2011年5月8日日曜日
野田市パブリックゴルフ場・けやきコース=都心に近い、綺麗で手軽な林間コース。不慣れな高麗グリーンに戸惑う
(乗用カートは2人乗り。カップルで楽しみたい)
野田市は千葉県の最北部。東は利根川を挟んで茨城県に接し、西は埼玉県春日部市に近い。周囲にはゴルフ場が多く、名門「千葉カントリークラブ・梅 郷コース」はすぐ隣。今回ラウンドした「けやきコース」は平成8年、野田市のスポーツ公園施設の一部として開場した。距離こそ短いものの、ホールごとに変 化があり、結構、楽しめる。初心者でも手軽に利用できるのが最大の魅力だ。
予約したプレー日は5月上旬の休日。パブリックコースなので誰でも自由に利用できる。通常プレーなら予約は3ヶ月前から。キャンセル料は取らない。
プレー代は首都圏のゴルフ場としてはリーズナブル。「通常料金」は平日9,700円(昼食付き)、土日祝日14,700円(同)。OFFシーズンになると、これが7,700円(同)、12,700円(同)まで値下がりする。
アクセスも良好。クルマなら常盤自動車道の柏ICから7km、約15分で到着できる。都心からでも渋滞に巻き込まれなければ1時間以内という便利さだ。
電車利用だとちょっと厄介。JR常磐線か「つくばエクスプレス」を使い、柏駅などから東武野田線に乗り換えて野田市駅ないし梅郷駅で下車。
クラブバスがないのでタクシー利用となる。両駅からはいずれも10分余り、料金は1,700円前後。
乗り換えを面倒くさがって柏駅からタクシーに乗ると約30分、4000円以上かかる。せっかくプレー代を安く抑えても、差額が吹っ飛びかねない金額だ。
当日はそんな悩みを抱える同伴者を柏駅でピックアップし、一緒にゴルフ場に向かった。
(高級ゴルフクラブを思わせるような端正な外観)
クラブハウスは予想以上に堂々とした外観だった。玄関先には綺麗な花が咲き、駐車場も広い。
気分を良くしてクルマを降りる。高級な会員制ゴルフ場ならスタッフが並んで出迎えてくれるシーンだ。
だが、さすがにそんな気配はない。自分たちでキャディバッグを担いでエントランスに入る。
(無機質な感じの内装を綺麗な花(造花)が和ませてくれる)
一歩足を踏み入れると、内部は思った通り簡素だった。コンクリート打ちっ放しの内装。受付周辺には各プレーヤーの持ち込んだゴルフバッグが無造作に置かれており、一瞬、戸惑う。
中央の柱周辺では「アメリカン倶楽部」のドライバーなどが展示販売されている。
大きな窓に面したラウンジは広く、明るく、使いやすい。大型テレビの前で若者グループが談笑している。
(ロッカールームは小ぎれいだが、コンパクトな設計)
受付手続きを済ませた後、向かったロッカールームはやや手狭。ロッカーはスチール製で、空いている番号のものを自由に使う。300円を投入し鍵を掛け、帰る時にボタンを押すと自動的に100円が返ってくる仕組み。1回のロッカー使用料200円というわけだ。
ロッカーの裏側から「初めてだと戸惑うね。最初から200円に設定しておけばいいのに」という声が漏れてきた。
ここでは飲料の購入も全て自動販売機なので、小銭を持っていないと何かと不便である。
館内の売店も無人だった。注文すると、隣の受付にいるスタッフがやって来て、対応してくれる。
「野田といえば醤油の街」らしく、醤油味のカステラ(1,000円)が土産物用に販売されていた。地元の漬物も人気でお勧めだそうだ。
人件費を削ったローコストオペレーションが徹底している。普段、ゴルフ場のスタッフに何でもやってもらう癖がついている身には抵抗感もあるが、その分、プレー代が安くなっているのだと思えば不満は言えない。
他の客もすっかりこの仕組みに慣れているようで、みんな手際よく動いている。接待目的のコースではないので、これはこれで割り切ってしまえば問題ない。
ただ、受付スタッフの対応に素っ気なさを感じたのは偶然だろうか。言葉遣いや仕草に、もう少しホスピタリティがあると嬉しい。高級ゴルフ場との差を感じたのは簡素な内装より、むしろこちらの方だった。
スタートまでに時間があったので、エントランスにキャディバッグを置いたまま、3本ほどクラブを持って練習場へ。
ボールは受付で用紙にサインし、スターティングテラス近くにいるスタッフから受け取るシステム。料金は30球200円と安いが、少し変色したボールが目立つ。
(鳥かご練習場。周囲には綺麗なツツジが咲いていた)
(しっかりとしたバンカー練習場があった)
(高麗芝に慣れるため、プレー前にもっと練習しておけば良かった)
練習場も小さかった。打席数は10。まさに「鳥かご」で、正面のネットまで30ヤードもないくらい。そのネットには弓道の的のような円が貼り付けてあった。
各打席に高さの異なるティが多く用意してあったのは嬉しかった。「鳥かご」の外には小さいながら本格的なバンカー練習場もある。
乗用カートは全て2人乗り。手引きカートもあるが、周りを見ると大半の客が乗用カートを利用している(利用料は1人1,000円)。カートにゴルフバッグを積み込む際には、男性スタッフが親切に手伝ってくれた。
乗用カートはコース内での走行が許されており、プレーの進行はかなりスムーズ。若い男女がペアで利用しているケースも多く、遠目にはリゾートゴルフ場にいるかのような錯覚を覚えた。
キャディは不在で、セルフプレーのみ。そのため各ホールのティインググランド脇には「レイアウト図」が設置されていた。スコアカード裏や乗用カート内にも同様の案内が用意されていた。
ただし、バンカーまでの距離など知りたいことが書かれておらず、もう少し詳しい方がコースに不慣れなプレーヤーには有り難い。
昼休みに「コースガイドがありますよ」と教えられ、後半は1枚(B4サイズ)の裏表に印刷された「ガイド」(無料)を見ながらラウンドした。このガイドの方が内容は少し詳しい。
ティインググランドはレギュラーティとレディースティの2つだけ。バックティはない。
距離はレギュラーティからでもOUT2,624ヤード、IN2,784ヤードで、合計5,408ヤード(パー71)とかなり短い。
283ヤード、275ヤード、284ヤードの300ヤードを切るミドルホールが3つ。ロングホールも435ヤード、424ヤードといった具合だ。
(人工マットにはちょっとガッカリ)
また、人工芝のマットが敷かれていて、ホールによってはそこから打つ。これはさすがに興醒めだった。
距離が短い分、要所に池や樹木、バンカーを配置し、コースごとの変化と戦略性を高めている。自然林を生かした景観も美しい。プレー終了後に各ホールの「顔」を思い出せるのも、それぞれの個性が強いからだ。
(「S」字型に設計された1番ロングホール)
(短い4番ミドルホール。中央の2本の立ち木が印象的)
(移動の際、近所の畑の脇を通過した)
(ティインググランドには様々な表示があった)
(OUT最後の9番ホール。かなりの打ち上げで距離感に戸惑う)
1番ホールはS字に曲がったロング。2番は左サイドに林が迫る短いミドル。3番は砲台グリーンが距離感を狂わせるショート。4番はフェアウエーセ ンターの2本の立ち木が邪魔になり、5番はグリーンの傾斜がきつく、6番は大きく左にドッグレッグ、7番はグリーン近くのクリークが厄介。8番は短いが狭 く、9番は打ち上げの難しいショートホールといった具合。
(グリーン上から見た10番ホール。ティインググランドからの印象とは全く違う)
(左右の林が圧迫感を与える11番。中央に大きなケヤキ)
(ネットを避けて右に打ち出すと、クリークが待っている)
(14番は左側の樹木が目障りになる)
INの10番は左右の林と中央の立ち木がティショットの狙い目を狭くし、11番は狭く、長いロングホール。フェアウエー中央に鎮座するケヤキの大 木が印象的。12番は100ヤード前後の短いショート。13番は左側に高い防球ネット、右側にクリーク。緩やかに左ドッグレッグした14番は、ティショッ トで左手前の林が目障りになる。
(ティインググランドが林の中に設けられている15番ホール)
(続く16番ロングホール。景観的にはここが一番美しかった)
(16番の砲台グリーン。手前のバンカーに入れると大変だ)
(美しい景観。ちょっとしたリゾート気分が楽しめた)
(17番のショートホール。グリーンの手前にクリークが走る)
(全体にフラットで、池とケヤキが美しいコースだ(18番ホール)
15番は林の中からティショットを打つ。16番は池を抱いた美しい看板ホール。17番も池の景観美が素晴らしい。最後の18番は珍しく広々としているが、最後に4つのガードバンカーが待ち受けている――。
歴史が浅い割には立派な樹木が多く、風格さえ感じた。スタッフに聞くと「元の地形や樹木などをそのまま生かして造成したので、太い木が数多く残っています」。
(コースの直ぐ側に民家が)
(ミドルホールがショートホールに改造された5番。以前は奥の正面にティインググランドがあった)
近年、コース周辺に住宅が迫り、防球ネットが増え、やむなくミドルホールをショートホールに改造するなど残念な面もあるが、全体としては、年季の入った立派なケヤキが多く、自然をうまく戦略化したコース設計になっている。
想定外だったのはグリーンだ。2面とも最近では珍しい高麗芝で、難しい。「グリーンの速さはどの位ですか」とスタッフ数人に尋ねたが、誰も知らなかった。受付で聞くと「測っていません」。
他のゴルフ場と比べかなり重く感じたのは芝目のきつさもあるが、あまり短く刈っていないことの方が大きいと感じた。
別グループの人たちも「このグリーンには参ったね」とぼやいていたので、同じ様な印象を持ったのだろう。何回かラウンドし慣れるまで、ここでのパットにはコツがいる。
(所々にベアグランドがあった)
(グリーン上には一部、変色した個所も)
コースの所々にベアグランドがあり、グリーン上でも部分的に整備の拙さを感じる所があった。メンテナンスにさらに力を入れて貰えるとコースの印象はさらに良くなるだろう。
(正面がレストラン。1階にラウンジと売店が見える)
(レストランからの眺め。見えているのはINの16番ホール)
(レストランのスタッフはテキパキとし、感じが良かった)
コンクリート打ちっ放しの内装は、クラブハウス2階のレストランも同様だった。経費節約というより建設当時はこうしたデザインがはやっていたのかもしれない。
カジュアル感は食事の品揃えにも伺えた。予約したのは人気の「昼食付き」プラン。そば、カレーなど一般的なメニュー6品目の中から好きなものを選んで注文する。「単品で頼むとそれぞれ1,000円の料理」だそうだ。ちなみにビール(生中)は600円。
朝食メニューはモーニングセットで700円。つまみ類も1品350円から450円とリーズナブル。特筆するような料理はないが、そもそも豪華な食事を楽しみに来るようなコースではない。
窓は大きく明るい。木々の間から看板ホールの16番フェアウエーが見える。眼下にはパター練習場。テーブルは全部で18卓。
プレー終了後に利用した浴室はコンパクトな設計。デザインは平凡でパーティションはない。窓の外は竹の垣根。景観は遮られ、開放感もない。脱衣場はやや狭めだった。
「けやきコース」の隠れた魅力は、使い勝手の良さだ。1.5ラウンドは比較的安い追加料金で楽しめるし、ツーサムも可能。「混んでいなければ」という条件付きながらスルーで回ることもできる。
平日、空いていれば1人でもプレーできる。「練習のつもりでブラリとやって来られる方もいらっしゃいます」。
早朝プレーはないが「薄暮プレー」プランは充実している。当日の午前10時から受付を開始し、曜日などによって若干の違いはあるものの、午後3時過ぎから日没までラウンドできる。「回れるのは9ホール+αですね」と女性スタッフ。
料金は平日で4,000円、土日祝日で6,000円、ジュニア料金は1,500円(別途乗用カート代として1,000円)。
帰り際「後日、またここでプレーしたいので、ゴルフクラブを預かって欲しい」と頼んだら「プレー日が決まっていれば無料でお預かりします」と笑顔で応じてくれた。
ただし、精算時にカードが使えないのは不便だった。すべて現金での決済。仲間内から「いまどきカードが不可なんて」というため息が漏れてきそうだ。
全体として贅沢感こそ味わえないが、気のあった仲間同士で安く、手軽に楽しむには好都合なゴルフ場。飛距離を求めない女性や初心者にも好まれそうだ。覚えて置いて損のないコースである。
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