2012年4月15日日曜日

ユニオンエースゴルフクラブ=リゾートホテルの1階がクラブハウス。秩父連峰の大自然が楽しめる“丘陵”コース

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(クラブハウスの入り口。高い建物がホテル。駐車している大型バスで送迎する)
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(桜並木。満開の時季と見事に一致した。心が和む)
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(見上げると桜が満開)
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(西コースの8番ショートホール。225ヤードと長い)
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(武甲山を眺めると、秩父にいることを実感する)

 「秩父の夜祭」「名峰・武甲山」「長瀞の川下り」「お花畑(芝桜)」――。秩父と聞いて思い出すシーンは多いが、「リゾート」だけは浮かんでこな かった。「ユニオンエースゴルフクラブ」(埼玉県秩父市)は本格的なリゾートホテルと一体になった全27ホールの大型ゴルフ場だ。キャッチコピーは“21 世紀のゴルフ&リゾート”。認識を新たにし、4月中旬の休日、20年来の会員というメンバーさんらと一緒に秩父の山を目指した。
 
 西武池袋線の池袋駅から6:55分発の特急電車「ちちぶ3号」(西武秩父行き)に乗車。西武秩父駅到着は8時14分。所要時間は1時間20分弱。運賃は1,370円(指定席料金込み)。
 駅前駐車場には近隣ゴルフ場へ向かう送迎バスが5台待機。みな特急電車に接続しており、8時20分になると一斉に出発する。なかなか壮観だ。
 ゴルフ場までの乗車時間は約30分。ちょっと遠いのが難点だ。ゴルフ場に通じる道路はタイミング良く、春爛漫の桜並木。その花のトンネルをくぐり抜けると11階建ての大型ホテルが目に飛び込んできた。

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(ラウンジは1階に2ヶ所あり充実。正面奥がプロショップ)
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(1階にあるレストラン。明るかった)
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(各種大会のトロフィーが重厚な雰囲気を醸し出す)
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(光沢ある木製ロッカーには高級感があった。)
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(洗面所は独立した造りで上質な印象。トイレの個室は9つ。うち和式が2つ)

 1階がクラブハウス。2階に宿泊者用レストランなどがあり、3階以上が客室という構成。ゴルフ客用の受付、ロッカールーム、ラウンジ、プロショップ、レストラン、浴室などは全て1階にまとまっている。

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(エントランス正面で「韓国フェア」を開催。左手奥が受付)

 ロビーはスペースがゆったりとし、明るく綺麗だ。受付脇では「韓国フェア」と題して韓国産の食品などを販売している。
 受付の男性スタッフさんに「いつも開催しているのですか」と聞くと、「ええ、上が韓国ですから」と左手の人差し指を突き上げて微笑んだ。
 別のスタッフさんに詳しく尋ねると「開場は1978年(昭和53年)6月。2005年に競売に掛けられ、韓国資本の㈱善山ジャパン(ソンサンジャパン)が落札。事業を引き継いだのだ」という。
 同伴したメンバーさんは「韓国系になってから毎年、継続してコースや施設を改善。コースメンテナンスも良くなってきたので評判がいい」という。

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(センターにある立ち木は枝がバッサリと切られていた。難易度がだいぶ違う)

 もう1人のメンバーさんは「コース内の木を切ったり、池を埋めたりして、少し易しくなった感じがする」とちょっと不満気に話す。
 もしそうだとすれば、公表されているコースレートも今と昔とでは若干、違ってきているのかもしれない。
 一体どんなコースだろう。いろいろ思いを巡らせながら乗用カートに乗って、スタートホールへと急ぐ。
 27ホールは「東」「西」「南」に分かれる。「東コースはアップダウンが激しく初めての方には大変だと思い、本コースの西→南を予約しました」と幹事役のメンバーさん。
 後でキャディマスター室のスタッフさんに尋ねると、「(東コースは)クラブハウスから少し離れているので小型のバスで移動します。狭くてトリッキー。気に入る方もいらっしゃいますが、初心者さんは嫌がりますね」と同じような解説だった。

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(乗用カート利用のセルフプレーが中心だ)
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(キャディさん付きのプレーも可能)

 ここではキャディ付きプレーも可能だが、今はほとんどの組がセルフプレー。キャディフィが1人3,750円と高額なのも“キャディ離れ”に拍車を掛けているようだ。
 受付の女性スタッフさんに「高いですねぇ」と話しかけると「キャディさんは(常駐しているのではなく)その都度、雇う形になるので」と申し訳なさそうな表情を見せた。

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(バックティからプレー。カートに旗を掲げる仕組み)

 今回は「4人のハンディキャップが60以内ならバックティから打てる」という条件をクリアしていたため、バックティからのプレーとなった。
 「西→南」をラウンドする場合、バックティからは全長距離が6,744ヤード、コースレートは71.7(レギュラーティからは6,346ヤード、同70.0)。結構、難しい。改めて気を引き締める。

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(西コースのスタートホール。若い人の姿が目立った)
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(乗用カートに搭載された「レイアウト案内」。内容は一般的なレベル)
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(当日のピン位置を示す印刷物がハンドルに挟まっていた)
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(西コース1番。平坦でフェアウエーも広い)

 西コースの1番。ティインググランドに立って驚いた。周囲の秩父連峰を眺め、てっきり「山岳コース」だろうと思っていたら、目の前のフェアウエーは平坦。しかも広い。雄大な感じの「丘陵コース」である。
 「造成当時、かなり土を動かしたんでしょうね」と同伴者さん。メンバーさんは「これから打ち上げ、打ち下ろし、いろいろ出てきますよ」と慢心を戒める。

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(桜の花の下で「ビューティフルショット!」)
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(西コース2番。フェアウエーは平坦だが、左サイドが要注意)
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(西コース3番。豪快な打ち下ろしが楽しめる)

 確かにそうだった。穏やかそうに見えたのは1番ホールだけで、2番ホールは左サイドが深くえぐれ、3番ホールは一瞬、戸惑うほどの大きな打ち下ろし。4番はバックティからは209ヤードと距離のあるショートホールだった。
 「このゴルフ場はショートホールが長いのが特徴です」ともう一人のメンバーさん。
 バックティからだと西の8番は225ヤード。南は2番が175ヤード、7番が208ヤード。4つショートホールのうち3つが200ヤードを超える。

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(西コース内の売店。植木鉢の小花が綺麗だった)

 続く5番は右にややドッグレッグした複雑なレイアウト。「右は山の斜面の先に隠れバンカーがあり要注意、左は突き抜けたらトラブル。アイアンでティショットした方が安全ですよ」とのアドバイスに素直に従う。
 それでもグリーン手前には大きな立ち木が待っていた。枝がすっかり切り落とされている。養生のためか。葉が生い茂れば、さらに厳しいハザードとなる。

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(西コース6番ホール。強烈な2段グリーンに遭遇した)

 緩やかな上り坂が続く6番ホールはグリーンが凄かった。このコースは大半が小さめの2グリーンなのだが、6番だけは縦に長い強烈な2段グリーン(右側)。
 「以前、上の段にボールが止まり、軽く打ったのにボールが加速、グリーンからこぼれ出てしまったことがありました」とメンバーさんが恐怖を語る。

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(コースに沿って長く続く桜の並木。散ってしまった後は平凡な景観に戻ってしまうのだろうか)

 プレーを続けているうちに手強い、変化に富んだ本格コースだと再認識した。「20年以上通っているが、ぜんぜん飽きない」というメンバーさんの気持ちが理解できる。

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(桜の花に応援されて「グッドショット」を連発)
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(グリーンまでの残り距離を示す杭。比較的見やすかった)
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(一部人工芝のティインググランドがあった)
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(ピンフラッグに「ユニオン エース」のシンボルマーク)
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(低木で「ユニオンエース」と表記)
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(地形の影響で、前の組の姿が見えないホールも多い。この装置で打つタイミングを計る)
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(ホテルの高い建物はコース内で良く見えた)
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(ティインググランド近くにも花が植えられていた)
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(最終ホールに設置された夜間照明用設備)

 午後に回った「南」コースも同じような印象を受けた。特に刺激的だったホールを2つだけ紹介したい。

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(打ち下ろしのショートホール(南コース2番)景観の美しさが印象的)

 最初が2番のショートホール。175ヤード(バックティ)と他に比べると短いが、目をむくような打ち下ろし。風もあり、距離感が難しい。
 ティインググランドが高い場所にあるため、逆に眺めは素晴らしい。前方には幾重にも重なる深い山並み。後方には武甲山の雄姿。秩父の大自然を堪能することが出来る。

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(南コースの8番には珍しく深いバンカーが存在)

 もう一つが8番のミドルホール。グリーン手前の深いバンカーが曲者だった。実はこのコースはバンカーが比較的少なく、アゴも低い。花道がきちんと用意されていて、その点では楽なレイアウトだと感じていた。
 しかし、この8番に来て2mを越える高さのバンカーに遭遇、脱出に苦労させられた。「あのバンカーにだけは入れてはいけないんです」というメンバーさんの事前アドバイスも全く生きなかった。

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(各ホールの案内プレートも数字が大きかった)
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(南コースには独立したトイレがあった)
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(コース内に大きな窪地を発見。「昔は池でした」とメンバーさん)
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(ティショットの狙い目には旗が指してある)
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(全体的にはバンカーが少なく、花道もしっかり)
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(防球ネット。ホールが隣接していると数も増えてくる)
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(打ち上げより、打ち下ろしのホールが目に付いた)
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(この時季、芝の状態には特に神経を使う)
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(売店周辺には必ず花が植えられていた)
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(「いろは坂」を連想させるようなカート道もあった)
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(かわいいデザインの夜間照明設備もあった)

 全体的には丘陵コースらしく大きなうねりがあって、傾斜地からのショットを強いられることも多く、それがスコアを乱す一因となった。
 また、池やクリークなどのウオーターハザードこそないが、ホールごとに谷、打ち上げ、打ち下ろし、立ち木、グリーン、バンカーと何がしかのハザードが仕掛けられている。
 「メリハリの利いたコース」というのがラウンドしてみての印象である。

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(ティインググランドの数は多い。)

 ハザードではないが、ティインググランドの数が多いのも特徴として付け加えておきたい。
 ショートホールで4面、ミドルホールで5面、ロングホールで6面という所もある。ただし、一部に人工芝で造られたティインググランドがあったのは惜しい。
 レディースティがレギュラーティよりかなり前に設けられているホールも目立った。女性や初心者でも楽しくプレーしてもらいたいという配慮だろう。
 バックティからのプレーを含め、実力に応じて自分でプレーする距離を選択できるのは良いことだと思う。

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(前方特設ティの設置を示すボードが目に付いた)

 OBゾーンが多いことから、大半のホールで「前方特設ティ」が用意されていた。しかも、かなり前方。OBを出した時は「ラッキー」と喜べるが、冷静に考えれば、あまり好ましいことではない。
 たまたま時季に恵まれたためだが、満開の桜はとても素晴らしかった。コースに沿った並木が特に美しい。ピンクの枝垂桜にはうっとりさせられた。
 売店やティインググランド周辺に可憐な花が多く植えられているのも嬉しかった。ホール間では花桃など、桜以外の木も目を楽しませてくれる。
 やはり最近増えてきた女性客の目を意識したのだろう。同時に「リゾート」らしさの演出にも効果を発揮している。
 コース売店で気になったことが一つあった。「冷たい水を一杯、頂けますか」と女性スタッフさんにお願いしたところ「お出し出来ません。ここは水質が悪いものですから」。
 荒川の上流、秩父の山の中で水質が悪いという理由に合点がいかなかった。
 昼食に利用したレストラン。名前は「バーディ」。大きな窓が緩くカーブし、それに沿ってテーブルが並ぶ。
 選択できるメニューは全部で6種類。これは少ない。値段も1,570円(海鮮丼)、1,470円(手打ちうどん・そばなど3種類)、1,360円(パスタセットなど2種類)の3パターン。

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(石焼ポークカレー)

 珍しい「石焼ポークカレー」(1,360円)とビール(生中、650円)を注文。カレーとご飯を石焼ビビンバのように混ぜて食べる。ちょっと韓国風。肉料理を選んだ同伴者さんは「タレが韓国風の味付けで美味しい」と喜んでいた。
 スタッフさんは女性が3人。多忙のせいかスピーディな対応が見られなかったのは残念。仕草や表情からも、あまりホスピタリティは感じられなかった。メニューの種類を含めソフト面に課題がありそうだ。
 施設の中で強く記憶に残ったのは練習場と浴室だった。まず練習場から紹介したい。

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(ドライビングレンジ。目の前は大きく深い窪地。初めて見た光景)

 ドライビングレンジはパター練習場の先の斜面を少し下った場所に、やや窮屈そうに造られていた。
 全部で12打席。30球210円と安い。ボールは大半がロストボールのようで、疲れたボールの中に真新しいボールが数個混ざる。
 びっくりしたのが目の前の景色だった。丸い、すり鉢状の深い谷が控える。その谷を越えた所に200ヤードの標識。つまり200ヤード以下のボールは全て谷底に向かって落ちていくという設計なのだ。
 メンバーさんは「昔は練習場がなかった。会員が皆で造ってほしい、造ってほしいと要望、やっと出来たのがこれ。適地がなかったのでしょう」という。谷を越えればその先は細長い平地。250ヤードぐらいは飛ばせる。

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(パター練習場は2面。奥に石を組んだ小さな庭園が造られていた)
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(もう一つのパター練習場。脇には珍しいデザインの石塔が建つ)

 バンカー、アプローチの専用練習場はない。代わりに綺麗なパター練習場が2面。綺麗というのは周囲の景色のことだ。グリーンの近くに石垣を組んだり、石塔を置くなど日本庭園風にアレンジしてある。
 パター練習場では韓国語での会話を耳にした。海外で日本語の通じるゴルフ場が日本人に好まれるのと同様、「韓国語が通じるゴルフ場」として韓国の方たちにも人気があるのかもしれない。
 ちなみに「グリーンの速さは8.0フィート」(キャディマスター室の男性スタッフさん)。芝のメンテナンスは良好。フェアウエーなどの整備状況も悪くなかった。

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(窓の大きな浴室。洗い場にパーティションはなかった)

 浴室は黒っぽい石のタイルを基調にした高級感のある造り。四角い窓・浴槽と円筒形の柱の対比が面白い。大きな窓からは秩父の山々と中庭が望める。

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(綺麗でカジュアルな感じの脱衣場)

 脱衣場もコンパクトながら明るく、使いやすかった。窓際にはお洒落なデザインの椅子とテーブルが置かれ、若者数人が談笑にふけっていた。
 窓の外は従業員用と思われる駐車場。さすがにここは楽しむような景観ではない。
 料金は比較的安い。ハイシーズン(4月14日~6月30日)のゲスト料金は、平日7,800円、休日12,800円。今年の夏料金は未定だが、同じOFFシーズンの1~2月実績では平日5,800円、休日10,800円。
 「1泊2プレー4食プラン」という宿泊パックのがあったので、ハイシーズンのビジター料金を調べてみると「平日25,600円、休日30,600円」という水準だった。
 宿泊し、2ラウンドして4回の食事付という内容を考えると割安感がある。

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(2サム保証プランもある)

 「このプランでは2サムの追加料金(1人+1,050円)を頂きませんので、お二人で来られる時は断然、お得です」と受付の女性スタッフさん。真剣に考えてみたい。
 2サム以外にもプレースタイルは多様。午後2時30分以降にスタートする「薄暮プレー」は4月中旬から10月ごろまで実施。
 割安な「コンペパック」や同じ宿泊パックでも「1泊1プレー3食プラン」もある。ただし、以前実施していた「早朝プラン」は見合わせており要注意。
 もう一つ、面白そうなプランが目に入った。「練習に最適。東コース限定スルーラウンド」(平日)だ。春季シーズンでも1人5,000円。東の9ホールを2回、続けて回る。
 同伴したメンバーさんは「昔は東コースに回り放題プランがあった。当時、会員はホテルに無料宿泊できたので、2日続けて東ばかりプレーした。あれで随分と腕を磨いた」と懐かしそうに話していた。
 秩父の冬は厳しい。雪と寒さが気になるところだが、「大雪だった今冬もクローズになったのは数日だけ。ここは秩父地区のゴルフ場の中では降雪後の営業再開が早いと評判なんですよ」と女性スタッフさん。
 ただ、寒さは「我慢してもらうしかない」そうだ。
 アクセスについては冒頭でも触れたが、クルマ利用の場合について簡単に紹介しておきたい。
 ホームページページ(HP)には「関越自動車道花園IC皆野寄居バイパス経由40分」と表記されている。
 交通事情にもよるが、東京の練馬ICから花園ICまでは約1時間。NAVI TIMEで検索すると、東京都心からゴルフ場までは約2時間の行程となる。
 なおクラブバスは朝、平日1便、休日2便。夕方も2便とあまり多くない。時間をゆったり使いたいなら、やはりクラブハウス上層階の「ホテル ユニオンヴェール」に泊まった方がいい。
 スタンダードツイン38室など計45室。早朝、部屋の窓から眼下のコースを眺めれば、「秩父」を思い出す新たなシーンが付け加わること間違いない。

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