2011年12月11日日曜日
ザ・オーシャンゴルフクラブ=茨城県北部に立地。全ホールから海が見える美しいコース。難しいグリーンに手こずる
(美しい景観に、ついつい見とれてしまう)
(そのまま「絵はがき」にも使えそうな光景)
(景観とグリーンに関心が集まりがちだが、バンカーも厄介。特にフェアウエーバンカー)
「全ホールから太平洋を一望できる。そんな絶景コースがあるんだ」と11月下旬、ゴルフ仲間から声を掛けられた。場所は茨城県日立市の北部。東京 からは遠い。ためらっていると「土曜日に前泊し、日曜日にプレーすればゆっくり楽しめるよ」と思いがけない提案。クラブハウスにホテルが併設されていて、 宿泊代を入れても比較的安く済むというのだ。12月の週末、「ザ・オーシャンゴルフクラブ」に4人が集った。
当日、仲間2人とともに上野発14:00ちょうどのJR常磐線の特急電車「スーパーひたち31号(いわき行)」に乗車。日立駅で乗り換えて、海沿いの小さな「小木津(おぎつ)駅」へ。運賃は片道2,520円(自由席利用)。
駅前にはタクシーが1台。ゴルフ場までは約10分。「道路にまだ震災の影響が残っていて、少し遠回りします」と運転手さん。料金は1,560円だった。クラブバスはない。
もう一人はクルマで来場した。「茨城県で一番ICから近いゴルフ場」とホームページ(HP)に書いてある通り、最寄りの常盤自動車道日立北ICからは5分程で来ることができたという。思ったより便利だ。
(ゴルフ場入り口にある立派なゲート。開いているのは朝のうちだけ)
クラブハウスから1㎞以上も手前に立派なゲートがあり、タクシーの運転手さんがイヤホンでゴルフ場の担当者さんに連絡、ドアを開けてもらうシステム。「暴走族などが入ってくると困るから」だという。
(クラブハウス3階にあるホテルのツインルーム)
ゴルフ場に到着したのは夕方4時。約2時間の小旅行だった。宿泊予約した「HOTEL MAGNOLIA(マグノリア)」はクラブハウスの3階。玄関脇の扉を開けてもらい、エレベーターで部屋へと向かう。
宿泊料金は1人一泊2食付で10,500円(シングル、ツインとも同額)。部屋は小ぎれいなビジネスホテルといった感じ。ちょっと狭い。ツインルームは窓からコースが望めるが、シングルルームでは、そうはいかない。
「8時から10時まで1,500円でカラオケが出来ます」と女性スタッフさん。だが「男4人でカラオケでもないだろう」とひたすら飲む。ゴルフ談義で盛り上がる前夜祭。
(スコアカード。センターにレイアウト図があり便利)
(INコース10番のスタートホールに向かう)
翌朝、軽く食事と練習を済ませコースへ出る。スタートはINコースの10番ロングホール。左サイド(東側)に太平洋。海面に朝の日差しが眩しく光る。冬晴れの好天。
すでに多くの樹木が葉を落とし、細い枝の間から海がよりはっきりと見える。
来場するまでは「海沿いのコース」と思っていたが、実際は山の中腹。海岸からは意外と離れている。
それでも「全ホールから海が見える」のはコースが山の斜面に沿って段々畑のように造成されているからだ。
(フェアウエーは思った以上に平坦。片側が山、もう一方が谷というレイアウトが多い)
(乗用カートにはレイアウトとピン位置を示す案内図があった)
(冬は葉の落ちた木が多く、海がよりはっきりと見える)
(グリーンは「ベンクロスベント」の1グリーン)
INコースよりも午後に回ったOUTコースの方がさらに上にあり、海景色を堪能することが出来た。普段、関東平野で丘陵、林間コースをラウンドすることの多い身に「海」はとても魅力的に映る。
「風の強い日は海に白波が立ち、プレーも相当影響を受けるのですが、今日は最高ですね」と常連の同伴者さんも楽しそう。
曇天や雨の日でなくて、本当にラッキーだった。「週間天気予報を見てから予約したいコースですね」ともう一人の同伴者。
景観を楽しんでいるうちに、肝心のスコアがおかしくなってきた。全長距離はバックティから6,830ヤード、レギュラーティから6379ヤード。コースレートは同じく72.3と70.4。
しっかり距離はあるし、易しい“リゾートコース”でないことは、この数字からも読み取れる。
(傾斜がきつかった12番ショートホールのグリーン)
「なんだ、これは」と声を上げてしまったのが12番のショートホールだった。グリーンの端にワンオンしたものの、グリーンはうねりのきつい“ポテトチップス”。
ファーストパットを大きくショート、セカンドパットをオーバー。急な傾斜に幻惑され、迷いが消えないまま打つとこうなる。
15番のショートホールも同様、グリーンにいじめられた。ここはベント芝のワングリーンで、比較的大きく、パターが上手でないとスコアがまとまらないコースである。
(グリーン整備には自信を持っているようだ)
スターティングテラス前に「本日のグリーンコンディション」として「刈高5㎜、速さ9・5ft」と表示されていたことを思い出す。
グリーンとは別にINコースで特に印象に残ったのが13番、16番、18番の3つのミドルホールだった。
(右に直角に曲がる13番ミドルホール。ハンディキャップは「2」)
(13番グリーン。砲台型なので、遠くの海が良く見えた)
13番は左サイドが浅いOBゾーン。第2打地点から右に直角にドッグレッグしているので、右の林に入れたらグリーンが狙えない。
正面のランディングポイントには大きなバンカーが控える。ティッショットの落とし所が極めて狭い。
グリーンに向かって上り傾斜。しかも砲台グリーンのため、2打目地点からはピンフラッグの天辺しか見えない。
(16番ミドルホール。左は深い谷、その先にバンカー群。右側は林。視覚的に強い圧迫感を受けた)
(コースに沿って続く岩場。開発時に原型をそのまま残したという)
16番もティッショットにプレッシャーが掛かるホールだった。左サイドからフェアウエーに食い込んだ谷が恐怖心をあおる。右側は林。谷を越えても左側にはバンカーが続く。
(17番ロングホール。曲げるとリカバリーで苦労する)
(平坦なコースだが、時にはうねったフェアウエーも現れる。手前の「前4」ティからは、残り140ヤードしかなかった)
(「海」「グリーン」「池」「石橋」・・。自然と人工物が同居)
(コース側から見たクラブハウス。綺麗だ)
(板で縁取られたフェアウエーバンカー。ボールが縁に止まると、なんとも打ちにくい)
18番ホールはグリーン手前、左サイドにある大きな池が面倒だった。正面に綺麗なクラブハウス。右側には太平洋の広がるとても美しいホールだが、美景に酔っている余裕はない。
(午後からはちょっと風が出てきた。海風は要注意だ)
(コース内にあった太陽光パネル。新しい時代を感じる)
(無人の売店内部。外の美しい景観が楽しめるはずだったが・・)
(海に向かって打つ4番ショートホール。苦戦しやすく、2組も詰まっていた)
(藤棚の下に置かれた木製のベンチ。老朽化し壊れそうで座れなかった)
(山の上に上がってくると、海が一段と大きく見えてきた)
コース紹介をもう少し続けさせてほしい。OUTコースでは最後の4ホールが強烈だった。
それまで難しいレイアウトやグリーンに耐えながら、悪いなりに凌いできたのだが、この最後の4ホールでスコアが崩壊したのだ。
6番は緩やかに右ドッグレッグした細めのロングホール。ティショットは安全策を取って左サイド狙い。
が、第2打で一瞬早く体が開いた。ボールは右側の山の斜面へ。リカバリーショットが木に当たり、無理した4打目がグリーン手前のバンカーにつかまる。5打目でトップ。グリーン上では3パット・・・。茫然自失。
常連の同伴者さんが「このホール、ハンディキャップ1の理由が分かったでしょう。ちょっとしたミスが大タタキになるよう設計されているんです」。
(7番ティインググランドからは太平洋が一望できる。仲間同士、しばし見惚れる)
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(この辺が一番高い。海から意外に離れていることが分かる)
(7番ミドルホールは池越え。立ち木もあり難しい。これでハンディキャップ「17」というのは信じられなかった)
7番のティインググランドで雄大な太平洋を眺め、平静を取り戻したはずだったが、ここでは立ち木と池が心を乱した。
第1打はフェアウエーのほぼセンター。仲間から「グッドショット」の声が掛かる。だが、正面に立ち木。右側から華麗なドローボールを打とうと一瞬、夢を抱いたのがいけなかった。
ボールは曲がらず、右サイドのカート道で跳ね、崖下のOBゾーンへ。打ち直しの4打目がショートし、池ポチャ。夢は夢でも悪夢。
(池はグリーンに引き寄せられていて、ボールが入りやすい。大きめに打つと、今度は返しが難しくなる)
(眼下には日立市の一部がくっきりと見えた)
8番ショートホールはグリーンやや奥にワンオンに成功。ホッとしていると、常連さんがまた「上に乗せたらダメなんですよね」。
前進して見ると、かなりの2段グリーンだ。ピンは下の段。「一番難しい所に乗せちゃいましたね」と追い討ちを掛けられる。久々に4パット。
(クラブハウスに戻る9番ホールは左サイドから池が入り込み、プレッシャーが掛かる)
最終9番ホールは18番ホールと同じ池を抱えた、とても美しいホール。だが「綺麗なバラにはトゲがある」の言葉通り、見栄と欲望に負け、仕掛けられたワナにはまってしまった。
(冬は日の暮れるのが早い。気温も急に下がってきた)
「海が見たい」「海が素晴らしい」と感激、集中力を欠いたのがいけなかった。ここは遊び半分では攻略できない、本格的なコースだったのだ。今は悔しさだけが残る。
(堂々とした構えのクラブハウス。近くの駐車場はクルマでいっぱいだった)
「比較的易しいリゾートコースだろう」と誤解したのには訳があった。豪華なクラブハウスの存在である。
(エントランスを入ったところ。高い天井とシャンデリアが印象的)
狛犬(こまいぬ)の置き物が鎮座する玄関を入ると、大きなシャンデリアが目に飛び込んで来る。その下にはソファーが並び、ゆったりとしたラウンジ。白い木製の自動ドアが左右に開くたび、エグゼクティブ感に浸れる。スタッフの対応も丁寧で、気持ちがいい。
階段の壁には「応援している」という諸見里しのぶプロの記念写真などが貼られ、キャディマスター室にはサイン入り色紙が置かれている。
(上質な感じのロッカールーム。洗面台(正面)が併設されているのがユニーク)
ロッカールームも高級感に溢れていた。大きな窓から朝の柔らかな光が降り注ぎ、幅広の木製ロッカーが美しい。
通路に洗面台が備え付けられているのも珍しい。「さすが、リゾートコース」とこの時、思い込んでしまった。
(清潔感のあるトイレ。布製ではなくペーパータオルを使用)
壁に大理石を使ったトイレも快適。個室は6つ(うち和式が1)と少な目だが、ひとつ一つが大きい。特に横幅がたっぷり取ってあって楽に動ける。
(レストランからは「池、コース、海」が良く見えた)
(陽光がレストランの中央にまで差し込んでいた)
朝のレストランも快適だった。利用客こそ少なかったが、東南の角から目いっぱい陽光が入って、室内は温室のような暖かさ。
窓の外には太平洋。眼下に長い10番ホールと大きな池。白を基調とした内装はメルヘンチックでもある。
「そんなゴージャスなだけのゴルフ場ではない」と冷静になれるチャンスはあった。ドライビングレンジである。
(ドライビングレンジは「鳥かご」)
完全な「鳥カゴ」で、正面奥に「145」ヤードの標識。打席数は8。足元のマットも滑りやすい。
(打席そばにあったバンカー。練習する気にはなれなかった)
側のバンカーは丸い窪地に砂を入れただけのもの。ボールは新旧の中古品。25球で315円。各打席に白い椅子こそあるものの、贅沢さを感じさせない「並」の練習場である。
ここで現実を直視し、気合を入れ直すべきだった。
ドライビングレンジで抱いた違和感は、次に向かった「美しいパター練習場」で簡単に消えてしまっていた。そして海の美しさに見惚れつつ、スタートホールに向かった。
繰り返すが、本格的な難しいコースである。昼食時、キャディマスター室のスタッフさんに聞くと、「このほど関東ゴルフ連盟 倶楽部対抗・茨城県予選(2012年5月)の開催コースに決まった」という。
県内のトップクラスのアマチュア選手が各ゴルフ場の名誉を掛けて真剣勝負する大会。ここはそうした競技を行う資格を備えた舞台でもあるのだ。
コースコンディションは芝の枯れた冬場であることを考慮すれば、決して悪い状態ではない。特にグリーンは上質さを保っている。
6月の大会までにどう仕上げるのか、グリーンキーパーさんの腕の見せ所だろう。
この他にも実際にラウンドしてみて気付いた点があるので、簡潔に3点だけ紹介しておきたい。
(売店は無人。鍵が掛かっていて、中には入れなかった)
1つは「売店」。OUTコース、INコースとも無人である。中に椅子などは並べてあるが、鍵が掛かっていて入室は出来ない。
(レギュラーティから201ヤードの表示。実際のティマーカーは179ヤード地点に)
2つ目は「ティ・マーカー」。注意してみると、かなり右(あるいは左)を向いている場合がある。置かれた場所も表示よりかなり前。
例えば、海に向かって打つ名物のショートホール(4番)は、レギュラーティから201ヤードの表示だが、この日は179ヤード地点に置かれていた。
ちなみに「前方特設ティ」も多く、しかも、かなり前。具体的には2番、3番、4番、5番、6番、11番、13番、16番、17番にあり、OBを打ってもボギーで上がれる可能性がある。
(冬場でも植木の手入れは欠かせない。右側の案内板には「本日のティーマーク」の表示)
3つ目が樹木の種類が多いこと。毎月開催しているオープンコンペに名前を付けていることからも、花木が自慢であることが分かる。
1月「くすのき杯」、2月「寒つばき杯」、3月「こぶし杯」、4月「山桜杯」、5月「山つつじ杯」、6月「あじさい杯」・・・。
グリーンまでの残り距離を示す表示板の脇にもツバキなどが植えられ、赤や白の花がコースに彩を加えていた。コース内には山桜が1,500本あるという。
コース内に造られた花壇の小花が疲れ気味だったのは残念だが、全体としてみると、植栽への手入れはかなり行き届いている。
さて、場面を再びクラブハウスに戻す。まずレストラン。内装や外の景色は前述した通り素晴らしいが、食事は総じて地味に感じた。
ランチメニューは8種類。「シェフの手作りグラタン」(1,260円、休日限定)が目玉商品。楽しみにしていた海鮮丼などはなかった。
売れ筋は「天ぷら付きのそば、うどん」や「坦坦麺」で、いずれも1,110円。注文したカツカレーは1,480円。ビール(生中)は661円。
リゾート施設のイメージから予想していた値段よりは、低く抑えられている印象。接待需要は少なく、価格に厳しい地元客が多いためだろう。
浴室はロッカールームの奥にあった。入り口に「太陽の湯」と書かれた暖簾が掛かっている。敷地内の源泉から引き湯した天然温泉で、売り物の一つになっている。
広さは普通。大理石を使用した浴槽は高級感がある。窓の外は庭園風だが、特別の工夫はなく、やや期待外れ。
併設されたサウナは節電のためか休止中。水風呂も浴槽はカラ状態だった。
(正面奥が浴室。右手前のカウンターで冷水のサービス)
脱衣場からはコースの一部が見えて綺麗。出入り口近くに設けられたカウンターでは冷水のサービスを実施。
ただ、全体としてはスペースに余裕がなく、ゆっくり寛げる場所も備品も十分とはいえなかった。
こう見るとハード面は豪華だが、ポイント、ポイントで様々な“運営努力”がなされていることが分かる。
プレー終了後、受付近くで男性スタッフさんに感想を伝え、話を聞いた。
「開場は1992年(平成4年)5月。完全にバブルが崩壊した後だったんです」。
確かにバブリーな建物は、今でも「計画」当時の雰囲気をよく物語っている。東京から富裕層がどんどん来場して賑わう。接待需要も旺盛。会員権相場は上昇の一途という前提。駐車場にはヘリポートまで準備されていたという。
当然、その計画は狂い、預託金償還問題などが深刻化。来場者数も減少する。平成21年4月、ついに水戸地裁日立支部に特別精算を申請。
事業を引き継いだ朝日観光開発㈱の下で経費削減に努め、再建の道を歩んでいるというのが現状だ。
だが、通常通りの運営を続けているゴルフ場から、暗さを感じることはない。豪華なクラブハウスは今でも素敵だし、「全ホールから海が見える」コースの魅力も何ら変わっていない。
むしろ料金が安くなり、プレースタイルも多様化したことで、地元ゴルファーには利用しやすくなったのではないか。
「東京からのお客様は少ないですが、地元の方にはとても人気があるんです」と同スタッフさん。
現在のプレー料金(昼食代込み)は平日6,500円(4バッグ、セルフプレー)、休日12,500円(同)。これは電話予約した際の金額で、「WEB予約」なら平日5,500円とさらに1,000円安い。
多くは乗用カート利用のセルフプレーだが、キャディ付プレーを選択することもできる。その場合は上記料金にプラス4,200円。
ただし「今はキャディが10人もいないので、予約時に必ず確認してください」とのことだった。
なお、これらの料金は10月1日から12月28日までを対象にしたのもので、年末年始は別料金。また冬季の1、2月は「WEB・早割予約」を利用すれば、休日でも10,000円(セルフ、昼食代込み)でプレーが可能だ。
「メンバーさんの紹介があれば、曜日によって500円から1,000円の割引が受けられる」など、集客力アップのため様々工夫を凝らしている。
「このプレー代は東京近郊の有力ゴルフ場の半額以下。もう高額コースではやる気になれないですね」と同伴者。地方在住のメリットを痛感した様子だ。
「2サムプレーは休日でも原則、OK」で、午後に1ラウンドをスルーで回れる「アフタヌーンプレー」やハーフだけ回る「薄暮プレー」も割安料金で受け付けている。
今回は深く考えずのんびり来場したが、次回はもう少し早く東京を出発し、午後のプレーを楽しむ。そんな「1泊2ラウンド」のプランを真剣に考えたい。
その時は「現金」をしっかり用意することを忘れずに。なにせ「カード決済ができない」という落とし穴が、最後の最後に待っていたのだから。
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