2012年9月30日日曜日
川崎国際生田緑地ゴルフ場=名匠・井上誠一氏、初期の意欲作。相次ぐ改修で“凄み”消えたが、アベレージゴルファーには十分な難易度。2013年秋にクラブハウス一新
(周辺にマンションが建ち、景観もすっかり変わった)
台風17号の接近情報が流れる9月下旬の休日。「何とか夕方まで耐えてほしい」と天に祈りつつ、クルマで川崎市に向かった。「川崎国際生田緑地ゴルフ場」は井上誠一氏が設計に携わった全国40余りのゴルフ場の中でも6番目に古い初期の作品だ。開場は1952年(昭和27年)5月。今年で還暦を迎えた。多摩丘陵の地形を巧みに生かした名コースにどう挑むか。「ミスしても腐らない、耐え るゴルフ」を天に誓ってコースに出た。
(簡素なクラブハウス。近くのバス停から歩いてくる人も多い)
(階段を下りた左側が「フロント」。傾斜地ならではの設計)
(スターティングテラスへの通路。ちょっと味気ない)
(コース側から見たクラブハウス)
(クラブハウスから出た所にあるモニュメント。側に「紅しだれ桜」が植えられていた)
(パター練習場は2面。使用できたのは1面)
(ドライビングレンジはちょっと狭い)
(OUTコースの1番は豪快な打ち下ろしホール)
(典型的な丘陵コースの光景)
OUTコースからのスタート。1番ホールはいかにも丘陵コースらしい豪快な打ち下ろし。そして2打目以降、砲台グリーンに向かって徐々に打ち上げる雄大なロングホールだ。 奥深く続く林。濃い緑。川崎市内とは思えない静かな佇まいに、早くも長い歴史と風格を感じる。 第3打のアプローチが難しい。グリーン面は見えず、手前のバンカーも良く効いている。「距離はそうないのですが、砲台グリーンと深いバンカーに苦戦する方が多いようです」とキャディさん。
(乗用カートに取り付けられたナビシステムの端末。小さくて見えにくいのが難)
ここは「セルフプレー」と「キャディ付プレー」の選択制(共に乗用カート利用)。今回はコースに敬意を払って「キャディ付プレー」を選択した。 コースの長さは「高麗グリーン」の場合、バックティから6,225ヤード、レギュラーティから6,070ヤード、レディースティから5,475ヤード。 2グリーンで、もう一方の「ベントグリーン」の場合はバックティから6,015ヤード、レギュラーティから5,860ヤード、レディースティから5,269ヤード。こちらの方が「高麗グリーン」よりもさらに200ヤードほど短い。 夏場は「高麗グリーン」(本グリーン)を使用。「ベントグリーン」に替わるのは11月以降だ。 ティインググラウンドは基本的に3つ。ゴールドティはレディースティと同じ場所で、4つの場合はバックティの後ろにフルバックティがある。 現在は使っていないが、ホールによってはさらにこの後ろに、公式競技時にのみ使用したトーナメントティがある。 「コース改修時にレギュラーティを前に移動させた」(男性スタッフさん)ホールもあり、「短い」のではなく「短くした」という表現の方が正しい。 バックティはハンディキャップに関係なく「キャディ付プレー」の時だけ可能。今回、その条件はクリアしていたが諸事情があり、レギュラーティからのプレーを選択した。 難易度はそれで十分だった。事前にキャディマスター室前で尋ねたところ、「計測はしていませんが、私の経験値で言うと高麗グリーンで68~69でしょう」と男性スタッフさん。
(2番ホールと18番ホールの交差点にあるトイレ。綺麗に整備されていた)
(フェアウエーも傾斜している。確実に右サイドを狙いたい)
2番ホールはフェアウエーの左傾斜が気になる厄介なミドル。左に曲げたらOBゾーン直撃だ。
ホームページ(HP)のコースガイドに「左サイドへのミスは大叩きの原因となり戦意喪失。次のホールへ進むのが嫌になります」といった注意書きが出ていたのを思い出す。
(どっしりした風格がある。年数を経た樹木はみな太い)
(ティインググラウンドは人工芝。他のホールも人工芝だった)
(谷越えの3番ホール。グリーンは右側の丘の上)
(女性用ティインググラウンドは谷の先に設けられていた)
(谷に落とすとフェアウエーに戻すだけで精一杯となる)
(砲台グリーンではこんなシーンが増える)
続く3番は谷越えのミドルホール。ふと足元を見ると、ティインググラウンドが何と人工芝。「これはガッカリですね」と同伴者さんと顔を見合わせる。 キャディさんが「お客さんが多く、整備がどうしても間に合わないんですよ」と申し訳なさそうに目を伏せた。ちょっと印象を悪くする。 それでも大胆なコースレイアウトが目線を先へ先へと向かわせた。第2打地点に立ってもグリーンの場所が分からないような景観。キャディさんが右奥の丘を指差す。「あそこの上です」。 目を凝らすと、ピンフラッグの上部がかろうじて見える。2番手大きめのクラブを握る。「多摩丘陵の地形をそのまま生かしたコース設計」と聞いていたが、なるほどその通りだと実感する。 「ブルドーザーなどの重機を用いず、全て手造りで整備したそうです」とキャディさんも一転、誇らしげだ。1番ホールからずっと
印象的なホールが続く。
(広いフェアウエー。ここは思いっきり飛ばしたい)
(ホール間が狭く、防球ネットが欠かせない)
(フェアウエーにもきついアップダウンが)
4番ホールは広々としていた。ティインググラウンドの右隣では少年野球チームが練習中。林越えにコーチの大きな声が聞こえてくる。少し緊張が緩む。 「これまでの3ホール、景観に惑わされ、ちょっと肩に力が入っていた」と反省。プリショットルーティーンを再確認してフェアウエーセンターにティショットを放つ。
それまで調子の出ていなかった同伴者さんも豪打で元気を取り戻していた。
だが、そんな喜びも束の間。2打目地点で目をむいた。グリーン手前のフェアウエーが大きくえぐられているのだ。 「安全に行くなら左サイド狙いです」というキャディさんのアドバイスを無視し、真っ直ぐピン狙い。どのホールもドラマチックだ。
(ティインググラウンドも整備が不可欠)
(5番は何の変哲もないホールに見えたが、とんでもなかった)
コース売店のある5番ホールはOUTコースの中で最も刺激的なレイアウトだった。緩やかな上り。広いフェアウエーのやや左サイドに細いポールが立つ。勢い良く打ち出されたボールは、そのポールの右側をすり抜け、稜線に消えた。
(急激に下るフェアウエー。その先に待ち構えるバンカー)
(易しいバンカーなど一つもない)
ボールは大きく下った急斜面の底にあった。2打目は打ち上げ。グリーン手前に並んだ3つのバンカーが悩ましい。どれもアゴの高い本格的なもの。「絶対に入れたくない」。
「昔はもっとバンカーが多かったんです。グリーンの前後左右に必ずあって。改造の際、随分つぶして簡単になってしまいました」というキャディさんの言葉に、「えっ、これでもそうなの」と驚く。 キャディさんが、さらに追い討ちを掛ける。「周囲に住宅がどんどん造られ、後ろ(バックティなど)から打たせないよう変更になり、難易度がかなり変わりました」。
改めて開業当時のコースの“凄み”に思いをはせる。「大きくうねったフェアウエー」「質量とも手強いバンカー」「小さく、こぼれやすい砲台グリーン」「タッチが難しい高麗芝」・・・。 この条件下でバックティやフルバックティからプレーすれば、確かにプロでも苦戦するはずだ。 聞けば、かつては「第1回ロレックス・ゴルフ・トーナメント」(1968年)や「第1回三越レディースオープンゴルフ」など、記念すべきプロの大会を開催してきた実績がある。 「ジャック・ニクラウスや“グリーンの妖精”ローラ・ボーなどがプレーし、全盛期の青木や尾崎、岡本も皆、ここで活躍したんです」と受付近くにいた男性スタッフさん。 「グリーンが小さ過ぎると怒って、ミスしたクラブを折ってしまったプロもいたそうです」とも。 そんな昔に比べれば、現コースは確実に大衆化している。「易しくなった」という言葉は面白くないが、内心ホッとする部分もある。
(鳥かごの中からティショットする7番ホール)
(7番ホール第2打は左足下がりの斜面から、バンカー越えショットを強いられた)
周囲の宅地化は、距離を短くしただけでなく、奇妙な光景も生んでしまった。7番、8番ホールに出現した「鳥かご」である。
ティインググラウンドをすっぽり覆うように設けられた巨大ネット。「高いボールだと、ネットに当たりそうですね」と言うと「大丈夫です。当たった場合は無罰で何度でも打ち直せますから」(キャディさん)。 側には「左側に民家有り。注意してお打ち下さい」の看板が立つ。この看板は他のホールでもしばしば登場する。
(8番ホールも鳥かごから打ち始める)
(「左(右)側に民家有り」の看板が目立つ)
(正面が昔のティインググラウンド。すっかり木が生えてしまっていた(8番)
(マンションが真近に迫る8番ホールのグリーン)
8番ロングホールでは「鳥かご」の中から正面に大きなマンションが見えた。比較的新しいマンションだそうで、ここが川崎市の住宅街にあることを再認識させられる。
2打目、3打目と進むにつれマンションは大きくなり、最後はマンションの上層階に向かって打ち上げる感じ。
「このマンションに住みたいね」「毎週(ゴルフ場に)来ちゃうだろうな。歩いて来られるし」と同伴者さんとの会話も弾む。
周辺に住まなくても都心からの「アクセス」は良好だった。渋谷に住む同伴者さんは「今朝、電車に乗っていたのは15分」とニコニコ顔だ。
クラブバスがないのが残念だが、小田急線向ヶ丘遊園駅で下車すれば、北口から小田急バスが出ている。「専修大学前」行きに乗車し、クラブハウスそばの終着点までは10分ちょっと。タクシーでも890円で到着できる。
(9番ホール。バックティは谷越えとなる右奥に設けられていた)
(9番ホールのバックティ、フルバックティ、トーナメントティ)
午前中の最後を飾る9番ホールも個性的なホールだった。ティインググラウンド前から長く、大きな谷が続く。グリーンがはるか先に小さく見える。200ヤード以上はありそうだ。
不安顔をしていると、キャディさんが「ここはバックティ。レギュラーティはもっと前の左側です」と案内してくれた。
景観がだいぶ違う。谷を避けて打てる。距離も175ヤード。これなら普通のショートホールとそう変わらない。
振り向くと、バックティの後ろにはさらに2つのティインググラウンドがあった。「CLOSED」の看板が置かれ、使用している気配は全くない。
キャディさんが「昔、アーノルド・パーマーなど世界の超一流選手が来場し、あの一番後ろのティからプレーしていたんです。相当難しかっただろうと思いますよ」と話してくれる。
まさに国際的なゴルフ場だったわけだが、開業当初の「川崎国際カントリー倶楽部」という名称は、そんな華やかな理由からではなく、「開場当時に駐留軍の存在を意識し、受け入れられやすいように国際と名づけた」のだという。何でも良く知っているキャディさんである。
ちなみに現在の名前に変更になったのは1992年(平成4年)で、パブリックゴルフ場になったのもその時から。
「以前はプロ野球の金田監督や歌手の小林明さんが良く来られました。映画の黒沢明監督も常連で、監督に連れられて吉永小百合さんも来られたことがあるそうです」
いろいろ教えてもらいつつ、午前のプレーを終了。レストランへと向かう。入り口に「崎陽軒」の立て看板。ランチメニューは全部で10種類。最高値が「ビーフステーキ定食」の2,000円。最安値が「担担麺」の1,200円。
(「冷やし中華」はシューマイ付き)
(ビールは「魔法のジョッキ」で提供された)
一番人気は崎陽軒らしく「シウマイ定食」(1,400円)。注文した「冷やし中華」(1,300円)にもシューマイがしっかり付いてきた。チタン製のようなジョッキに入ったビール(生中)は550円。価格は全般的にちょっと高めか。
(レストランからはコースと市街地が一望できる)
(朝はまだ、ガランとしていた)
レストランの内装は簡素。窓の外にはコースと住宅地が見える。男性スタッフさんが「天気が良ければ左に丹沢山系、中央に富士山、右側に多摩丘陵が望めます。その景観に感動して、井上誠一さんがこの地を選んだそうです」。
レストランでの支払いはすべて現金。慌てて近くの貴重品ボックスから財布を取り出し精算する。
実はこのゴルフ場は「前金制」である。朝、フロントでプレー代を支払い、それ以外の出費はその都度、現金で済ませる仕組み。今でもクレジットカードが使えない。
プレー料金(キャディ付プレーの場合)は平日が16,000円、休日で23,000円。夏期(8月)と冬期(2月)は特別料金になり、平日14,000円、休日21,000円。「アクセス」が良い分、水準は高い。
セルフプレーの場合はそれぞれ2,000円安くなる。2,000円のキャディフィは安いが、コースに慣れたらセルフプレーでも良いかもしれない。
通年で実施している「薄暮プレー」(9ホール)は平日5,500円、休日8,000円。「住宅地なので朝7時前のプレーはできない」取り決め。このため「早朝プレー」は実施していない。「オープンコンペ」や「コンペ割引」もない。
その代わり「川崎市民の日」や「シニア&レディースデー」「特割デー」などを設け、利用しやすいよう工夫しているので、詳しくはゴルフ場に問い合わせていただきたい。
(新クラブハウスの建設が急ピッチで進む)
昼食後、INコース10番ホールに向かう途中で、大規模な工事現場に出くわした。聞けば、新しいクラブハウスを建設中だという。
(ロッカーは幅が狭くて使いにくかった)
(脱衣場に高級感はない。奥が浴室)
(トイレ、洗面所はリニューアルが施されていた)
(キャディマスター室は昔ながらのスタイル)
(「ぜひ暖炉を撮って下さい」と男性スタッフさんに促された)
(「売店」という言葉がぴったりの雰囲気)
ロッカールームは古臭いし、浴室や脱衣場も昭和の時代を思い出させるもの。トイレ、洗面所はさすがにリニューアルが施されていたが、ラウンジ、売店を含めクラブハウスは老朽化が進み、正直、ハード面にはガッカリしていた。
それが来秋には新館が完成するという。近くにいた男性スタッフさんにさらに話しを聞くと「運営も2013年4月から㈱東急リゾートサービスに変更になります」とのこと。
建物やコースは従来通りに川崎市のものだが、運営を同社に委託するそうだ。施設が新しくなり、サービスが向上するのはありがたいが、「プレー代も値上がりするのでは」とその時、不安がよぎった。
後日、川崎市でこのゴルフ場を担当している公園管理課に電話し、話を聞いてみた。
「地方自治法に則り複数の業者を対象にコンペを実施。最良と判断された会社を選んでいますので、条件が悪くなるとは考えられません。料金体系は未定ですが、値上がりすることはないのでは・・・」との返事だった。
むしろ「クレジットカードの使用が可能になったり、新しい割安プランが登場するなど利用しやすくなるはず」とも。
利用者の間では「歴史あるレンガ造りのクラブハウスを惜しむ声もある」(男性スタッフさん)そうだが、ここは新クラブハウスの誕生に大いに期待したい。
コース紹介に戻りたい。INコースもOUTコース以上にエキサイティングなホールの連続だった。
(INコース10番ホールも左サイドに防球ネットがあった)
10番はティインググラウンド左サイドに大きな防球ネットが立つ。左側の生田緑地内に「岡本太郎美術館」があるためで、良く見ると、大阪万博で有名になったあの塔と良く似たデザインの塔が立っている。
(立派な桜の木が並ぶ。満開時の美しさに思いをはせる)
「樹齢100年の桜の木も立っているんですよ」とキャディさん。初秋のため目立たなかったが、確かにコースの左右に太く立派な桜木が並ぶ。練習場やクラブハウス周辺には小花の咲いた綺麗な花壇もあった。
このゴルフ場では多摩丘陵の自然を満喫できるだけでなく、利用者が四季の変化を肌で感じられるよう様々な努力、工夫がなされている。
(練習場近くで見つけたタヌキ。すぐに姿を消した)
朝、練習場(6打席、30ヤード、20球100円)近くで野生のタヌキに遭遇した。これも自然が豊かなことの表れだろう。
グリーン側の「100年桜」を眺めつつ、乗用カートで次のホールへと進む。
(スケールの大きさを感じる11番。右側には谷が待つ)
11番はストレートのミドルホール。ただし大きく打ち下ろした後、グリーンに向かって長く上り斜面が続くので距離感が難しい。
しかも、2打目地点からグリーン面が全く見えない。ショートしたボールが戻ってしまうほどグリーン近くは傾斜がきつい。苦戦した1番ホールを思い出す。
(堂々とした松。この時はまだ好天だった)
途中、フェアウエー右サイドに枝ぶりの良い松の木があり、キャディさんに「この松の写真、撮って下さいね」とせがまれた。他にも円錐形の樹冠が見事なヒマラヤ杉や美しい白樺など、樹木は種類が多い。
(ヤーデージ杭の側には常に小さな木が立つ)
(複雑な景観に戸惑わされた12番ミドルホール)
(砲台グリーンではピン位置が分かりにくい。旗の上からボールを落としたい)
12番は最もティショットに困ったホールだった。大きく右にドッグレッグし、ショートカットしたい誘惑にかられるが、右サイドから山がせり出し、大きな立ち木が「ショートカットなどさせるものか」と威圧する。
「あっ、正面に◎印があるぞ」と同伴者さんが叫んだ。キャディさんも「あれを狙って下さい」と間髪入れずにアドバイス。
(レイアウト図は全ホールに設置してあった)
ティインググラウンド脇には全てのホールでレイアウト図が設置されている。こうした複雑な設定のホールではこの案内図がとても役に立つ。セルフプレーの時はなおさらだろう。
(グリーンがとても小さく見えた13番ショートホール)
(急な打ち上げホール。先がどうなっているのか不安が募る)
小さなグリーンに戸惑った13番ショートホール、フェアウエー全体が左傾斜している14番ミドルホールを何とか凌ぎ、「耐えるゴルフ」を継続。
(コース売店は1ヶ所。OUTの5番、INの15番で利用できる)
(売店前にはちょっとした休憩所が設けられていた)
(最もドラスチックだった15番ホール)
(丘の上にはボールの行方を確認する女性スタッフさんが常駐)
(急な傾斜とうねり。丘陵コースの面白さを堪能できる)
だが、続く15番ホールで再びピンチを迎えた。距離が短いためHPには「サービスホール」と記されていたが、実際にはトリッキーで難しい印象。
打ち上げ後、第2打地点から急激に右下に傾斜、グリーン手前と奥に厳しいバンカーが控える。小高い丘の上にはフォアキャディさんがいて、ボールの行方を確認してくれる。
「バンカーです」「OBです」。聞こえてくるのは辛い言葉ばかり。さらにグリーン乗ってからも大変だった。
この日、高麗芝に手こずったのは事実だが、グリーン自体は比較的素直で、速さもやや遅いくらいに感じていた。朝、キャディマスター室で尋ねた時は「計測はしていませんが、8フィートちょっとくらい」という返事だった。
しかし、この15番は珍しく2段グリーン。ピン位置が難しかったこともあり、同伴者さんの間で3パット病が伝染した。
(16番ショートホールは女性も谷越え。「ナイス オン」)
(17番は左サイドに人工的な池とクリーク。一瞬、他のゴルフ場にいるような錯覚を覚えた)
17番は「川崎国際」らしからぬ女性的雰囲気のホールだった。ティインググラウンド前に愛らしい噴水付きの池。左サイドにはグリーン近くまでクリークが続く。 フェアウエーも唯一と言っていいくらい平坦。「プレーヤーの気持ちを一旦、落ち着かせよう」という設計者の配慮なのだろうか。
(名物18番ホール。この時はすでに大雨)
いよいよ最終18番ホールにたどり着いた。17番同様、目の前に池のある美しい景観だが、その先が違った。
(見事な砲台グリーンとバンカー。最終ホールにふさわしい迫力だ)
グリーンに向かって急激な上り傾斜。その斜面に大きく口を開いたバンカーが2つ。「ここの名物バンカーですよ」とキャディさんが叫ぶ。
だが我慢し切れなくなったのか、ここで天候が急変。大粒の雨がザーと降ってきた。空を覆う黒雲。風も強い。あっという間に皆、びしょ濡れだ。
「早く終わりたい」と打ち急ぐ。第2打、ボールはトップし、深いバンカーの壁に突き刺さる。「あぁ~最悪。もうダメだ・・」。今朝、天に誓った「耐えるゴルフ」が崩壊した瞬間だった。
(最終ホールには夜間照明設備がある)
東京近郊にこんなドラマチックなゴルフ場があるとは知らなかった。いずれまた、新しいクラブハウスの完成を楽しみに、ぜひ再挑戦してみたい。
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