2011年7月3日日曜日

千葉カントリークラブ・川間コース=“日本一のセルフプレーゴルフ場”を目指す。土・日の基本料金は24,300円

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(南コース9番ホール。黄色マークからグリーンまでは残り100ヤードだ)

 「千葉カントリークラブ」には主なコースとして「梅郷」「野田」「川間」の3つがある。このうち「梅郷」と「野田」はプロのトーナメントを開催す る本格的チャンピオンコース。「川間」はキャディ不在で、完全セルフ方式のコース。その分、野田、梅郷に比べて水準が落ちるのではないかと懸念したが、訪 れてみると堂々たる林間コースで、遜色なし。一般ゴルファーにとってはセルフで楽しめる貴重なゴルフ場である。
 千葉県の最北部、野田市に千葉CCはある。国道16号線沿いに南から「梅郷」「野田」「川間」と並び、川間コースの西側はもうすぐ埼玉県、東側は利根川を挟んで茨城県に接するという立地。都心からでも50㎞弱、クルマで1時間10分ほどの近さだ。
 電車利用なら東武野田線川間駅が便利。朝は7:00から9:30分まで30分おきに送迎バスが出ている。時季によってはさらに朝昼3便が追加される。帰りの便も同様。タクシーでも10分弱で到着する。
 千葉CCは本格的な会員制のクラブで「メンバーの紹介、ないし同伴がないとプレーできない」のが原則。ただし川間コースは「平日なら紹介なしでもプレーが可能」という。
 どういうことか。受付スタッフに詳しく聞くと「一度ゲストとして来場された方は受付の際に名前が自動登録され、次回以降、メンバーさんの紹介なしでもプレーできるのです」。
 「平日だけというのが残念ですねぇ」と口を尖らせたら、「最近は休日でも空いていれば大丈夫です」という嬉しい返事が返ってきた。
 メンバーさんには申し訳ないが、敷居が低くなったのは一般ゴルファーにとっては有り難い情報だ。
 今回は電車で向かったので宅配便を利用。外のバッグ置き場にゴルフシューズを取りに向かうと、目の前にパッと美しい林間コースが現れた。

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(東コース、南コース、西コースの計27ホール)

 手前に広々としたパター練習場。その先に左から「東コース」「南コース」「西コース」(計27ホール)の各スタートホールが放射線状に広がる。
 どのコースもフラットで、背の高い木々によってしっかりセパレートされ、堂々とした佇まいだ。「こんな綺麗なゴルフ場がセルフプレー専門なの」というのが第一印象だった。

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(簡素なロッカールーム。ゆったり出来ていて、使いやすかった)

 着替えを済ませて練習場へ。専用受付でコインを購入。25球で210円。安い。思わず2コインを購入。

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(屋根のある本格的なドライビングレンジ。奥に「クラブ工房」があった)

 クラブハウス脇に設けられた練習場は屋根付、椅子付で17打席。距離は250ヤード以上もある。
 正面30ヤードと50ヤード地点に網で作られたカゴが斜めに置かれ、アプローチ練習の格好の標的になっている。
 その先にも100ヤードから250ヤードまで50ヤードごとに看板があって、飛距離の確認に役立つ。
 各打席には高さの異なるティが複数本用意してあり、練習場の左奥には「プロショップ クラブ工房」が併殺されていた。
 敢えて不満を言えば、使い込んだ感じのボール(専用ボール2種類)が多かったことか。それでも時間があれば何球でも打っていたくなるような練習場である。

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(バンカー練習場。砂まみれになって長時間練習している会員さんがいた)

 ネットで仕切られた右手奥にはアプローチ練習場とバンカー練習場があった。バンカーはなかなか練習する機会がないので、こうした本格的な練習場があると、とても嬉しい。
 近くにいた男性スタッフに「川間は練習場が素晴らしいですね」と言ったら「野田、梅郷はもっといいですよ」と自慢された。練習設備が充実しているのは千葉CCの大きな特色だろう。

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(広々としたパター練習場。正面の池の手前にも2段グリーンの練習場がある)

 パター練習場も大きく、近くには花壇があって、小さな花が目を楽しませてくれる。周辺の樹木は美しく刈り込まれ、日本情緒を漂わす。
 ちなみに予約しておけば所属するレッスンプロの指導が受けられる。練習場でのレッスンは30分で1人2100円。ラウンドレッスンの場合、レッスン料は1人では8400円かかるが、2人なら7350円、3人なら6300円。

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(ティインググランドには各ホールのレイアウト図が完備)
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(目土用の砂が入った容器が各ホールに用意されていた)

 この日回ったのはメインの「東コース」と「南コース」。東の1番ホールは右手に池を配した美しいホール。景観に見とれていたら若い男性スタッフが近づいて来た。
 「乗用カートは本日、フェアウエー乗り入れ可能です。グリーン近くでは自動運転に切り替えて下さい」と丁寧に話し始めた。
 池がラテラルウオーターハザードの指定になっていること、希望者はバックティから打てる(フルバックは不可)こと、グリーンまでの残り距離は両サイドの表示杭ではなく、フェアウエー上のマーク(青、赤、黄)で示されていることなどを細かく説明してくれた。
 乗用カート内にはコース全体の俯瞰図が置かれ、飲料ケースには冷えたミネラルウオーターが4本入っていた。「夏場だけの特別サービス」だという。
 「乗用カート利用・完全セルフ方式」のコースなので、このあたりの段取り、配慮はしっかり行き届いている。
 「バックティからのプレーがOK」との説明を受け、全員一致でバックティを選択した。
 東・南コースを回る場合、レギュラーティからだと全長6,218ヤード、コースレート69.5だが、バックティからは同6,622ヤード、同71.2に大きく変わる。

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(東コース1番ホールのグリーンから見た光景。クラブハウス奥のネットは練習場)
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(東コース2番。グリーンの直ぐ先は池。ピン近くまで突っ込むには勇気がいる)

 1番ホールに続き2番のショートホールも池が絡んでいた。ティインググランドからは見えなかったが、グリーン奥はすぐに池。

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(東コース3番。グリーン手前はバンカー、奥は池。綺麗なコースだが、油断できない)

 3番ロングホールもグリーン周辺に池が迫り、美しくも冷静な判断が必要な難所が続く。
 5番ホールにも池が2つ。「川間は池の多い林間コースだ」という印象を決定づけたのは7番のショートホールだった。何とグリーンを取り囲むように4つの池があり、名物ホールになっている。
 ガイドブックには「グリーンが広くて安心して打てるパー3」と記されていたが、実際にティグランドに立ってみると、4つの池のプレッシャーを感じないわけにはいかない。
 「グリーン周辺はどうなっているのか」――。右サイドの小山に登ってレイアウトを再チェック。池とグリーンの間に思った以上にスペースのあることを確認し、気持を落ち着けてティショットに臨んだ。
 以前、上級者から「鳥の目でコースを見れば安心できる」と教えられたことがある。そのアドバイスが今回生きた。

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(フェアウエーには所々でこんな表示を見かけた)

 開場は昭和32年(1957年)。54年という長い年月が太い樹木を育て、コース全体に落ち着きと風格をもたらしている。

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(密集度の高い松林。こうした場所では無理せず、横に出すしかない)

 逞しく枝振りのいい松。密集度の高い林間。ソテツや桜など木の種類も豊富。いずれも並の林間コースにはない魅力だ。

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(東コース脇には大きな池があった。釣り堀客で賑わっていた)
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(東コース6番。グリーンまで40ヤード近くあり「絶対に入れてはいけない」といわれたバンカー)

 コースの外側だが、6番ホールのティグランド近くには大きな池があって、ボートが浮かび、釣りを楽しむ人たちで賑わっていた。「つり堀野田幸手園」だそうだ。

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(池に囲まれた東コース7番ショートホール)
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(以前は2グリーンだったが、2008年に1グリーンに改修。不自然さはまったく感じなかった)

 「林間コースの美しさ」と並んで印象的だったのがグリーンの状態だった。パター練習場の近くに「本日のスティンプメーター9.0、コンパクション9.0」との表示があったのを思い出す。
 「前回の速さは10.0フィートだったので、今日は遅めだ」と同伴してくれた会員氏。コンパクションも軟らか目なので、ちょっと楽観した。
 しかし、ボールの転がりは思った以上にスムーズで、集中力を欠くと、すぐ3パットを強いられた。グリーン上のピッチマークもセルフコースの割には少なかった。

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(「コースメンテナンスには特に力を入れている」という)
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(グリーンの周辺には夏場、芝を守るために独特の扇風機が設置されていた)

 フェアウエーにできたディボットにもきちんと砂が入っていて、コンディションはかなり良好と感じた。夕方、コース整備に動き回るスタッフさんの姿を何人も目撃した。
 完全セルフ方式のコースだけに、各ホールのティインググランドには「コースレイアウト図」が必ず設置され、初めての来場者でも戸惑わずに済むよう工夫されている。
 ブラインドホールも少ないので、前の組の位置も分かりやすい。また、フェアウエーには所々にグリーンまでの残り距離を表示したプレートが埋め込まれていて、参考になった。
 ティグランドは「チャンピオン」「バック」「レギュラー」「フロント」「レディース」の5つ。
 5つもあると、グランドがあるだけでティマークが無かったり、逆に1ヶ所に2種類のマークが並んで置かれていたりといったケースが多いが、このコースは一部を除いて5つ、しっかりセットされていた。
 ティマークが前後にずれることなく、それぞれの「距離表示板」近くに正確に置かれていたのも好印象。

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(乗用カート内のGPSナビシステムの端末。プレーヤーのスコア計算までしてくれる優れものだ)

 乗用カートはプレーヤーに優しい最新型だった。GPSシステムを採用し、ピンまでの残り距離が1ヤード単位で表示されるほか、各自のスコアも自動計算され、仲間内での会話が途絶えることがない。
 「これだけ正確に残り距離が分ければ、キャディさん失業の危機だね」と口の悪い同伴者。

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(独立して建てられたトイレ。中は広く快適で、申し分なかった)
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(コース内の売店。立派なトイレに比べると、多少疲れた感じも)
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(避雷小屋はシンプル)

 コース内のトイレや避雷舎などもきちんと用意されているので、緊急事態に対しても安心だ。設置場所はスコアカードに記載されていて便利。
 完全セルフ方式という前提が、様々な面での配慮、工夫につながっている。「“日本一のセルフプレーゴルフ場”を目指している」(男性スタッフ)というのは、嘘ではなさそうだ。

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(高い木と距離のあるバンカーに囲まれた南コース1番。難易度や雰囲気は、南も東コースと変わらない)
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(太い樹木が長い歴史を感じさせる)
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(フラットで景観の美しい林間コース)
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(南コース4番ホールにあった立派な避雷舎。中に入ると、冷水機が用意されていた)
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(ティインググランド脇の花壇。プレーヤーを目で楽しませようという配慮を感じる)
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(風格のある林間コース。フェアウエーの整備状態も良かった)
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(南コース9番ロングホール。バックティからだとロングホールは全て500ヤードを超えた)
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(フェアウエーバンカーもしっかりある。コースマネジメントがスコアに直結する)
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(堂々とした構えのクラブハウス。やや色あせた感じがしたのは曇天のせいか)

 コースに比べると、クラブハウスの印象は今ひとつだった。2階建ての建物は大きく堂々とした構えだが、年数を経て壁がややくすんだ感じ。建設当時の華やかさは影を潜めている。一部の壁は黄ばんでいるようにも見えた。

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(レストランの内装は普通だったが、窓際はとても明るかった)

 改装された2階レストランは1階とは違って明るく、華やかだった。階段を登ると二手に分かれる。以前は「禁煙」「喫煙」別にしていたそうだが、今は「全席禁煙」。
 大きな窓からは「東コース」「南コース」「西コース」の各スタートホールが眺められる。朝、バッグ置き場近くで見た景観をもう一度、上から楽しめるというわけだ。

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(レストランの外にあるテラスで綺麗な林間の景色を楽しむ)

 レストラン前のテラスに出て、スタートまでの時間をゆっくり過ごす若者グループもいた。
 レストランを運営受託しているのは洋食専門店の「アラスカ」。ホームページ(HP=http://www.chibacc.co.jp /course/course_kawama_profile.html)にも「1928年開業。関西の名門老舗西洋料理店」と明記、特別感をアピールし ている。
 聞けば「梅郷コース」のレストランは鰻屋さん、「野田コース」は中華料理屋さんがそれぞれ受託。食事面でもコースごとの違いを演出しているそうだ。
 ハンバーグやシチューなどのランチメニューは15種類。価格は1,680円から420円(ミックスサンド)まで。
 「おすすめ洋食弁当」は1,575円。ビーフカレーは945円、ビール(生中)は683円。ビールを頼んだら、お皿一杯にポテトチップスが付いてきたのには驚いた。
 レストランの一角にテレビとソファーのある小さなラウンジ。奥にはコンペルームが6室。ちょっと覗いてみたが、明るく上質感があった。

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(浴室は正面奥。脱衣カゴの位置が低いのが印象的)

 浴室は天井が六角形の珍しい形。半分近くが大きな窓で明るく、気持がいい。遠景はさえないが、手前に見える庭は日本庭園風に整えられ、ちょうどアジサイの花が満開だった。
 トイレはまずまず。個室は7室。売店では「地たまご」や「宇都宮餃子」なども販売。
 館内の「ラウンジ」と「プロショップ」が充実していればもっと良かったが、歴史あるクラブハウスにそこまで望むのは無理な相談かもしれない。
 スタッフの対応も概ね良好だった。朝の混雑時には男女4人のスタッフがテキパキと来場者をさばき、近くの自動販売機が現金でしか利用できない不便さを訴えると、用紙にサインをするだけで「自動販売機積立金」200円をサッと立て替えてくれた。
 帰りに「遠方から来るゲストが宿泊するのに都合の良いホテルを」と尋ねたら、メモ用紙に3軒のホテルの名前と電話番号を記載。「交通の便が良いホテルはここ」「一番高級なホテルはここ」と詳しく案内してくれた。
 最後の、そして最大の問題がプレー料金だ。ゲストの「平日利用料金」が16,300円、「土日基本料金」が24,300円。
 確かに風格ある立派な林間コースだが、キャディなしのセルフプレーで、この水準はどうか。特に2万円を大きく超える土日曜日の料金。
 同伴者の一人は「休日は料金が高いので、安い平日にプレーしたい。それが無理ならOFFシーズンか、“準平日扱料金日”が狙い目」と教えてくれた。
 OFFシーズン(1,2月と8月)の料金は、平日で14,300円、土日曜日が19,300円。
 さらに祝日などに時々、特別料金(18,300円)でプレーできる“準平日扱料金日”があるのだという。
 精算後に「一番安くプレーできる条件」をスタッフに尋ねた。答えは「8月の準平日扱日(13日、14日)に“午後スルー”で1ラウンド回って12,300円」。土日基本料金のほぼ半額。これならかなり割安だ。
(ゴルフジャーナリスト O氏よりの寄稿)

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