります」と積極的。こうした営業面での柔軟姿勢は一般ゴルファーにとっては有り難い。
プレー代の高さが引っかかるが、50年の歴史に今風の顔を併せ持った、首都圏では貴重なゴルフ場と言えるかもしれない。
2010年9月5日日曜日
上総一の宮カントリー倶楽部=時々、海も見える大型ゴルフ場。温暖な気候が魅力
「プレー代が安いし、コースは一流。東京からちょっと遠いけれど、今度、一緒にどうですか」。そう紹介され、誘われたのが「上総(かずさ)一の宮カントリー倶楽部」だった。ホームページ(HP)を見ると「太平洋を望む高台に広がる、シーサイドコース」とある。普段、山の中や林間でプレーすることが多いため「シーサード」という言葉にはからきし弱い。青い海、白い波を想像しながら、その日を待った。
場所は千葉県長生郡一宮町。地図で見ると九十九里海岸の南の端に近い所だ。好天の日曜日。東京駅からJR外房線、7:15分発の特急電車「わかし お1号」安房(あわ)鴨川行きに乗って一路「上総一ノ宮駅」へ。乗り換えなしの直通運転なので早い。1時間ほどで到着する。特急料金は片道900円。
接続しているクラブバスで約10分。「東京から遠いのが難点」と言われていたので、「思っていたより近いじゃないですか」と誘ってくれた同伴者に車中でお礼を言う。
南に向かって走っていたクラブバスは途中で右折し、山に向かってどんどん走る。海とは反対側だ。やがて姿を現したクラブハウスは山の高台にあった。バスを降りて周囲を見渡すが、海は見えない。
「シーサイドじゃないんですね」と言うと、受付のスタッフさんが「コースに出れば海が見えますよ」。
(クラブハウスの外観。送迎バスの多さが目立った)
開場は昭和47年(1972年)11月。すでに40年近い歴史を持つ。クラブハウスの外観はオーソドックスなデザインで、駐車場も周囲にあり、比較的広い。建物の内部がやや暗いのは落ち着いた雰囲気を出すためか、それとも老朽化した個所を目立たなくするためか。
館内は比較的ゆったりとした設計。入り口近くの一等地がゴルフバッグ置き場になっていたのが印象的。公衆電話(2台)の置かれたコーナーに懐かしさを覚える。奥のプロショップも狭いながら品数が充実。カウンターの中では女性スタッフが手持ちぶさたそうに客を待っていた。
どこか、のんびりとした雰囲気。東京近郊の何かと慌しいゴルフ場と違い、時間がゆっくり流れている感じがして嬉しい。
だが、その一方で、経営環境の厳しさを伺わせるシーンもあった。例えば、階段の上り口に掲げられた「ロッヂ」の看板。「2階は宿泊施設なのですか」と受付スタッフに尋ねたところ、「今年1月まで営業していましたが、利用者が少ないので閉鎖してしまいました」という。
最近、地方のゴルフ場を中心に割安な「宿泊パック」が増えているが、今の利用者はただ泊れるだけでは満足しない。「安さ」と「快適性」の両方が必要なのだ。これが難しい。話を聞いて一瞬、頭の中が仕事モードになってしまった。
気分を変えて、練習場に飛び出す。キャディマスター室に「アイアンしか打てません」との貼り紙。練習場の看板にも「土日、祝日のみ営業。午前7:00から11:00まで。アイアンのみ」とある。練習場にはあまり力を入れていないようだ。
ドライビングレンジの打席数は10。距離は約200ヤード。1箱30球で料金は315円。ボールは新旧のものが混ざっている。
周りを山に囲まれ、練習場から見た景色はまるで山岳コースのよう。ボールの落ちどころが下り斜面になっているため、どのくらい飛んだのか、確かに分かりにくい。
早めに切り上げてパター練習場へ。こちらはフラットで細長いグリーン。グリーンといえば丸いものと思い込んでいたので何か妙な感覚だ。プレーヤーが一列に並んで練習できるので、混みあっている時は案外、好都合かもしれない。
(東コースのINに向かうクラブバス。後ろに乗用カートを乗せて走る)
スタートは「東コースIN、10番ホール」から。そこに向かうクラブバスがまた面白かった。小型バスの後ろに特殊な荷台が付いていて、乗用カートを乗せ一緒に運ぶのだ。「キャンピングカー方式ですね」と同伴者。
こうして9時半過ぎ、やっと最初のティショットを放つ。フェアウエーは思っていたよりも広く、平坦だ。「穏やかな丘陵コース」というのが第一印象。
ただ、実際にプレーしてみるとOBゾーンが意外に近く、この10番ホールでも同伴者は左にボールを曲げて、「あれぇ~」と首をかしげていた。善し 悪しは別にして、ラフまで短く刈られているために、ボールがなかなか止まらない。これもOBが出やすい理由の一つだろうと考えられる。
(10番グリーンで見えた海。「絵になる景観」だ)
「海だ!」と叫んだのは10番ホールのグリーン近く。パッと開けた空間の先に青い海が見える。手前に松の古木。そして足元には緑のグリーン。
「シーサイドコース」といっても海沿いではないので、夢想していた浜辺や白い波は見られず、「高台から海が眺められる」といった程度だが、それでも海の見える景色は美しい。
続く11番のショートホールでも左側に海が望め、皆しばらくは正面のグリーンよりも海の方に目を向けていた。
(最も良く海の見えた14番ホール。じっくり楽しむ余裕がなかったのが残念)
最も良く見えたのは14番ロングホール。10番と同様、グリーン近くで左側に大きく海が広がる。スタート前にキャディさんが「14番では水平線が丸く見えますよ」と話していたのを思い出す。
だが、現実は厳しかった。このホールではボールを曲げて大苦戦。後ろの組が迫っていたこともあって、ゆっくり海を眺めている余裕はなかった。「この先も海は見える」と信じ、先を急いだ。
(続く15番ホールは景観が一転)
(15番のティインググランドからの景観。典型的な谷越えホールだ)
それが間違いだった。続く15番のティインググランドは周り中が木、木、木。谷越えの印象的なホールだが、海が見えなければ他の丘陵コースと変わらない。そんなホールが最終18番ホールまで続く。
(東コース1番ホール。フェアウエーが広く、伸び伸びと打てる)
午後に回った東のOUTコースも自然豊かな丘陵コース。「2番と6番で海が見えますよ」と言われていたが、2番ホールでは気づかず、懸命に海を探した6番ショートホールではティインググランドから、はるか遠く、樹木の間にちょっとだけ見ることができた。
(東コースの5番ホールからは海がちょっとだけ眺められた)
このゴルフ場は東コースと西コースからなる。各18ホールあり計36ホール。海があるのは東側なので、西コースからはほとんど見えない。ハワイな どにある「シーサイドコース」のイメージとはだいぶ違ったが、今回は東コースを回ったので、何とか美しい景観に出会うことはできた。
ゴルフ仲間には「比較的平坦で、美しい丘陵コース。おまけに東コースでは時々、遠くに海が見えますよ」と正確に案内してあげたい。
ここまで景観にこだわってしまったが、コースとしての面白さも味わえた。特に印象に残ったのは5番のミドルホールと6番のショートホールだ。
5番ホールは第2打地点に立って、びっくりした。ベントグリーンは左にドッグレッグした先に見えるが、高麗グリーンは正面の谷をグッと下った、まさに“底”にある。
この日、利用したのはその高麗グリーンだった。残った距離は短いが、風と打ち下ろしの影響が読みきれず、クラブ選択に迷う。前を見ると右側にフォアキャディさんが立っていた。OBが出たり、ボールがなくなったりと、トラブル多発地帯であることが分かる。
悩んだ末、短めに打つ。「あっ、ちょっと左かな」。慌ててフォアキャディさんを見る。サッと両手を広げた。「セーフだ」。降りてみると、グリーン左サイドのネットの下にボールが止まっていた。なかなかスリリングである。
6番は池越えのショートホール。といっても谷が深く、ティインググランドからは池が見えないため、実感としては谷越えホールだ。レギュラーティからは182ヤードあるのにレディースティからは54ヤード。このあたりは共にトリッキーな設計。
コース全体で言えば「美しい絵になるホール」よりも、こんなレイアウトの面白さやハザードの存在から「印象に残るホール」の方が多かった。
(フラットだが、要所にバンカーが配され、正確なショットを求められる)
コースやグリーンのメンテナンスはまずまず。キャディマスター室でグリーンの硬さとスピードを尋ねたが、「測っていません」とのこと。これはちょっと残念。ただ「刈り高は3㎜なので結構、速いと思いますよ」。
コース内の売店は無人で、自動販売機を利用するため現金が必要。また南国ムードを醸し出すような樹木や、柑橘類の実がなった木が所々に植えられて、プレーヤーの目を楽しませてくれたことも付け加えておきたい。
プレースタイルは、東コースが「乗用カート利用のセルフプレー」、西コースが「歩き(リモコンカート利用)のセルフプレー」。キャディ付プレーを希望することもできる。料金はプラス3,000円(3~4バッグの場合)。
(乗用カートには詳しいレイアウト図が常備されていた。これは役に立った)
料金表を見ると、今回プレーした夏季シーズンの場合、平日は東コース8,000円、西コース5,800円。一番高い土曜日で東コース13,300円、西コース12,300円と東コースの方が高い。
キャディさんに「東コースの方がレベルが高いのですか」と聞くと、「コースに差があるわけではなく、乗用カート代などが含まれるためです」との返事。
確かにレギュラーティからの全長距離(高麗グリーン)は東が6,262ヤード、西が6,328ヤード。同じくコースレート(同)も東が70・0、西が69・1と似たような数字だ。
今回は「乗用カート利用のセルフプレー、高麗グリーン」だったので、次回は西コースやベントグリーンでラウンドしてみたい。何せ全部で36ホールもある雄大なゴルフ場。「西コースはまた東とは違う趣きがある」そうだから楽しみだ。
プレースタイルも選択できる。別途料金が掛かるが、平日なら2サムプレーや1・5ラウンドもOK。事情が許せばスループレーも可能だ。「混雑する土日、祝日は難しい」がこれはやむを得ない。
プレー終了後は浴室へ直行。クラブハウスがやや疲れた感じのだったので、正直、あまり期待はしていなかった。しかし、しっかり改装されていて、湯 船いっぱいに西日が降り注ぎ、中は眩しいくらい。パーティションも整備されている。コンパクトな設計で、豪華さには掛けるが不満はない。窓の外には小さな 庭園。
脱衣場も同じ様な印象。飾り気はないが機能的には必要なものが整っている。ただ、脱衣場の外に並ぶロッカーは幅が狭く、ちょっと使いにくかった。
2階のレストランは、ほぼ予想した通りの雰囲気だった。今風のデザインではないものの、豪華ささえ求めなければ十分、寛げる。奥にテーブルを縦に並べたスペースがあり、コンペのパーティはここで行う。
朝食は和・洋定食、おにぎり定食がいずれも650円。ランチメニューは945円の「信州戸隠そば鴨せいろ」から2,500円の「産地直送 活締め鰻重」まで種類が豊富。周囲を見ると1,360円の「魚介入りカレーライス」や1,580円の「一の宮弁当」に人気が集まっていた。
ビール(生中)は670円。パーティプランは割安で単品料理の種類も多く、工夫を凝らしているなと感じた。
帰り際に「次回は一泊して東コースと西コースを全部回りたい。どこに宿泊したら良いでしょうか」と聞いてみた。教えてくれたのが「サンライズ九十九里」という国民宿舎。パンフレットを手渡してくれた。
よく見ると「サンライズ ゴルフ コレクション」という商品があり、平日プレーなら「1泊2食付」で17,000円とある。ただし、場所がかなり離れているため、クルマがないと移動が難し い。「人数がまとまるようなら、送迎バスを検討しますよ」と担当の男性スタッフさん。
「4人でもいいですか」と尋ねたら「う~ん・・・」。人数が確定したら改めて相談しましょうということになった。
最後に、このゴルフ場が自慢する「温暖な気候」について触れたい。HPには「海沿いの気候のため、内陸コースより気温が夏は1、2度涼しく、冬は3度暖かいと言われています」とある。
気象庁に問い合わせてみると、一宮町の月間平均気温は計測していないが、最寄りの茂原市分の観測データがあり、それによると冬でも1日の平均気温が7度前後(2009年)と確かに温かい。このゴルフ場は茂原市より海に近い分だけ、さらに温かそうだ。
夏場は茂原市で25度前後(同)。2010年の猛暑ではさすがに平均気温も上昇したに違いないが、プレーをしたこの日も、暑い都心よりは多少涼しく感じた。
「雷も来ない」という。そう聞いて、コース内に避雷用の小屋がほとんどなかったことにも合点がいった。
「トップシーズンは11月から12月。プレー代もこの時期が一番高くなります」。降雪に悩まされる北関東のゴルフ場から見れば羨ましい限り。温暖で安定したな気候は大きな魅力である。
場所は千葉県長生郡一宮町。地図で見ると九十九里海岸の南の端に近い所だ。好天の日曜日。東京駅からJR外房線、7:15分発の特急電車「わかし お1号」安房(あわ)鴨川行きに乗って一路「上総一ノ宮駅」へ。乗り換えなしの直通運転なので早い。1時間ほどで到着する。特急料金は片道900円。
接続しているクラブバスで約10分。「東京から遠いのが難点」と言われていたので、「思っていたより近いじゃないですか」と誘ってくれた同伴者に車中でお礼を言う。
南に向かって走っていたクラブバスは途中で右折し、山に向かってどんどん走る。海とは反対側だ。やがて姿を現したクラブハウスは山の高台にあった。バスを降りて周囲を見渡すが、海は見えない。
「シーサイドじゃないんですね」と言うと、受付のスタッフさんが「コースに出れば海が見えますよ」。
(クラブハウスの外観。送迎バスの多さが目立った)
開場は昭和47年(1972年)11月。すでに40年近い歴史を持つ。クラブハウスの外観はオーソドックスなデザインで、駐車場も周囲にあり、比較的広い。建物の内部がやや暗いのは落ち着いた雰囲気を出すためか、それとも老朽化した個所を目立たなくするためか。
館内は比較的ゆったりとした設計。入り口近くの一等地がゴルフバッグ置き場になっていたのが印象的。公衆電話(2台)の置かれたコーナーに懐かしさを覚える。奥のプロショップも狭いながら品数が充実。カウンターの中では女性スタッフが手持ちぶさたそうに客を待っていた。
どこか、のんびりとした雰囲気。東京近郊の何かと慌しいゴルフ場と違い、時間がゆっくり流れている感じがして嬉しい。
だが、その一方で、経営環境の厳しさを伺わせるシーンもあった。例えば、階段の上り口に掲げられた「ロッヂ」の看板。「2階は宿泊施設なのですか」と受付スタッフに尋ねたところ、「今年1月まで営業していましたが、利用者が少ないので閉鎖してしまいました」という。
最近、地方のゴルフ場を中心に割安な「宿泊パック」が増えているが、今の利用者はただ泊れるだけでは満足しない。「安さ」と「快適性」の両方が必要なのだ。これが難しい。話を聞いて一瞬、頭の中が仕事モードになってしまった。
気分を変えて、練習場に飛び出す。キャディマスター室に「アイアンしか打てません」との貼り紙。練習場の看板にも「土日、祝日のみ営業。午前7:00から11:00まで。アイアンのみ」とある。練習場にはあまり力を入れていないようだ。
ドライビングレンジの打席数は10。距離は約200ヤード。1箱30球で料金は315円。ボールは新旧のものが混ざっている。
周りを山に囲まれ、練習場から見た景色はまるで山岳コースのよう。ボールの落ちどころが下り斜面になっているため、どのくらい飛んだのか、確かに分かりにくい。
早めに切り上げてパター練習場へ。こちらはフラットで細長いグリーン。グリーンといえば丸いものと思い込んでいたので何か妙な感覚だ。プレーヤーが一列に並んで練習できるので、混みあっている時は案外、好都合かもしれない。
(東コースのINに向かうクラブバス。後ろに乗用カートを乗せて走る)
スタートは「東コースIN、10番ホール」から。そこに向かうクラブバスがまた面白かった。小型バスの後ろに特殊な荷台が付いていて、乗用カートを乗せ一緒に運ぶのだ。「キャンピングカー方式ですね」と同伴者。
こうして9時半過ぎ、やっと最初のティショットを放つ。フェアウエーは思っていたよりも広く、平坦だ。「穏やかな丘陵コース」というのが第一印象。
ただ、実際にプレーしてみるとOBゾーンが意外に近く、この10番ホールでも同伴者は左にボールを曲げて、「あれぇ~」と首をかしげていた。善し 悪しは別にして、ラフまで短く刈られているために、ボールがなかなか止まらない。これもOBが出やすい理由の一つだろうと考えられる。
(10番グリーンで見えた海。「絵になる景観」だ)
「海だ!」と叫んだのは10番ホールのグリーン近く。パッと開けた空間の先に青い海が見える。手前に松の古木。そして足元には緑のグリーン。
「シーサイドコース」といっても海沿いではないので、夢想していた浜辺や白い波は見られず、「高台から海が眺められる」といった程度だが、それでも海の見える景色は美しい。
続く11番のショートホールでも左側に海が望め、皆しばらくは正面のグリーンよりも海の方に目を向けていた。
(最も良く海の見えた14番ホール。じっくり楽しむ余裕がなかったのが残念)
最も良く見えたのは14番ロングホール。10番と同様、グリーン近くで左側に大きく海が広がる。スタート前にキャディさんが「14番では水平線が丸く見えますよ」と話していたのを思い出す。
だが、現実は厳しかった。このホールではボールを曲げて大苦戦。後ろの組が迫っていたこともあって、ゆっくり海を眺めている余裕はなかった。「この先も海は見える」と信じ、先を急いだ。
(続く15番ホールは景観が一転)
(15番のティインググランドからの景観。典型的な谷越えホールだ)
それが間違いだった。続く15番のティインググランドは周り中が木、木、木。谷越えの印象的なホールだが、海が見えなければ他の丘陵コースと変わらない。そんなホールが最終18番ホールまで続く。
(東コース1番ホール。フェアウエーが広く、伸び伸びと打てる)
午後に回った東のOUTコースも自然豊かな丘陵コース。「2番と6番で海が見えますよ」と言われていたが、2番ホールでは気づかず、懸命に海を探した6番ショートホールではティインググランドから、はるか遠く、樹木の間にちょっとだけ見ることができた。
(東コースの5番ホールからは海がちょっとだけ眺められた)
このゴルフ場は東コースと西コースからなる。各18ホールあり計36ホール。海があるのは東側なので、西コースからはほとんど見えない。ハワイな どにある「シーサイドコース」のイメージとはだいぶ違ったが、今回は東コースを回ったので、何とか美しい景観に出会うことはできた。
ゴルフ仲間には「比較的平坦で、美しい丘陵コース。おまけに東コースでは時々、遠くに海が見えますよ」と正確に案内してあげたい。
ここまで景観にこだわってしまったが、コースとしての面白さも味わえた。特に印象に残ったのは5番のミドルホールと6番のショートホールだ。
5番ホールは第2打地点に立って、びっくりした。ベントグリーンは左にドッグレッグした先に見えるが、高麗グリーンは正面の谷をグッと下った、まさに“底”にある。
この日、利用したのはその高麗グリーンだった。残った距離は短いが、風と打ち下ろしの影響が読みきれず、クラブ選択に迷う。前を見ると右側にフォアキャディさんが立っていた。OBが出たり、ボールがなくなったりと、トラブル多発地帯であることが分かる。
悩んだ末、短めに打つ。「あっ、ちょっと左かな」。慌ててフォアキャディさんを見る。サッと両手を広げた。「セーフだ」。降りてみると、グリーン左サイドのネットの下にボールが止まっていた。なかなかスリリングである。
6番は池越えのショートホール。といっても谷が深く、ティインググランドからは池が見えないため、実感としては谷越えホールだ。レギュラーティからは182ヤードあるのにレディースティからは54ヤード。このあたりは共にトリッキーな設計。
コース全体で言えば「美しい絵になるホール」よりも、こんなレイアウトの面白さやハザードの存在から「印象に残るホール」の方が多かった。
(フラットだが、要所にバンカーが配され、正確なショットを求められる)
コースやグリーンのメンテナンスはまずまず。キャディマスター室でグリーンの硬さとスピードを尋ねたが、「測っていません」とのこと。これはちょっと残念。ただ「刈り高は3㎜なので結構、速いと思いますよ」。
コース内の売店は無人で、自動販売機を利用するため現金が必要。また南国ムードを醸し出すような樹木や、柑橘類の実がなった木が所々に植えられて、プレーヤーの目を楽しませてくれたことも付け加えておきたい。
プレースタイルは、東コースが「乗用カート利用のセルフプレー」、西コースが「歩き(リモコンカート利用)のセルフプレー」。キャディ付プレーを希望することもできる。料金はプラス3,000円(3~4バッグの場合)。
(乗用カートには詳しいレイアウト図が常備されていた。これは役に立った)
料金表を見ると、今回プレーした夏季シーズンの場合、平日は東コース8,000円、西コース5,800円。一番高い土曜日で東コース13,300円、西コース12,300円と東コースの方が高い。
キャディさんに「東コースの方がレベルが高いのですか」と聞くと、「コースに差があるわけではなく、乗用カート代などが含まれるためです」との返事。
確かにレギュラーティからの全長距離(高麗グリーン)は東が6,262ヤード、西が6,328ヤード。同じくコースレート(同)も東が70・0、西が69・1と似たような数字だ。
今回は「乗用カート利用のセルフプレー、高麗グリーン」だったので、次回は西コースやベントグリーンでラウンドしてみたい。何せ全部で36ホールもある雄大なゴルフ場。「西コースはまた東とは違う趣きがある」そうだから楽しみだ。
プレースタイルも選択できる。別途料金が掛かるが、平日なら2サムプレーや1・5ラウンドもOK。事情が許せばスループレーも可能だ。「混雑する土日、祝日は難しい」がこれはやむを得ない。
プレー終了後は浴室へ直行。クラブハウスがやや疲れた感じのだったので、正直、あまり期待はしていなかった。しかし、しっかり改装されていて、湯 船いっぱいに西日が降り注ぎ、中は眩しいくらい。パーティションも整備されている。コンパクトな設計で、豪華さには掛けるが不満はない。窓の外には小さな 庭園。
脱衣場も同じ様な印象。飾り気はないが機能的には必要なものが整っている。ただ、脱衣場の外に並ぶロッカーは幅が狭く、ちょっと使いにくかった。
2階のレストランは、ほぼ予想した通りの雰囲気だった。今風のデザインではないものの、豪華ささえ求めなければ十分、寛げる。奥にテーブルを縦に並べたスペースがあり、コンペのパーティはここで行う。
朝食は和・洋定食、おにぎり定食がいずれも650円。ランチメニューは945円の「信州戸隠そば鴨せいろ」から2,500円の「産地直送 活締め鰻重」まで種類が豊富。周囲を見ると1,360円の「魚介入りカレーライス」や1,580円の「一の宮弁当」に人気が集まっていた。
ビール(生中)は670円。パーティプランは割安で単品料理の種類も多く、工夫を凝らしているなと感じた。
帰り際に「次回は一泊して東コースと西コースを全部回りたい。どこに宿泊したら良いでしょうか」と聞いてみた。教えてくれたのが「サンライズ九十九里」という国民宿舎。パンフレットを手渡してくれた。
よく見ると「サンライズ ゴルフ コレクション」という商品があり、平日プレーなら「1泊2食付」で17,000円とある。ただし、場所がかなり離れているため、クルマがないと移動が難し い。「人数がまとまるようなら、送迎バスを検討しますよ」と担当の男性スタッフさん。
「4人でもいいですか」と尋ねたら「う~ん・・・」。人数が確定したら改めて相談しましょうということになった。
最後に、このゴルフ場が自慢する「温暖な気候」について触れたい。HPには「海沿いの気候のため、内陸コースより気温が夏は1、2度涼しく、冬は3度暖かいと言われています」とある。
気象庁に問い合わせてみると、一宮町の月間平均気温は計測していないが、最寄りの茂原市分の観測データがあり、それによると冬でも1日の平均気温が7度前後(2009年)と確かに温かい。このゴルフ場は茂原市より海に近い分だけ、さらに温かそうだ。
夏場は茂原市で25度前後(同)。2010年の猛暑ではさすがに平均気温も上昇したに違いないが、プレーをしたこの日も、暑い都心よりは多少涼しく感じた。
「雷も来ない」という。そう聞いて、コース内に避雷用の小屋がほとんどなかったことにも合点がいった。
「トップシーズンは11月から12月。プレー代もこの時期が一番高くなります」。降雪に悩まされる北関東のゴルフ場から見れば羨ましい限り。温暖で安定したな気候は大きな魅力である。
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