2011年2月6日日曜日

千葉セントラルゴルフクラブ=30年の歴史誇る“パブリックの名門”。オープンコンペ開催にも熱心

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(フェアウエーは意外にフラット。しかし、ハザードも多く、ショットの正確性が求められる)

 住所は千葉県市原市。文字通り千葉県の中央部(セントラル)に位置する。JR内房線五井駅からクルマで南へ約20分。一帯は人気ゴルフ場の密集地だ。その中で、敢えてこのゴルフ場でプレーしてみようと思ったのはホームページ(HP)にある「パブリックの名門」という言葉が気になってしかたなかったからだ。

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(Aコース、Bコース、Cコースからなり全部で27ホール。スケールの大きさは魅力の一つだ)

 開場は1978年(昭和53年)9月。既に30年以上の歴史を誇る。140万㎡の広大な敷地に「Aコース」「Bコース」「Cコース」の計27ホールを展開、年中無休で営業する。
 ABCという素っ気ないアルファベットより、もっとお洒落なコース名を付ければ良かったのにと思うが、そこはパブリックコース。妙な色気は最初からなかったのかもしれない。
 珍しく暖かかった2月の日曜日。同伴者と待ち合わせて、五井駅8:20分発のクラブバスに乗る。駅東口には周辺ゴルフ場行きの送迎バスが10台以上も並び、相変わらずの大賑わい。「この寒い時期に、みんなよく来るね」と自分たちのことを棚に上げて顔を見合わせる。

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(玄関側から見たクラブハウス。堂々とした構えで、周辺の植栽も綺麗)
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(コース側から見たクラブハウス。ひと昔前の典型的なデザイン)
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(自然林が多く残り、空気まで美味しく感じられた)

 到着したクラブハウスは思った以上に大きく、堂々とした外観。玄関周辺の植木は良く手入れされていて美しい。正面の駐車場も広い。
 館内は広いようでいて狭く感じた。パンフレットに掲載されている「ロビー」の写真は天井が高くスッキリし、高級感さえ漂わせているが、実際はプロショップから溢れ出したゴルフ用品が通路にまで進出。賑やかというか、商売優先の姿勢がありあり。
 最初は商品群に隠れて、スターティングテラスへの出口さえ分からなかったほどだ。
 1階には珍しいコーナーが2つあった。1つは正面右側に設けられたコーヒーショップ。名前が「イーグル」。カウンター席とテーブル席のある本格的な喫茶店で、コーヒー1杯210円。スタート前、ちょっと寛ぎたい時に便利そうだ。
 もう一つが左側にある「パターフィッティング」コーナー。女性担当者が「(パターの)バランス調整やグリップの取替えなど簡単にできますよ。いかがですか」と熱心に声を掛ける。こちらもスタートまでに時間があれば一度、利用してみたい。

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(低く、狭いスチール製のロッカーが並ぶ。扉の内側に鏡は付いていなかった)

 受付を済ませロッカールームへ。小さな階段を登った先にあったのは、背の低いスチール製ロッカーが並んだ簡素なスペース。高級会員制ゴルフ場のような豪華さや文化性といったものとは無縁の世界だ。
 もっとも「このゴルフ場に初めからそんな要素は期待していない」という利用者が圧倒的に多いようで、みなテキパキと着替え、さっさと外に飛び出して行く。

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(ドライビングレンジではドライバーなど練習できなかった)

 練習場はどうだろうか。キャディマスター室でコインを購入。クラブハウスを半周して辿り着いたドライビングレンジは、かなり変則的なものだった。
 まずドライバーが打てない。ボールの自動販売機脇に「男性はアイアンのみのご利用となっております」との貼り紙。

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(打席は高さが少しづつ異なり、3段階に分かれる。マットは中央部分が磨り減っているものが多かった)

 打席は傾斜地に設けられているため、4席ほどが3段に分かれて並んでいる。200ヤード先まで広がる“フェアウエー”も自然のままというか、デコボコしてやや荒れ気味。
 何より太陽が正面に位置し、まぶしくて打球の行方が見えないのには閉口した。この時期、この時間帯だけの問題かもしれないが、朝練習にこの立地条件は厳しい。
 同伴者は「(どうせボールが見えないので)ヘッドアップしなくて良いよ」と開き直っていた。
 料金は1コイン30球で380円。傷のない綺麗なロストボールを集めたようで、ブランド名はまちまち。パター練習場は2グリーンあり、一方は「CLOSED」。アプローチやバンカーの練習場はない。
 この日回ったのは「Bコース」と「Cコース」。コースレート(バックティから)は「A→B」の場合で70.7。「B→C」も全く同じ70.7。「C→A」の場合が69.7となっているが、「A→B」と「B→C」なら難易度に差はない。

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(「ここは林間コースです」とゴルフ場。でも丘陵コースと呼んだ方が相応しいホールもあった)

 「比較的なだらかで、要所に池を配した丘陵林間コース」という設計思想、デザインも共通している。
 レギュラーティからの全長距離は今回プレーした「Kベントグリーン」の場合、「Aコース」が2,910ヤード、「Bコース」が3,029ヤード、「Cコース」が2,932ヤード。すべて短めで、同じ様な長さ。飛距離自慢の人はバックティからプレーした方が良さそうだ。
 パター練習を終えた同伴者が次々に「Bコース」1番ホールに集まってきた。ティインググランド脇の「素振り場」でドライバーを振りながら、レイアウトを確認する。
 右サイドの谷が気になるが、思った以上にフラット。スタートし易いホールのように感じる。
 「遠方に見える鉄塔が自然美を損ねているのが残念」とチェックするくらい、心にも余裕があった。
 惜しいパーパットを外したものの、無難に、静かなスタートを切る。
 続く2番ホールは459ヤードの短い“サービスロング”。ハンディキャップは「9」。ここは着実にパーで切り抜け、「今日はかなりの好スコアが出るかも」と自分に期待する。
 結果を先に報告すると、前年の自分の年間平均スコアよりも5打ほど良いスコアで上がることができた。
 プレー終了後、キャディマスター室近くにいた男性スタッフの方にスコアを漏らすと、「アップダウンは少ないし、トリッキーではないので、初めて来場された方でも良いスコアが出やすいんですよ」と喜んでくれた。
 そう聞くと、「易し過ぎて、面白くないのだろう」と思われるかもしれないが、決してそんなことはない。注意しないとスコアを崩すワナは随所に仕掛けられている。
 今回たまたま好スコアが出たが、それは「このコースの怖さを知らなかったお陰かもしれない」と正直、後で思った。
 振り返ってみれば、まずフェアウエーが絞られたホールが多い。「かなり曲げても大丈夫」という接待ゴルフ場の造りでは全然ない。
 同伴者が『ドライバーは必ず振り切る。振り切ればボールは曲がらないんだ』とアドバイスしてくれたことに改めて感謝。
 第二に、砲台グリーンに手こずらされる。特にショートホール。わずかでも届かないとボールは10ヤード以上、斜面を転げ落ちてしまう。他のホールでもアプローチの距離感が難しい。

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(ここは左が谷、右が山。フラットだが結構、難しい。飛距離よりも方向性が大事と痛感)
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(正面の立ち木の先には池。狙い所を定めず、迷いながら打ってミス・・・)
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(その池は周囲をコンクリートで固めた調整池のように見えた)

 第三に、左右が山や谷(あるいは池)になっているホールが多く、ティショットで強いプレッシャーを感じることがある。朝、男性スタッフが「戦略性に富んだコースですよ」と話していたが、確かにその通りの設計だった。
 第四に、難しいなと感じるグリーンが幾つかあった。全体的にはオーソドックスで、ポテトチップスのようないやらしい傾斜はないのだが、時々、思った以上に速く、微妙にボールが曲がる。

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(グリーンは2つで、いづれも小さく、まん丸の砲台型。距離に差を付けた配置が目立った)

 ちなみにグリーンは各ホール2つ。いずれも小さく、まん丸。「昔の名門コースのグリーンはみな砲台型で、小さく、丸く、速かったもんですよ」とベテランの同伴者。その意味では、ここのグリーンはまさに名門の造りだった。
 一般にパブリックゴルフ場というと、「初心者でも楽しめる手軽なコース」というイメージがある。だが、ここは来場者に媚びたようなコースではない。逆に真剣に、気を引き締めてラウンドした方が楽しめるコースである。

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(コースの近くを高圧線が通る。鉄塔が自然の景観を壊してしまう場面が時々、見られた)
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(安全確保のための防球ネット。必要な設備だが景観的にはあまり良くない)
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(Cコースの7番ショートホール。箱庭的景観の美しさが際立っていた)
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(「ワンオンチャレンジ」を開催。賞品は一般的なものが多く、挑戦意欲が湧かなかった)
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(Cコース内の売店。外観、内装、品揃えともごく普通のレベルだった)

 物足りなく感じたのはコースの戦略性より景観だった。「おっ、綺麗だな」と喜んだのは「Cコース」の7番ショートホールだけ。ティマークからピンまでは約100ヤード、箱庭のような造りだ。
 近くに売店があり、「ワンオンチャレンジ」も準備されていたので、ゴルフ場側も自慢したい美景ホールなのだろう。

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(フラットなフェアウエー、両サイドに谷と山。もう少しホールごとの個性があると嬉しい)

 他のホールは「景観の美しさ」をアピールするより、「戦略性」で勝負しようとしているように思えた。ただ、距離が違うだけで雰囲気が似て、ラウンドが単調になるきらいはあった。
 もちろん、この評価については冬の2月という季節を考慮する必要がある。春になれば事情が変わってくるのかもしれない。でも、どうだろうか。
 プレーしてみて初めて気づいた点が他にもある。まずティインググランドの多さだ。各ホールで4つから5つある。各自の力量に応じてティマークを選べるし、芝の養生のためにもティインググランド数には余裕があった方が良い。実際、メンテナンスは良好だった。

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(全ホールのティインググランド側に、こうした看板があった。とても便利で分かりやすかった)

 ホールの全体像を示す“看板“は全ホールにあった。セルフプレーコースなので、こうした配慮は有り難い。大きくて見やすく、これがあるだけで随分とプレーしやすかった。
 「ワンペナ」が多いのもこのコースの特徴といえる。プレー前にその看板を見ると「右OB、左ワンペナ」などといった表記が目に付いた。同伴者も時々「ワンペナが多いねぇ」と困惑した表情を見せていた。

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(売店以外にもトイレが設けられていた。トイレは多い方が有り難い)

 いくつかのホールではファエウエーのサイドに100ヤード、150ヤードの標識とは別の特別な表示板が置かれていた。グリーン中央までの残り距離が「K68Y、B98Y」といった具合に書かれている。これも便利。
 細かい工夫だが、スコアカードに売店やトイレ、避小屋の場所が印刷されていたのも好印象。

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(乗用カートは新しく、快適だった)
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(最終ホールなどには夜間照明がきちんと設置されていた)

 なお、ここでのプレースタイルは「乗用カート利用のセルフプレー」のみ。キャディはいない。
 営業面で特筆されるべきは、スポンサー付の「オープンコンペ」を毎週のように開催していることだ。
 「冬の味覚コンペ」「マルマン杯」「サッポロビール杯」などなど。日曜日の開催もあり、多いときには100人以上の参加者で賑わうという。一度、参加してみたい。
 プレー料金は冬の1~2月が最も安く、平日で8,000円、土曜日で14,000円、日曜日で13,500円。3月になると平日で400円、土日 祝日で500円アップする。4月以降のハイシーズンに入ると平日が9,000円、土曜日が17,300円、日曜日が16,500円。平日の安さが目立つ。
 早朝にスタートして「1.5ラウンド」回る場合は平日で3,150円、土日祝日で5,250円の追加料金が必要。
 2サムを希望する場合は1人平日で1,100円、土日祝日で同2,500が加算される。数百円レベルだが、3サムでも追加料金がかかる。この辺の料金設定は結構、ガッチリしている。
 ガッチリしているといえば自動販売機の飲料の値段も高かった。普通サイズの缶で1本200円、ペットボトルサイズで同250円。市中価格より明らかに高く、「なぜ」と思わずにはいられなかった。
 昼食をとったレストランはクラブハウスの2階。天井がやや低く感じるせいか、開放感は今ひとつ。入り口近くに大手飲料メーカーのポスターが貼ってあり、高級というより、ややカジュアルな印象。
 それでもスペースは広く、明るく、普通に食事を楽しむ分には全く問題ない。窓の外にはコースの一部が見える。特に良かったのは女性スタッフのきびきびとした動き。皆にこやかで、ホスピタリティが前面に出ている。後片付けも早かった。
 「そういえば受付のスタッフも皆、感じがよかったな」と思い出す。従業員教育には力を入れているようだ。
 昼食のメニューは種類が多いものの、価格は総じて高めに感じた。ビール(生中)は700円。スタンダードメニューでは「特製牛タンカレー」の 1,280円から、上は「セントラル御前」の2,480円まで。注文した「かき揚げそば」は1,380円。特選メニューの中には3,980円(国産牛ヒレ ステーキ200g)というものもあるようだ。
 レストラン隣のラウンジには所狭しとばかりにソファーが並び、ちょっと窮屈な感じも。1階のエントランス部分を含め、全体にもう少し「空間」が欲しい。
 クラブハウスの施設の中で、最も歴史を感じたのが浴室だった。木の感触を生かした四角い洗い場の中央に、同じく四角い形をした湯船がある構造。外の景色はほとんど見えない。窓が小さく、高い所にあるためだ。
全体に湯気が立ち込め、どこか山里の温泉にでも来たような錯覚に陥る。

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(どことなく「時代」を感じさせる脱衣場。遅い時間だったせいか、のんびりムードが漂っていた)

 脱衣場も清潔で備品等も揃っているが、昔風の造りで、これといった特徴はない。外の眺めも平凡。
 周辺のゴルフ場は小まめに改修を重ね、着実にレベルアップを図っている。「パブリックの名門」を自認する以上、歴史やコースの戦略性を誇るだけでなく、こうした施設面でも他を圧倒するような魅力を備えて欲しいと願う。
 最後に「アクセス」について簡単に触れておきたい。東京駅からならJRの京葉線特急電車が便利。朝7:30分発の「さざなみ1号」(館山行)で五井駅到着8:11分。8:20分発のクラブバスに接続し、バスの乗車時間は約20分。8:40分にはゴルフ場に到着する。
 総武線・内房線直通の快速電車でも五井駅までの乗車時間はちょうど1時間。ただし朝、クラブバスはこの1便しかなく、しかも土日祝日のみの運行。平日は予約制になる。タクシーだと約3500円かかる。帰りのクラブバスは2便。
 クルマの場合は京葉道路を通り、市原ICで降りて一般道を約15分。東京駅を起点にすると、所要時間は1時間22分(NAVETIME調べ)。神奈川県方面からだと東京湾アクアライン→市原IC経由となる。

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