2010年11月14日日曜日
本千葉カントリークラブ=伊達ではなかった40年の歴史。距離短いが、コースマネジメント力が必要な丘陵コース
(クラブハウス前から見た景観)
住所は千葉県千葉市緑区。北に「袖ヶ浦カンツリークラブ」、南に「浜野ゴルフクラブ」という名門に挟まれた激戦地にあって、「本千葉」という強い 名前のゴルフ場は以前から気になっていた。今回、知人に「一度、ぜひ」と声を掛けられ即、飛びついた。丘陵コースとしては比較的フラットのように思え、距 離も短い。万全を期し、好スコアを狙ってスタートしたが、しっぺ返しが痛かった。
事前のチェックはいつも以上に念入りに行った。まずホームページ(HP)でコースを調べた。
「コース案内」に『詳しい写真付きコース紹介は、コチラ』との表示があり、クリックしてみると確かに西コース、中コース、東コースの順で、全ホールが大きな写真で紹介されている。
(パソコン画面で見た東コース1番ホール)
ティインググランドから見た時の景観だけでなく、コースの中間点やグリーン周辺の様子なども把握できる。ホールごとの攻略法、俯瞰図も付いていて、なかなかの力作だ。
写真はアップにしたり引いたりと調整でき、左右上下に動かして見ることも可能。初体験のコースだがレイアウトが良く分かり、イメージをしっかりつかむことができた。
HPでこうした画像が見られるのは、とても有り難い。早晩、他のゴルフ場でも同様の「コース紹介」が当たり前になり、やがて写真が動画へと変わっていくのだろう。音声付き紹介なども登場してきそうだ。
(「東コース」と「中コース」をラウンドした)
今回ラウンドするのは「東コース」と「中コース」。プレーの前日、就寝前にもう一度、自宅パソコンでコースを確認、イメージを固め、気合を入れた。
翌朝、軽く練習を済ませ、9時過ぎには「東コース1番ミドルホール」のティインググランドに立つ。
緩やかなS字カーブを描いたロングホール。HPで見た景観と全く同じだ。「ティショットは右目狙い、セカンドは左目狙い」。覚えてきた攻略法を小さな声で唱える。「よし」。
ところが「想定外」のことが次々に起こった。素振りをしていると、ティインググランド近くにいたカメラマンさんが寄ってきて「写真撮ります」。
プレーヤー4人の集合写真とスイングの連続写真を撮るという。1枚にまとめてプリントアウトしたものを後で販売する仕組み。1枚1,500円という。ちょっと高い。
「今は自分のデジカメでも連続写真は撮れるし、緊張する朝イチのティショットで写真撮影は嫌だな」と思ったが、生真面目そうな方だったのでそのまま撮影を了解した。
「あっ!やっぱり」。集中力を欠いたのかボールは攻略法とは逆の左サイドへ。第2打も逆の右サイドへ飛ぶ。3打目は目の前の立ち木が邪魔をして、グリーンが狙えない。「こんな予定じゃなかったのに」。
動揺したまま2番ホールへ。ティショットを左サイドに打つと、またしても大きな木に前方が遮られる。「あっ、ここは右目狙いだったんだ」。結局、ボールはグリーン手前の深いバンカー。
昨夜のイメージトレーニングが全然、役に立たない。同伴者も「思っていたよりもトリッキーですね」と戸惑いを見せる。
HPの写真を見て比較的フラットなコースと思い込んでいたが、実際には結構、アップダウンがある。「想定外」続きだ。
スタート前、キャディマスター室近くで、男性スタッフさんと交わした会話を思い出す。
「お客さん、このコース初めてですか。ならばキャディ付を選んだ方が絶対、良いですよ。最近は安くプレーできるセルフを希望する方が多いですけどねぇ」。「えっ、でも今日はもうセルフで予約してしまったんです」。
順序が前後するが、1番ホールではもう一つ、HPに書かれていない「想定外」があった。左斜め前方に「中コース1番」のティインググランドがあり、なんと東コースと中コースのフェアウエーが、ほぼ直角にクロスしているのだ。
(手前が「東コース」1番、左奥が「中コース」の1番ティインググランド)
ティショットは双方で合図しながら交互に打つ。もちろん打球がぶつかり合うことはないのだが、漫画の世界のようなコース設計に思わず目をむいた。
(東コースの4番ショートホール。左手前の池と深いガードバンカーがプレッシャーになる)
3番ホール以降も印象的なホールが続いた。大きな池が強いプレッシャーを掛ける4番、7番の両ショートホール、左に大きくドッグレッグした6番ロングホール・・・。
(池がらみの戦略的なホールが多い)
HPの画像に嘘はなかったが、やはり実際のコースに出てみると、感覚がだいぶ違う。
そもそもここは、イメージトレーニングだけで好スコアが出るようなヤワなコースではなかったのだ。そうでなければ「ゴルフ場激戦地」で40年もの間、事業を継続できているわけがない。
(フェアウエーでは円形に芝が枯れ、珍しい模様を描いていた)
(ゴルフ場の直ぐ近くまで住宅街が迫っている)
午前中にラウンドした「東コース」は高麗グリーンで3,068ヤード(レギュラーティ)、ベントグリーンで3184ヤード(同)。決して長くはない。しかも、この日はレギュラーのティマーカーがレディースティの近くに置かれていて、距離的にはかなり楽なはずだった。
(所々にこうした深いバンカーがあり、プレーヤーを悩ませる)
だが、改めて振り返ってみると、フェアウエーバンカーやマウンド、立ち木の配置が巧妙で、想像以上に戦略性の高いコースだった。いやらしい傾斜のあるグリーン(速さは9フィート)にも手こずった。
打ち上げや砲台型のグリーンに「ラッキー」でボールが乗ることは少なく、嫌でも自分の実力通りのスコアが出てしまうコース。40年の歴史は伊達ではなかった。
午後に回った「中コース」も似たような感じ。「東コース」よりさらにフェアウエーが絞られていて、ティショットでのボールの打ち出しが狭い。
「ドライバーを思い切り振り回したい」人や「ボールが曲がりやすい」人には辛いコースと言えるかもしれない。
(高圧電線がグリーンの上を通過する)
(中コースの3番ミドルホール。池が苦手な人には景観を楽しむ余裕がないかもしれない)
(中コースの7番。S字に曲がったロングホール。左サイドの1本の木が戦略性を高めている)
(太い木が並ぶと壮観。歴史を感じさせる)
(外観、内装ともシンプルだった茶店)
(中コースは特に防球ネットが目に付いた)
ただ「キャディさんにコース戦略をアドバイスしてもらっていれば、もう少し違ったスコアになったかも」という思いは残った。
今回、「本千葉」は初めてのラウンド。しかもセルフプレー。必要以上にハザードに脅かされ、無駄に力んだという悔いがあるからだ。
ちなみに、スコアカードに書いてあるコースレート(レギュラーティ)は、今日の「東→中コース」の場合(高麗グリーン)で67.2。
思いのほか低い数字だったので、プレー終了後、キャディマスター室で確認したところ、男性スタッフさんから「(同じ条件で)70.0です」という答えが返ってきた。
スコアカードのデータが古いのか、スタッフの方が疲れた表情の私たちに同情して高めの数字を言ってくれたのかは分からないが、「慣れ」と「テクニック」と「コースマネジメント力」が求められるコースであることは確かだ。
ラウンド中に気になった点が4つある。1つはグリーン上にピッチマークが目立ったこと。「硬さを計測していないので数字では言えない」そうだが、プレーしてみた感じではグリーンは軟らかく、確かに落ちたボールの跡が付きやすかった。
本来、プレーヤーがマナーを守り、自分の付けた跡はきちんと修復しておくべきなのだが、どうやら一部、不心得者が紛れていたようだ。
(こんな紅葉が楽しめるところがもう少しあればいいのだが)
2つ目が季節感を演出する仕掛けが少なかったこと。松、杉などの樹木が多く、綺麗に紅葉したもみじを鑑賞できたのは1ヶ所だけだった。大きな花壇などもなく、全般的に飾り気の少ない“硬派なコース”との印象が強い。
3つ目はグリーンまでの残り距離を示す「100ヤード」「150ヤード」の標識が見にくかった点だ。数字を書いた杭が細い上、洒落た明朝体で書かれているので、遠くからは判読しにくい。これはぜひ改善して欲しいと思った。
最後がコースの状態。11月半ばという季節柄、芝が枯れ始めるのは仕方ないにしても、やはり落ち葉などが多く「ありのまま」の状態が目に付いた。
「ゴルフは自然との戦い」だし、手入れが行き届き過ぎるのも不自然だが、どこまで整備するか、この辺の兼ね合いは難しい。
バンカーなど全体としてのコースメンテナンスは良好で、季節が変わればもっと美しさが増すに違いない。
話題を施設や営業面に移そう。冒頭に紹介した『写真付きコース紹介』の最後に「パッティンググリーン」と「練習場」「レストラン」「その他(浴室)」の写真がおまけ風に掲載されている。まず、そちらをご覧頂きたい。
コースの場合と違って、施設の写真は実際と違わず、雰囲気も良く伝わっている。ここでは写真では見えにくい部分を中心に紹介したい。
(パター練習場側から見たクラブハウス)
まずクラブハウス。朝、玄関を入った時の印象は「ちょっと雑然としているな」というものだった。
すっきりしていない理由は直ぐに分かった。比較的狭いスペースに、ゴルフクラブやウエア類、さらに「銚子電鉄・ぬれ煎餅」等の土産物が通路へはみ出すほどに並べられていたからだ。
休息用の椅子やテーブルはそれらの裏手に置かれている。小物類を扱うプロショップも近くにあり、さらにフロア中央にテレビや自転車が鎮座している。
良く見ると「ロングランコンペ開催!」の大型パネル。「11月13日~23日まで実施し、参加費500円で豪華景品が当たるんですよ」とスーツ姿の男性が説明してくれた。プロショップにいた女性もニコニコしながら「ぜひ参加しませんか」と声を掛けてきた。
(レストランの中から見える景色。綺麗で気持ちがいい)
(パソコン画面で見たレストラン)
レストランもここでは1階右奥にあった。「和定食、洋定食(1,260円)」「モーニングコーヒー(200円)おかわり自由」「そば、おにぎりクイックメニュー(500円)」などの写真付き案内板が入り口に置かれている。とにかく賑やかなのだ。
豪華で格調高いクラブハウスには非日常的魅力を感じるが、こうした気取らない雰囲気も、これはこれで悪くないのかもしれない。
レストランの内部は意外に広かった。HPの写真で見て頂いた通りで、コースに面した窓から陽光が差し込み、天井は高く、木材を効果的に使ったデザイン。手前にあるラウンジは広く、夕方にはテレビ放送中の男子ゴルフツアーの模様を観戦する客で賑わっていた。
レストラン入り口右側には地酒や落花生など特産品の販売コーナーがあり、随所で営業の熱心さが感じられた。
ランチなどのメニュー、料金もHPに詳しく載っているので、気になる人は見て欲しい。この日はちょうど「北海道フェア」の開催中。私たちの間で人 気を集めたのは「味噌バターコーンラーメン」だった。1,500円は割高と思ったが、同伴者はがどう感じたろうか。聞きそこなった。
(パソコン画面で見た浴室)
浴室もHPに大きな写真があるのでご覧頂きたい。円形の洗い場とその内側に同じく円形の湯船が配されたユニークな設計。写真では裏側しか見えないが、手前にライオンの顔をした置き物があり、開いた口からお湯が流れ出ていた。
全体に清潔で広々としているが、ひと昔前の雰囲気が漂う。“レトロ調の浴室”と割り切って楽しむのが賢明かもしれない。機能重視の脱衣場からは外の景色が見えず、開放感に欠ける。
ロッカーはスチール製。横幅がやや狭いのが気になった。トイレはリニューアルしてあったが一部パイプがむき出しで、厚化粧の感が否めない。個室は6つ、すべて洋式。
貴重品ボックスは「カードホルダー」についているバーコードを読み取らせて使う方式。これが使いにくい。なかなか作動せずイライラしているゲストに、スタッフさんが近づいて「すみません。ちょっと要領が必要なんです」と手助けしているシーンも見掛けた。
(パソコン画面で見た練習場)
HPにはもう一つ、練習場の写真が掲載されている。見ての通りの「鳥カゴ」で9打席、30ヤード。ボールは30球210円と安いが、ロストボールを集めたようなものが多かった。
(奥に鳥カゴの練習場。アプローチ練習場はピンが立っているだけ)
HPとは別にもう一枚掲載した写真は、「鳥カゴ」の奥に設けられているアプローチ練習場側から撮影したもの。感じがだいぶ違うのがお分かりいただけると思う。
ピンフラッグは雑草の中に立ててあるだけ。バンカーもきちんと整備されているとは言い難い状態だった。せっかく造ったのにもったいないと感じた。
(パター練習場は全部で3つ。手前は「CLOSE」)
パター練習所は3つあり、そのうちの東コースと西コース脇の2つが使えた。こちらの整備状況はかなり良く、ボールの転がりがいい。近くのキャディさんに思わず「コースのグリーンもこんなに速いんですか」と聞いてしまったほどだ。周囲の景観も素晴らしい。
さて料金だ。私たちがプレーした11月はセルフプレーで、平日が9,200円(別途ロッカーフィーが210円必要)、土日曜日が18,500円(キャディ付は別途3,675円のフィーが必要)。
オフシーズンの1月、2月は同じ条件で、平日が8,000円、土日曜日が15,200円。日によって若干の違いがあり、特に月曜日はハイシーズンで8,700円、オフシーズンで7,500円と安い。
「都心からの近さ」や「コースの面白さ」を考えると、まずまずの価格水準といえるのではないか。クラブハウスや練習場など施設・設備面に華やかさを求めている人には不満かもしれないが・・・。
キャディフィの3,675円はやや高め。「カレンダー料金」表に乗用カート代を加えながらロッカーフィー(210円)だけ外すなど、価格設定に苦労している様子も伺える。
「レディースデイ」の設置、「オープンコンペ」毎月開催、「バスパック」の導入など集客を図るための努力は多くなされており、その点は利用者の立場から評価したい。
最後に交通アクセスについて。今回は東京駅発7:15分のJR京葉線特急電車「わかしお1号」(安房鴨川行)に乗車して蘇我駅で下車。同駅東口から接続しているクラブバスを利用してゴルフ場に向かった。
JRの運賃は740円+特急料金500円。乗車時間は36分で、クラブバスは8:00発、ゴルフ場には8:15分過ぎに到着した。ちょうど東京駅から1時間である。
クラブバスは7時、8時、9時の3本。ただし、7時発の便は土日祝日のみの運行となる。帰りのバスは4本あるが、蘇我駅でなく外房線の鎌取駅に向かう便も含まれているので要注意。
クルマ利用の場合は、京葉道路の蘇我ICで下りて一般道を約10分。東京駅八重洲口からの距離は50km強で、渋滞がなければ1時間ちょっとで到着する。
パンフレットに書かれた「都心より60分でティオフ」のキャッチコピーは、あながちオーバーでもない。交通アクセスは比較的良好と言ってよいだろう。
ここは会員制クラブではあるが、実質、誰でも予約が可能だ。仲間内でコンペをする時には有力な候補地となる。次回幹事が回ってくる時まで「本千葉」と覚えておこう。
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