2012年6月2日土曜日

赤城国際カントリークラブ=グリーンの難しさは群馬県でトップクラス。風格と個性あふれる“オールドコース”

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(看板にも赤城山麓の雰囲気が感じられた)
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(常に鍋割山の方向を見て、グリーンの芝目を判断)
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(難しいグリーン。傾斜だけでは判断できない)
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(市街地に向かって豪快に打ち下ろす=南コース4番ホール)
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(立ち木とバンカーがアプローチの邪魔をする。上手く設計されていると痛感)

 「グリーンが凄く面白いコースがあるんだ」――。群馬県の事情に詳しいゴルフ仲間から熱心に勧められたのが「赤城国際カントリークラブ」。伊香保 CC、伊香保国際CC、草津CCに次ぎ、県内では4番目に古い歴史あるゴルフ場だ。かつては「日本プロゴルフ東西対抗競技」の舞台にもなった。6月上旬の 休日、地元の上級者さん2人に同伴をお願いして、その難コースに挑んだ。
 これまで訪れなかったのは、東京からのアクセスが良くないと思っていたからだ。ホームページ(HP)を見ると、今も送迎用のクラブバスがない。
 ゴルフ場に電話してみた。「東京からですと、前橋駅からタクシーになります。30分くらい。料金は4,000円~5,000円掛かりますね」との返事。
 クルマ利用の場合は関越自動車道で一端、赤城ICまで行き、そこから戻る形で15分。ICからの距離はこのルートが一番近い。
 
 手前の前橋ICで降りるのが順当だが、一般道を通りゴルフ場までは約30分。やはり大変だ。
 今回は誘ってくれたゴルフ仲間の運転で、東京から一緒にクルマで向かった。“群馬通”だけあって、HPにはなかった「第3のルート」を教えてくれた。
 実は、ETC(自動料金収受システム)を搭載した車ならば前橋ICの少し先にある「駒寄PA」から高速を降りられ、道がすいている早朝ならば20分程度でゴルフ場に到着できるというのだ。これなら比較的便利。アクセス面の悩みが少し解消した。

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(客の大半がクルマで来場する)

 到着したクラブハウスは堂々とした外観で、古さを感じさせない。正面玄関前の植木も手入れが行き届き、箱庭的な装い。
 男性スタッフさんに挨拶すると、「空気が済んでいれば、ここから東京スカイツリーが眺められるんですよ」と笑顔で南の方角を指差した。今日はちょっと霞んでいる。残念。

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(受付。スタッフさんの対応は丁寧だった)

 建物の内部に足を踏み入れると、さすがに年季を感じた。スペースは広く、リフォームもなされているのだが、天井が低く、全体に地味な印象。華やかさはない。「開業以来、建て替えをしていないので」と受付の男性スタッフさん。
 
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(コンパクトにまとまったプロショップ)

 プロショップではゴルフ用品に混じって地元の特産品などが販売されている。柱にはアンティーク風の大きな時計。商品陳列箱には「こんにゃく」の文字が躍る。

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(朝食にも力を入れている)

 広い通路に目立った装飾はなく、自動販売機が3台置かれたラウンジは簡単な椅子とテーブルが並ぶ「休憩所」。

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(朝、テラス席からは遠くの山並みが良く見えた)

 開場は1964年(昭和39年)。今年で48年という長い歴史を誇る。名前通りに「国際」的であるかどうかはさておき、「赤城」山麓らしい素朴で落ち着いた雰囲気のクラブハウスと好意的に解釈したい。

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(洗面所はリニューアルされ、綺麗だった)
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(ロッカールームにつながる通路には和風の中庭があった)
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(ロッカーも綺麗で使いやすかった)

 ロッカーで着替えを済ませ、スターティングテラスに出る。そこはまた、別の世界だった。レトロな雰囲気は消え、今日的な風が吹いている。

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(スターティングテラスには乗用カートがズラリ)

 ズラリと並んだ白い乗用カートが眩しい。ここでのプレースタイルはキャディ付とセルフの選択性だが、「歩き」はなく全て「乗用カート利用」。女性スタッフさんがバッグの積み込みに動き回る。

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(コース側から見たクラブハウス。どっしりとした構えだ)

 パター練習場(3面)の先に一見、ペンション風の小さな建物を発見。壁に「練習場」とある。クラブ3本を抱え、白樺の木や満開のツツジを眺めながら坂道を下る。

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(ドライビングレンジは広々とし、気持ち良く打てた)

 ドライビングレンジは12打席。フラットで広々とし、実に開放的だ。先端までは250ヤード以上ある。ベンチやトイレも整っている。

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(練習ボールは中古品が多かった)

 ただ、ボールは中古品が多く、真新しいボールは数える程度。100円で13球。コインではなく現金で購入する。

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(本格的なバンカー練習場。隣はアプローチ練習場)
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(朝のパッティング練習には時間を掛けたい)
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(全27ホールの丘陵コース)

 いよいよコースだ。赤城国際CCには「南コース」「西コース」「東コース」の計27ホールがあり、「開業時にできた南コースと西コースは“オールドコース”と呼ばれています」と地元から参加の同伴者さん。
 もう一つの「東コース」は24年後の1988年(昭和63年)に造られた。
 「オールドコースとは趣が異なるので、赤城国際CCを知ってもらうために、今回は東コースと南コースを予約しました」という。細やかな配慮が嬉しい。
 午前中は「東コース」をラウンド。クラブハウス前から乗用カートで山道を移動する。思った以上に離れている。

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(東コース1番ホール。ティショットはフェアウエーセンターの高い木狙い)

 1番のティインググランドに立つ。赤城山と聞き、山岳コースあるいはアップダウンの激しい丘陵コースを想定していたが、「平坦で広く、雄大な林間コース」というのが第一印象。
 「ティショットは正面の高い木の左側狙いです」とキャディさんがささやく。緊張する朝イチのショットだ。そんなに上手く打てるわけがない。スライスし、ボールは右側のラフへ。
 2打目地点で左サイドに2つのグリーンが顔を見せた。フェアウエー右側に立つ高い木が早速、ボールの行方を遮る。「今日は戦略性重視で行こう」と決意。

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(ティーマーカーは間隔をしっかり取って置かれていた=東コース2番ホール)

 続く2番ホールではコース右サイドにどっしりとした「鍋割山」が現れた。いよいよ主役の登場である。
 キャディさんが説明を始めた。「グリーンの芝目は全部、鍋割山から下に向かって順目です。パッティングの際は山の位置をご確認下さい」。
 東京から一緒に来た同伴者さんが補足する。「とにかく芝目が強い。グリーンが下り傾斜でも(芝目の影響で)ボールが上っていくことだってあるんだ」。
 「同じ下りのラインでも、ボールが急に止まったり、どこまでも止まらなかったり。あれも芝目のせいですよね」ともう1人の同伴者さんが同調する。こちらは嫌がっているというより、面白がっているような表情だ。
 「特別な芝なのですか」と聞くと、「芝は一般的なベント芝。山からの吹き降ろす風が強いためでしょう」(地元の同伴者さん)。上州特有の冬に吹く強い北風「赤城おろし」を思い出し、納得した。
 確かにグリーンは微妙なアンジュレーションと強い芝目が交錯し、どのホールも悩ましい。
 「キャディ付プレーを選択して良かった。セルフだったらパニックになっていたかも」と本気で思う。
 この日の速さは9フィート。やや速い程度だ。「これで10フィート以上の高速グリーンだったらお手上げですね」と話すと、地元の同伴者さんは「昔はもっと速かったような気がする。赤城国際CCは速いというイメージ。それが最近は止まるようにうなった」と不満そう。
 もうひとりの同伴者さんは「東コースのグリーンはまだおとなしい。南コースのグリーンが一番難しい」と脅かす。

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(白いヤーデージ杭は見やすかった)
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(ティインググランドの表示板にも重厚感があった)
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(当日のピンポジションはハンドルに挟まれた紙に記載)
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(2本の木が攻略ルートをぐっと狭めている)
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(上級者さんほど素振りを大切にする)
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(東コース5番のショートホールでは橋を渡ってグリーンに向かう)
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(東コース6番は池越え。美しいホールの一つ)
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(フェアウエーにも一部、こんな表示があった)
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(グリーンは2つ)
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(ショートホール全てで「ホールインワン賞」を地元の有力企業が提供)
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(東コース8番ロングホール。同伴者さん、会心の一打)
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(細い木でも要所に立っていると、かなり邪魔になる)
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(カート道路にはグリーンまでの残り距離が書かれていて便利。左右でかなり違う)
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(本日は第2グリーンを使用)

 午前中、グリーン以外で印象に残ったホールは、立ち木が要所に配された1番から3番、橋を渡ってグリーンに移動する5番、池越えで景観の美しい6番、左サイドの池が気になる7番、フェアウエーが大きくうねった8番ロングホールなど。
 いずれも手強い。ただトリッキーなところはなく、全体にオーソドックスな設計の丘陵/林間コースという感じだ。
 海抜600mの高原地帯。時々、セミが合唱し、ウグイスがソロを奏でる。形の良い黒松。その間で新緑も輝く。 池に映った松林が美しい。豊かな自然を十分堪能できるコースでもある。

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(東コース9番。珍しく修理地があった。芝も一部、病気で枯れていた)

 グリーンが看板のゴルフ場だけにメンテナンスは良好だった。ただ、9番ホールのフェアウエーには修理地と芝の枯れた所があった。

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(松くい虫の被害にあった木は伐採するしかない)

 また「松くい虫にやられて枯れてしまった」(地元の同伴者さん)松が多く、伐採された切り株が痛々しく見える場面に何度も遭遇した。

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(木を越えてもバンカーが口を開けて待つ)
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(バンカーの砂は締まっていた)

 昼休み。クラブハウス前にいた男性スタッフさんは「コースが赤城山麓の中腹に位置するため、平坦に見えるフェアウエーも実際には傾斜があり、確かな技術力が求められる。地元テレビ局がゴルフ番組の撮影に使うのが、この東コースです」と教えてくれた。
 昼食シーンを飛ばして、このまま「南コース」にリポートを進めたい。

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(南コースを38の好スコアで回った同伴者さんのティショット。素直に見習いたい)

 「東コース」だけでも十分面白く、美しいコースだったが、「南コース」はそれに加え、風格と驚きが加わった。

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(南コース2番。最初に出会った“二股ホール”。今日は左側のグリーンを使用)

 「驚き」とはコース設計である。俗っぽい表現をすれば「二股コース」が次々に登場する。第2打地点から「右グリーン」と「左グリーン」に大きくコースが分かれるレイアウトだ。
 ゴルフ場によっては1ホールくらい同様の「二股ホール」を持つ所もあるが、ここは2番、5番、7番、8番、9番と連続する。
 他のホールも「二股」ではないが左右のグリーン間隔が離れていて「あれっ」と思うことが多々あった。
 キャディさんも「今日は右側のコースですから、ティショットは左サイドを狙って下さいね」などとアドバイスに忙しい。

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(フェアウエーにも赤城山麓らしい傾斜がある)
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(南コース3番ショートホール。170ヤード以上あり、難しかった)
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(ティインググランド近くに立つ大きなグミの木)
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(南コース5番。ここでもコースは左右に分かれる)
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(コース売店にも落ち着きがあった)
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(南コース6番。谷には桜の木がいっぱい。満開の時季はさぞ綺麗だったろうと想像する)
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(1mのパターこそ慎重に)
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(グリーンの傾斜と芝目を考えてアプローチしたい)
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(「東京スカイツリー」と同じ高さと言われても、ティーイングラウンド上では実感は湧かない)
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(しかし、はるか下に見える町並みを眺めると、高い所にいると実感する)
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(南コース8番ホール。2打目地点で左右に分かれる)
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(鍋割山に向かって「ビューティフル ショット!」)

 コースレイアウトだけではない。グリーンの難しさ、フェアウエーの傾斜、立ち木の配置など、全ての面で「南コース」の方が難易度が高い気がする。
 「先日71のスコアで回った。来年はエージシュートを達成できそう」という凄腕の同伴者さん以外、3人全員が「東コース」よりスコアを落としたのは偶然ではないだろう。
 ゴルフは難コースほど実力差がスコアに表れやすい。「南コース」はまさにそんな「ごまかしのきかないコース」だと痛感する。
 半世紀近い歴史を経て、コース全体に重厚感もある。木々が太く、威風堂々と表現してもいいような佇まいだ。若いコースには到底、太刀打ちできない風格。
 もう一つの「オールドコース」である「西コース」はどんな様子なのだろう。キャディさんは「南コースより少しトリッキーかな」と漏らす。
 打ち上げや打ち下ろしのホールが増え、「戦略的でテクニシャン向き」なのだそうだ。
 高度の技は持ち合わせていないが、そう言われると挑戦してみたくなる。次回は西コースを入れたラウンドを希望したい。
 設計は南コースと西コースが、人気設計家の小林光昭氏と叔父の小林英年氏。東コースが石井茂プロ。
 コースレートと総距離は、今回ラウンドした「東・南コース」の場合で、バックティから73.4と7,133ヤード。レギュラーティからで70.6と6,532ヤード。
 ただし、スコアカードに記載されているコースレートを見ると、「東コース」が70.2(レギュラーティから、以下同)、「南コース」が69.5、「西コース」が69.6で、東コースが一番難しいという結果。
 この辺の数字と印象のズレは、計測する上級者と初挑戦のアベレージゴルファーの差かもしれない。どのコースも手強いということでご理解いただきたい。
 なお、コース内にある「避雷舎」は多くがトイレ付。ティインググランドは「バック」「レギュラー」「フロント」「レディース」「ゴールド」の5つと多い。
 キャディさんは控えめな性格の方でホスピタリティはあまり感じなかったが、挨拶やクラブ確認など基本動作はまったく問題なし。

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(キャディさんは目土に一生懸命だった)

 特にグリーン上のアドバイスは的確。待機中、小まめに目土をしている姿も印象的だった。
 肝心な料金について。HPに掲載されているプレー料金は1年を通して変わらず「キャディ付プレー」の場合、平日が13,250円(4バッグ、以下同)、休日が17,450円。セルフプレーの場合はこれより2,350円安くなる。
 ただし、時々「サービス期間」や「特別サービスデー」が設けられており、セルフプレーで表示されたカレンダー料金表には「平日8,000円(昼食付)」、「休日11,000円(昼食付)」といった値段が目に付く。
 キャディ付の場合は「プラス2,350円」ということになり、それぞれ10,350円、13,350円だが、昼食付なので、実質的にはその分が安くなる。
 では、その昼食はどんなメニュー、料金なのだろうか。

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(スタッフさんお薦めの「やまと豚のとんかつ」=1,400円)

 ランチタイムに選べる品目は全部で9種類。女性スタッフさんに薦められた「やまと豚のとんかつ」を素直に注文する。
 最も高額なのが「特選サーロインステーキ」で1,980円。安いのが「やわらかビーフカレー」の1,100円。最多価格帯は1,200円。ビール(生中)は630円。
 全体に価格は抑え目。「名門コースは総じて食事代が安い。プレー代を安くしているコースほどランチで稼ごうとしている」と同伴者さん。

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(簡素な印象を受けたレストラン。椅子だけは高級そうだった)

 ちなみにパーティメニューは500円コースから2,000円コースまでの4種類。朝食は「モーニングセット」(580円)や「和定食」(950円)など同じく4種類。
 精算時、受付で「プレー代が昼食付の場合、ランチ料金はどのくらいですか」とあつかましく尋ねた。「通常とは別の限定メニューですが、1,400円相当です」と男性スタッフさん。
 料金にうるさい人と思われたのか、別の女性スタッフさんが「他にも割安なプランがいろいろありますよ」と教えてくれた。
 1つが、近くの赤城カントリー倶楽部と組んだ「宿泊×2Rプレー」プラン。いずれかのゴルフ場のロッジに泊まり、ゴルフ三昧という楽しそうな企画だ。単独の「宿泊パック」はない。
 2つ目が午後1時以降にスタートする「薄暮ハーフプレー」。ビジター料金は平日4,500円、休日5,500円。
 この他、年4回開かれる「季節のオープンコンペ」や毎月開催の「シニア・レディースオープンコンペ」なども人気。変わったところでは、特定日だけに可能な「東コース2回セルフプレー」(6,000円、昼食付)もある。
 もちろん会員制のゴルフクラブだが、メンバーさんの紹介や同伴なしでも利用が可能。「前橋市民ゴルフ大会」なども実施。老舗ではあるが、意外に門戸は広い。
 予約は3ヶ月前から受け付け、基本的にはキャンセル料は取らない。休日の場合に割増料金がかかるが、2サムプレーも保障してくれる。
 注意したいのは冬場(1月~2月)がクローズになってしまうことだ。雪の多い地域の宿命である。

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(脱衣場はスッキリとしたイメージ)
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(岩の間からお湯が流れ出ている)

 岩の間からお湯が流れ出るユニークな設定の風呂場で、地元の同伴者さんが悩みを打ち明けた。
 「赤城国際CCは距離があるし、グリーンも難しい。歳を取ってくるとゴルフ仲間に敬遠する人が増えてきた。弱ったよ」。
 「その時はぜひ、我々をまた誘って下さい」と即答。東京から来た“若手”の2人は今、リベンジに熱く燃えている。

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